ミステリーランチから、2017年にデビューした軽量多機能大型バックパック「スタイン62」
Monitor's Voice #01
「腰を含めた体全体に重量を分散させて担ぐ」ので、重量をあまり感じない。
荷室へのアクセス、開口部の大きさなど、収納力が高いザック。
レガたんさん(40代、男性)
登った山:唐松岳(日帰り)
登山歴:20~30年
01
当たりが強いところもなく、肩、腰からお尻にかけてフィットする。
歩行時に姿勢がねじれたり傾いても、ザックごと付いてくる一体感がある。

 8月12日に妻と娘(小4)の3人で唐松岳に登ってきました。八方尾根からの日帰りピストンで、歩行時間約9時間でした。終始曇り時々小雨。唐松山荘付近から上は晴れ。半袖だと停滞時に風に吹かれると少々肌寒いくらい。非力な妻子は体力温存のため空荷で、私が3人分を背負い上げるというスタイルなので、夏山の日帰りでしたが、「スタイン62」を使いました。

 特筆すべきは、雨蓋が外側に膨らむように作られているので、ベルトで締めても中身が潰れない点です。容量が大きいので、嵩張るスナック系のお菓子もたくさん入れられ、私が腰を下ろしさえすれば、妻子が好きな時に手を伸ばして取り出せたので、ザックを下ろす手間が省けて大変助かりました。さらに、本来の目的通り、唐松山荘から山頂へのアタックザックとしても使ってみたのですが、あっという間にアタックザックにできました。肩ひじ張らず気楽に使いまわせる点がいいと思います。

 さらに「スタイン62」は、メインの気室へのアクセスが秀逸でした。これまでは、雨蓋を開けて、ドローコードを緩めて、上から手探りで「あれか、これか」とやっていたのですが、「スタイン62」はサイドジッパーで一発アクセスが可能。しかも縦に長いジッパーなので、ガバッと大きく開き、中身がとても分かりやすいです。この恩恵は、中身を取り出すときはもちろんのこと、しまう時にも実感しました。

 今回の山行では、水を6ℓ(角形ペットボトル×2、ソフトボトル×1)、カップラーメン×3、水筒×3、おやつ、ストーブ一式、雨具等の衣類や非常食×3人分、緊急用品で、ざっと15kgほどの荷になりました。これだけアンバランスな荷を詰めて背負っても、肩や背、腰への当たりが強いところもなく、しかも重量を感じさせない背負い心地に驚きました。印象としては「腰を含めた体全体に重量を分散させて担ぐ」。腰骨をウエストベルトで包んだ状態で、パック最下部がちょうど尾てい骨の上部(腰からお尻に向かう斜面)にぴたっとフィットするんです。肩はもちろん、腰からお尻にかけてフィットさせて支えるような構造ですね。そして、歩行時に姿勢がねじれたり傾いても、パックごと付いてきてくれるような一体感がありました。


     

「フューチュラヨークシステム」で、いつでもどこでも微調整が可能。
開口部が大きくて、パッキングがしやすい。

 「スタイン62」を背負ってみて驚いたのは、数字以上の容量でありながら軽く、ベルト類も薄手で硬質ながら、フィット感がよく、局所的な当たりの強さもなく快適な背負い心地だったことです。「フューチュラヨークシステム」で、バックパネルを無段階で調整できるのがいいですね。背面長の調整は本来、1回決めてしまえばあまり触ることはありませんが、いつでもどこでも自分で微調整ができるというのは、やはり安心感があります。ベルクロで固定すると聞いて強度に不安を感じましたが、実物は幅の広い面全体で固定されているため、フリーハンドでは容易にはがれないほどの強固さ。内蔵のフレームシートは、パック背面の剛性を生み出しつつ、背面長を調整する際のツールにもなります。

 「スピードジップコンパートメント」の開口部は、左右真一文字に開くジッパーと左右に絞めこむバックルという二段構えになっています。このパックは、まず緩い状態でジッパーを締め、最後に左右両手でバックルをはめ込むだけできちんとコンプレッションが効くので、パック最下部の内容物の出し入れも非常に手早くできます。私は今回ここに、ペットボトルの水2ℓを入れましたが、やはり出し入れがしやすかったです。大きく圧縮が必要なもの、あるいは頻繁に出し入れし、なおかつ出し入れ後の形状変化が少ないものをここに入れておくと便利だと感じました。

 インサイドアウトコンプレッションサイドポケットは、左右に、自分と娘の水筒を入れました。どちらもすっぽりと収まる十分な深さがあり、適度な収縮感で落下の心配がありません。サイドコンプレッションベルトをポケットの中に通せるので、コンプレッションを効かせた状態でもポケットの出し入れは非常にスムーズ。

 「スタイン62」には、トップリッドに大きなポケットが2つあります。トップリッド自体がアタックザックになるということからも、ポケットと言うよりは、第2・第3の気室と言うべきでしょう。 パッキングもしやすいです。開口部という開口部はとにかく大きく開きます。まずは手早く詰め込んでしまってから、最後にコンプレッションして整えられます。パック上部はドローコードで開くのですが、その口の広いことに驚きました。あとは、ウエストベルトに、コンデジやGPS端末をしまえるポケットがあるとよかったです。

 「スタイン62」はファミリー登山にもおすすめです。使い勝手のいい機能、かゆいところに手が届く機能が満載で、「こんな使い方ができるな。こんなシチュエーションで便利だろうな」と次々と山行アイデアが湧いてきます。残雪期にチャレンジしてみたいです。この「スタイン62」を担いでテン泊にも出かけたくなりました。


     


● Check Point
  • 雨蓋が外側に膨らむように作られているので、ベルトで締めても中身が潰れない。
  • メインの気室へはサイドジッパーで一発アクセス。
  • トップリッド(雨蓋)が素早くアタックザックになる。

 

Monitor's Voice #02
ザック自体が軽く、肩と腰への重量バランスがよい。
自分なりのカスタマイズをすることで、全ての条件で快適に使えるザック。
のぶさん(30代、男性)
登った山:室堂~薬師岳(2泊3日テント泊)、白馬岳(2泊3日テント泊)
登山歴:5年
02
ウエストベルトと「フューチュラヨークシステム」で、肩と腰への重量バランスがよい。
背中全体に荷重がかかり、肩の一部がひどく痛むことはない。

 8月13〜15日に室堂から五色ヶ原、スゴ乗越を経由し薬師岳、25〜27日に猿倉から鑓温泉、白馬三山にテント泊装備で行きました。

 8月13日は、立山駅からアルペンルートを進み、室堂へ向かいました。室堂を出発した時は晴れでしたが、登るにつれてガスが出ました。14日は途中でガスも晴れ、立山から薬師岳まで見渡すことができたものの、後半のスゴ乗越小屋に向けてはガスや小雨の中の登山です。15日は日程を変更し、折立まで下山しました。

 「スタイン62」は、普段使っているザックと比べてショルダーハーネスのパットが薄いのですが、ウエストベルトと「フューチュラヨークシステム」のパットが非常によく、肩と腰への重量バランスが適切だと思いました。初日は6時間ほど歩きましたが、肩が痛くなることはありませんでした。さすがに3日目は約10時間行動したこともあって、後半ともなると疲れもあり、ザックを重たく感じ、肩が痛くなることはありました。ただ、普段使っているザックの場合、肩の一部が非常に痛くなり辛いことも多いのですが、「スタイン62」は背中全体に荷重がかかっているようで、そこまでの痛みになることはありませんでした。重量は22kgでしたが、3日間を通して快適に背負うことができたと思います。

 8月25日は、土砂降りの中、猿倉から鑓温泉まで歩きました。「スタイン62」は、フロントポケットやサイドポケット、雨蓋といろんなところに収納する場所があるのですが、基本的にザックを下ろす必要があったので、雨の日は特にウエストベルトにポケットがあると行動食などが取り出しやすいなと思いました。鑓温泉に到着した時は雨。テント設営は小雨の中行いましたが、サイドアクセスはザックの下部まで十分に開くため、雨蓋をつけた状態でザックの奥の荷物も取り出しやすく、テント設営もスムーズに行えました。

 26日、鑓温泉を出発する時には晴れ、鑓ヶ岳山頂からは、杓子岳、白馬岳、剱岳や遠くには槍ヶ岳も見渡せて、白馬三山を巡りました。27日は、猿倉へゆっくりと下山しました。


     

ザック自体の重量が容量に対しては軽く、背負い心地がよい。
3泊4日のテント泊の荷物が十分に入る収納力。

 「スタイン62」は、ザック自体の重量が容量に対しては軽いと感じました。所有しているザックと比較してショルダーハーネスは薄いのですが、ウエストベルトは十分な厚さがあり、背負い心地は良かったです。「フューチュラヨークシステム」は独特の調整方法ですが、やり方を覚えてしまえば非常に簡単に調整できました。背負い心地は内蔵のフレームでうまく背中全体に荷物の重量を伝えていて、重たい荷物でも心地よく担ぐことができました。

 「ダブルフロントポケット」の本体部分にパンパンに荷物を入れてもポケット部の生地が突っ張ることもなく、荷物の出し入れが容易にできます。左右で収納量が異なり、細々したものと大きいものを分けて収納することができ、使い勝手がよかったです。バーナ用の風防、エマージェンシーシート、日焼け止めなどを入れましたが、レインウェアやソフトシェルなどのザックを下ろした時に使いたいものを入れてもよさそうです。

 これまで2気室のザックでも下の空間はコンプレッションが難しいため、結局1気室として使うことが多かったのですが、「スタイン62」はコンプレッションベルトがあるため、余すことなく荷物を入れることができました。ただし、入れすぎるとコンプレッションベルトを使ってもジッパーが閉めづらいことがあります。また、ザックの底に当たるため、ドライサックに入れて濡れから守る必要を感じました。「スピードジップコンパートメント」には寝袋、着替えを入れました。コップレッションして入れるため、上部に荷物が入った状態では荷物の取り取り出しが難しく、基本テント場で取り出すものを入れるとよさそうですね。サイドポケットは深さもあり荷物を入れやすかったです。ただし、本体をパンパンにした状態では、若干荷物が入れづらく、500mℓのナルゲンボトルがギリギリでした。

 雨蓋が2つに分かれていることで荷物の入れ分けができ、収納量が多いのでたくさんの荷物が入ります。外側の雨蓋はレインカバーをつけるとアクセスが悪くなるので使い分けが必要だと感じました。内側に貴重品を入れるスペースがあるとさらに使い勝手がよいのではと思います。アタックザックとして使うときもザック本体からショルダーハーネス部を外すのは簡単にでき、雨蓋に取り付けることも簡単でした。また、ザック本体のショルダーハーネスを使うので背負い心地は非常によかったです。ただし、「フューチュラヨークシステム」を一度外すので、元の位置に戻す工夫が必要でした。

 あとは、ロールマットを外付けできるベルトが下部に欲しいですね。それと、ウエストベルトに地図や行動食が簡単に取り出せる収納も欲しいです。

 「スタイン62」の表示は62ℓですが、荷物は非常に多く入り、3泊4日(当初の予定。悪天候で短縮)のテント泊の荷物が十分に収納できました。自分なりのカスタマイズをすることによって全ての条件で快適に使えるザックとなっていくのではないかと思います。


     


● Check Point
  • 「ダブルフロントポケット」にパンパンに荷物を入れても生地が突っ張らず、荷物の出し入れも容易。
  • サイドポケットは深さもあり、荷物を入れやすい。
  • 雨蓋は収納量が多く、2つに分かれていることで荷物の入れ分けができる。

 

Monitor's Voice #03
かなりの精度で背中にフィットさせ、体とザックとの一体感を得ることができる。
荷重の分散能力が高く、肩や腰の痛みが起こりにくい。
吉岡裕雄さん(30代、男性)
登った山:三峰山(日帰り)、瑞牆山(日帰り)、光岳~聖岳縦走(1泊2日、山小屋泊)
登山歴:6~7年
03
登りながら微調整を繰り返していくうちに、一体感を感じるフィッティングに。
1日13時間を超える山行でも、肩や腰が痛くならない。

 8月27~28日に南部南アルプスの光岳~聖岳の縦走登山に「スタイン62」を使用しました。このほか、三峰山、瑞牆山の日帰り登山でも試してみました。

 南アルプス1日目は早朝3時半に歩き始めて易老渡~易老岳~光岳~易老岳~茶臼岳~茶臼小屋といった行程。「スタイン62」が秀逸なのは、適当なフィッティングでも何となく気持ちよく担げてしまうこと。そして実際に登りながら微調整を繰り返していくうちに、一体感を感じることができます。サイドのコンプレッションもよく効くため、急登でもさほど揺さぶられる感じはありませんでした。光岳の核心部の枯れた沢を登っているときは陽も照り付け、何度も水分補給が必要でした。サイドポケットも比較的大きく500mlのナルゲンボトルも余裕をもって入れられましたが、担いだままの出し入れはちょっと大変でした。

2日間共に1日13時間を超える山行で、足は棒の様になり足の裏もひどく痛みました。元々腰に不安を抱えていたのですが、肩や腰がまったく痛くなっていないことに驚きました。荷重の分散能力の高さを実感できました。他日、三峰山、瑞牆山の日帰り登山でも荷物を多めに入れて使用してみましたが、コンプレッションがよく効くとはいえ、荷物のかさが少ない状態では中身が動いてしまったり、雨蓋がずれてしまったりが目立ち、快適とは言えない状態でした。


     

肩への荷重が軽いため、重量を入れたときも楽に長時間背負える。
表記の容量以上によく入り、ポケットなども充実。

 「スタイン62」はザック自体の重量は大きさの割りに軽い方ではないかと思います。ウェストハーネスの基部が二重構造になっており、本体から延びる外側の固いパーツがザックの荷重を腰骨に確実に伝えているのを感じました。肩への荷重が軽いため重量を入れたときも楽に長時間背負っていられました。何といっても「フューチュラヨークシステム」によって無段階で微調整ができることで完璧なフィッティングを実現できます。今回、フィッティングを事前に済ませましたが、微妙に肩への荷重が気になって途中で背長を1㎝だけ伸ばすと驚くほど快適になりました。本システムではかなりの精度で背中にフィットさせ、ザックとの一体感を得ることが可能です。

 「ダブルフロントポケット」は、頻繁に出し入れするモノを入れるのに便利でした。左右は大小別のポケットになっていて、小さい方にはゲーターを、大きい方にはレインウェアの上下を収納しました。レインウェアは丸めず畳んで入れることでパッキングもスッキリし、濡れたものをザックの中に入れなくて済むのは大きな利点に感じます。大きいポケットは冬にはアイゼンなどを入れるのにも十分な大きさです。

 「スピードジップコンパートメント」は、中に広い布付きのコンプレッションベルトがついており、シェラフ等を外のジッパーに噛ませることなく開け閉めできます。サイドアクセスは大きく下まで開き、目で見て確認しながら容易に取り出せました。サイドポケットの素材はゴムではなく、丈夫で伸縮するメッシュ生地でできているので、長期間の使用でも伸びることはなさそうです。コンプレッションベルトもポケット内を通過しているので寸胴な水筒などを入れても落とす心配は少なそうです。

 雨蓋に関しては、大きなポケットが2つ並んでおり、容量は十分すぎるくらい。アタックザックにすると、大型ザック用のハーネスを使用するので、背負い心地も申し分ないです。軽く走っても背中に張り付いたかのごとく、ブレることもありません。ただし、「フューチュラヨークシステム」の大きなマジックテープをはがしたり、何かと手間がかかる上に、微調整したメインザックの設定もくるってしまうので、山行中にバラしたくないですが。前後に割れたデザインと大きさのお陰で、本体と雨蓋の間にロールマット等の物を挟み込むと、しっかりと安定して抱え込んでくれた点も気に入りました。ただ、荷物が少な目の時に、雨蓋に重めの物を入れると後方がズレてしまう所はぜひ改良してもらいたいです。

 「スタイン62」の容量は表示よりかなり大きく感じ、持っていきたいものは全部詰め込むことができました。今回は小屋泊でしたが、テント泊縦走登山など、衣食住を担ぐ場面でこの容量が活きてくると思います。長時間歩くロングトレイルに使うのもよさそうです。軽量化するために素材を従来の生地よりも薄いものを使用しているようなので、様々なシチュエーション(雪山や海外登山など)で長く使って、このザックの強度と本来のポテンシャルをもっと試してみたいと思いました。


     


● Check Point
  • ウェストハーネスの基部が二重構造で、腰に確実に荷重を伝える。
  • 雨蓋をアタックザックにすると、背負い心地がよく、走ってもぶれない。
  • 表示の62ℓよりも大きく感じられるほど、容量がある。

 

Monitor's Voice #04
背負った感じが軽く、荷物が多い長期の縦走に対応できる。
使いこみ、自分なりのカスタマイズで可能性が広がる「スタイン62」。
岩﨑護さん(30代、男性)
登った山:南アルプス・悪沢岳と赤石岳(1泊2日、山小屋泊)
登山歴:7年
04
ザックカバーを少しずらすだけで内部のものを取り出せるサイドアクセス。
ポケットや収納する場所が多く、62ℓ以上の容量がありそう。

 8月12日~13日、南アルプス悪沢岳と赤石岳に行きました。1日目は椹島~千枚小屋で約6時間、2日目は千枚小屋~千枚岳~悪沢岳~荒川小屋~赤石岳~赤石小屋~椹島で約12時間の山行でした。1日目の登り始めは曇り、午後2時より雨、2日目の登り始めは晴れ、悪沢岳の山頂は曇りという、比較的不安定な天候の中での登山となりました。

 にわか雨に見舞われるも、ザックカバーを全て取り外さず、少しザックカバーをずらすだけでサイドアクセスから内部のものを取り出せたのが大変便利でした。サイドポケットについても同様で利便性においては申し分ありません。また、止水ジッパーもしっかり設置されており、ハードな山行であればあるほど、その機能を十分に果たすことできると考えます。2日目は長時間の山行にもかかわらず、あまりバックパックの重さを感じることなく、12時間を超える山行を終えることができました。

 「ダブルフロントポケット」は収納力があり、収納箇所も多く、使い心地がよかったです。また止水ジップもしっかりと施されていたので、雨の中の歩行を長時間行いましたが、内部のものについては(ザックカバーを使用してはいましたが)、心配せず歩くことができましたし、小屋に着いてももちろん問題ありませんでした。ダブルフロントポケットの1箇所はそれなりの収納力があり、ゴミや汚れた着替えを入れて重宝しました。もう1箇所については、すぐに取り出せる行動食等を入れました。本体下部の「スピードジップコンパートメント」には寝袋や着替えなどを入れました。膨らみやすい収納でやわらかいものを収納すると「スピードジップコンパートメント」の利点が発揮されると思います。

 「スタイン62」は、ポケットや収納する場所が多くあるので、62ℓ以上の容量であるように感じます。逆に多機能で柔軟性も兼ね備えているので、使い込めば使い込むほど「スタイン62」における自分なりのスタイルが確立されると感じます。


     

背負い心地がよく、背負った感じが軽い。
「フューチュラヨークシステム」の調整方法がシンプルでよい。

 「スタイン62」はバックパック自体の自重も軽いと思いますし、背負い心地もよく、背負った感じが軽いと思います。背負い心地については、今まで使っていた、背中の形状が湾曲して体にフィットしてくるザックには劣りますが、歩いていて不快感はありません。「フューチュラヨークシステム」でバックパネルを調整する方法は、シンプルでよかったのですが、購入者への説明のタグのようなものがあると尚わかりやすいと感じました。

 「スタイン62」で改良をしてほしい点は、腰ベルトにアクセサリーなどを取り付けられる工夫やハイドレーションシステムへの説明などがほしいこと。どこにボトルを入れた方がいいといった提案(説明)があると親切だと思います。 62ℓに近い容量のものを本体に積込み、しっかりとしたパッキングを行うことで山行がより快適になり、このバックパックの利点を最大限活かせると考えます。雨蓋は思いのほか容量が大きく便利なので、たくさん物を入れてしまいがちですが、歩行中に偏ってしまい、バランスを崩しやすい時がありました。以上を踏まえると、やはり「スタイン62」は上級者向けのバックパックだと思います。

 「スタイン62」は今回のような雨の中での山行に適していました。もっと長期のテント泊縦走になると荷物が多く、重くなるので「スタイン62」の利点がより活かされると考えます。テント泊の縦走、小屋泊の長期縦走に向いているでしょう。「スタイン62」の持つ可能性は大きく、自分なりのカスタマイズや、使うごとに自分なりの収納のしかたに柔軟に対応できると思いますね。


     


● Check Point
  • ポケットは防水ジップで、雨の中でも安心して歩ける。
  • 「スピードジップコンパートメント」はやわらかいものの収納によい。
  • 雨蓋は容量が大きく、便利。

 

Monitor's Voice #05
総重量がより軽く感じられ、体への負担が軽い。
ジッパーやポケットに工夫があり、ストレスなく荷物を取り出せる。
N.Kさん(30代、女性)
登った山:八ヶ岳・東天狗岳(日帰り)
登山歴:7年
05
腰で荷物を背負うので、肩への負担がほとんどない。
荷物を取り出しやすいので、縦走にも向いている。

 7月27日、稲子湯から入山し、本沢温泉~天狗岳~黒百合平を経由して渋の湯に下山する日帰り山行を、1泊2日を想定した荷物(総重量11~12キロ程度)でモニターしました。歩行時間は約7時間でした。当日は晴れ。行動中は半そで+アームカバーでハイクアップ時は汗をかくものの、暑くもなく寒くもなく快適な天候でした。

 今まで一つのザックで無雪期、積雪期、縦走、登攀、沢などのジャンルに関係なく、ほぼ全ての山行で利用してきましたが、ヒップベルトやショルダーハーネスが薄目なことから、長時間背負うと必ず鎖骨にアザができていました。「スタイン62」を背負ってまず感じたのが、肩への負担がほとんどないこと。ヒップベルトの固さに最初は違和感がありましたが、慣れると腰で荷物を背負うことができるため、ザック自体の重量が重めなことを差し引いても、身体への負担は軽かったです。過去に似たようなコンセプトのザックを利用していましたが、「スタイン62」ほうが下部の形状がスリムなため、重心が下部に寄らず、より重さを感じにくかったように思います。

 ジッパーやポケットも工夫がされており、途中で休憩してコーヒーを飲む、幕営地でまず先にテントを出す、といった行為がストレスなく行えることが、毎日泊まる場所を移動する縦走で便利なのではないかと思います。ただロープベルトがなく、でこぼこした形状でアックスはつけにくいため、登攀装備をベースまで運ぶ山行や、積雪期の山行には使いづらいかもしれません。どんなタイプの山行にも使えるオールマイティーなモデルというよりは、使うポイントを絞ったほうがよいタイプのザックと思いました。


     

下部が広がっていないので、荷重が適切な位置に分散される。
要所要所を背負う感覚で、背中に暑さを感じにくい。

 「スタイン62」は下部が広がっていないなど、荷重が適切な位置に分散される形状になっている点がメリットでもあり、ザック自体の座りの悪さや、パッキングする物の形状を選ぶという点でのデメリットにも感じました。空の状態で背負うとヒップベルトやフレームの硬さが気になりましたが、ある程度の重さにしてから背負うと総重量よりも軽く感じ、また今回の重量(総重量11~12㎏程度)では肩への負担をほぼ感じなかったです。

 「フューチュラヨークシステム」は調整が思った以上に大変で、ベストな状態に調整ができているのか自信がなかったため、可能であればショップでプロに調整をしてもらったほうが、ザックの真価がわかると思います。ぺたっと面で背負うというよりは、要所要所を背負う感覚で、メッシュのザックには敵わないものの、面で背負うザックと比べると暑さを感じにくかったです。

 「ダブルフロントポケット」は、大きい方にレインウェアやザックカバーなど雨が降った際に使うものを入れ、小さいほうに本を入れてみました。容量が大きいため、チャックにウェアが絡むことなく、余裕を持って入れることができました。ですが、雨蓋にもかなり容量があるため、個人的にはなくてもよいと感じます。

 今回、シュラフ、マット、1人用テント本体を入れました。下部のジッパーについては、過去に保有していた大型ザックで上から物を押し入れた時にジッパーが開いてしまうことがあったのですが、「スピードジップコンパートメント」の構造であればそういったこともなく、上から遠慮なく荷物を入れられそうです。今までは「ちょっとコーヒーが飲みたいな」と思った時に、ザックの中身を出すのが面倒で我慢していたところを、今回はサイドアクセスを使って火器をすぐに出すことができました。また、サイドポケットについては、普段使っている500mlのボトルがすっぽりと収まり、落下の心配がなかったです。ザックのコンプレッションとサイドポケットが独立していることも、ザックのコンプレッションにサイドポケットの容量が左右されず便利だと思いました。

 アタックザックとして使える雨蓋については、幕営場所から1~2時間の頂上ピストン等の用途であれは十分な容量だと思います。ただ、ザック本体からベルクロをはがしてアタックザックとして使った後、付け直す作業が大変なので、現場でそれがスピーディーにできるかが微妙。特にパーティー山行では1人だけ準備に時間がかかってしまうかも。

 「ダブルフロントポケット」を大きいもの一つに、「アタックザックとして使える雨蓋」をウエストバックやたすき掛け程度の肩紐にすれば、もっとよいと思います。

 当初1泊2日の予定が天候の都合で日帰りになってしまい、十分な検証を行うことができなかったのですが、「スタイン62」は荷物が重くなってこそ真価を発揮すると思うので、2泊3日以上の山行に向いていると思います。肩への負担が少ないことと、出したい荷物に素早くアクセスできる点などから、これからも「スタイン62」を使っていきます。


     


● Check Point
  • 下部の形状がスリムなので、重心が下部に寄らず、重さを感じにくい。
  • サイドアクセスを使って必要な荷物をすぐに出すことができる。
  • ザックのコンプレッションとサイドポケットが独立している。
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