世界初の国立公園、イエローストーンの北の玄関口に位置するモンタナ州ボーズマンは、街から30分圏内でさまざまなアウトドアアクティビティができるとあって、アウトドアブランドの本拠地が多く存在することで知られている。

　2000年に誕生したミステリーランチ（MYSTERY RANCH）もボーズマンに本社を構えるパックブランドだ。創業者は、90年代半ばに、世界中で熱狂的ファンに愛された「デイナデザイン」をつくったデイナ・グリーソン。彼の40年以上に渡るバックパックへの情熱と経験から生み出されるミステリーランチ製品は、重い荷物でも安定して快適に背負え、過酷なフィールドで使用してもビクともしない耐久性が特長だ。米軍特殊部隊や森林消防隊など、プロご用達のバックパックとしても名高い。

　そんな妥協なきモノづくりを行なう同ブランドの登山向けラインナップに、62Lの大型バックパック「スタイン62（STEIN62）」が加わった。

　スタイン62は、定番の70Lのバックパック「グレーシャー（GLACIER）」を進化させたモデルだ。容量を62Lにダウンサイジングし、軽量で強靭な400Dのナイロンファブリックを採用するとともに、よりシンプルなデザインと各部のシェイプアップを図ることで、軽量化を実現している。

　まず、注目したいのは、抜群の背負い心地だ。ミステリーランチの特長でもある、フィッティングの良さは健在。パック本体とヨーク（ショルダーハーネス一体パーツ）がベルクロで結束する独自のバックパネル機構「フューチュラヨークシステム」で、無段階の背面長調整が可能だ。また、このヨークの中には、背中のカーブを象ったフレームシートが内蔵されており、垂直方向には優れた強度を、ねじれ方向には適度な柔軟性を発揮し、歩行中も常にパックが背中にフィットし、快適に背負えるようになっている。

　大型モデルではフレームのつくりも重要。スタイン62には、スタインのために開発されたフレームが採用されているため、装備の重さをしっかり支えることができ、長時間の安定した歩行が可能だ。ちなみに、これまで登山向けのエクスペディションラインでは、パックに垂直に配したロッドに、グラスファイバーが使用されていたが、より軽量なカーボンファイバーに変更されている。また、背面のフォームを肉抜きするなど、フレーム自体の軽量化がなされている。

　独自の機構で抜群のフィット感と優れた荷物運搬性能を発揮するスタイン62だが、使い勝手や機能面も注目に値する。

　 　フロントには2層になった「ダブルフロントポケット」を装備。左側からアクセスするポケットはアイゼンを入れられるほどの大容量。右側からアクセスするポケットは小物を入れやすい容量と、用途に合わせて使い分けができる。

　また、雨蓋は外せるようになっており、本体背面から外したヨークと組み合わせることで、アタックザックとなるギミックも搭載している。以前より雨蓋を外し、ウェストバックとして使えるモデルもあるが、こちらはハイドレーションシステムを備えた本格的なサブザックとして使え、便利だ。

　本体下部には開口が広く、アクセス容易な「スピードジップコンパートメント」を装備する。　内部のコンプレッションベルトで、寝袋などを圧縮してからジッパーを閉められるため、スムーズな開閉が可能で、ジッパーが噛まないようにする煩わしさがない。ほかにも、サイドアクセスや、シーンに合わせてコンプレッション方法が変えられるランスルーコンプレッションベルト・サイドポケットを備えている。

　軽くて機能的、しかも抜群のフィット感と耐久性を持つスタイン62。テント泊縦走やロングトレイル、雪山など、この容量のモデルを求めているなら、試さない手はない。ぜひ店頭で試用を！