風に強いから山でも性能が安定
…だから安心して使える
1969年に創業し、世界初となる分離型液体燃料ストーブを開発するなど、さまざまな革新的なギアを世に送り出し、現在も、「ウィスパーライト」や「ドラゴンフライ」など、高品質なガソリンストーブをリリースするMSR(Mountain Safety Research /エムエスアール)。そんなMSRから、昨年、満を持して日本でも発売が開始された、クッカーとバーナーが一体となったガスストーブ「ウィンドバーナーパーソナルストーブシステム」(以下、ウィンドバーナー)が発売された。
商品名に「ウィンド」と付いているように、このストーブは、風にめっぽう強いことが特長。フィールドでは、無風ということは少なく、標高が上がるにつれ、樹林がなくなり、風が吹く状態が常である。実際、登山で湯沸かしをした際に、「炎が風で流され、なかなか湯が沸かない」という経験をした人は少なくないだろう。山では、風速1~2m/秒の風は当たり前。風速5m/秒まで強まると、沸点に達しないばかりか、火が消えてしまうこともある。
しかし、このウィンドバーナーは、普通のバーナーなら点火してもすぐ火が消えてしまうような風速7m/秒程度でも、お湯を沸かすことができる。悪天候下であっても、確実に湯が沸かせられるというのは、「山での安全」を第一に考えるMSRならではの製品と言える。
続きを読む高耐風&低燃費!
一次空気のみを使用する燃焼機構
ウィンドバーナーの耐風性の高さは、100%一次空気のみを使用して燃焼するラジエント式(炎が出ない)バーナー機構によるもの。バーナーヘッドには、「バーナースクリーン」と呼ばれる金属でできたメッシュ状の火口があり、このスクリーンを過熱し、専用ポットへ効率的に熱を伝える仕組みだ。これにより、専用ポットの底部でバーナー部を覆い、閉じられた空間で燃料を燃焼させられるようになった。つまり、生み出される熱を無駄なく専用ポットへ伝えられ、また、風の影響をほとんど受けないのだ。
さらに、気温や気圧などの外的要因にかかわらず、一貫したパフォーマンスを発揮するため、バーナーヘッドには、「プレッシャーレギュレーター」という安定した燃料噴出を実現するシステムを搭載。加えて、専用ポットの底部には、より効率よく熱を受けられるよう扇風機の羽のようなフィン「ヒートエクスチェンジャー」を備える。
最高出力は、1,765kcal/hと、極端に高くないのは、ヒートロスが少なく、低燃費であるがゆえ。カタログ値では、ウィンドバーナーよりも高出力で、より短時間で湯が沸くように見えるストーブもあるが、実際のフィールドでは異なることも。湯を沸かすのに時間がかかれば、消費燃料も増える。高出力モデルであれば、なおさらだ。ウィンドバーナーは、風に強く、効率的で安定した火力が得られるため、ガスがセーブできる。500mlの水を沸騰させるには約2分半で済み、消費される燃料は7~9gと安定しているので、携行する燃料缶の計算が立てやすいのもポイントだ。
続きを読む使いやすさや安全性を考えた
システム&パーツ
ウィンドバーナーのシステムには、クッカーとバーナーのほか、蓋、ボウル、キャニスタースタンド(ガスカートリッジを安定させる三脚)、吸水性の高いパックタオルが付属する。専用ガスカートリッジを含めた、これらすべてが1Lのクッカーの中にスッポリ収納でき、携行しやすい。
付属のパックタオルは、クッカーの底の傷付きと、歩行時のカタカタ音を防ぐのに役立つ。蓋は、クッカーやボウルの蓋として使え、飲み口用の小さな穴や湯切り用のスリットが付く。
ウィンドバーナーのシステムでは、熱効率の最大化を図る専用設計されたガス混合比のガスカートリッジ「イソプロ(ISOPRO)」の使用が指定されている。「イソプロ110」と「イソプロ227」の2種類のサイズがそろう。他社製のカートリッジを使用すると、ガス漏れや不完全燃焼など、危険を伴うので絶対に避けること。
ウィンドバーナーには、点火装置は付属していないので、ライターやマッチ、ファイヤースターターなどの点火用具が必要となる。
空焚きや輻射熱でストーブが異常に高温になったときは、自動で燃焼を止める安全装置を装備しているのも特筆すべき点だろう。いかに安心・安全を考えたストーブであるかがわかる。
ほかにも1.8Lのモデルや、専用のコーヒープレスキットやスキレット、ウィンドバーナーを吊るして使えるハンギングキットなどのオプションも用意されている。
続きを読む製品情報
極めて風に強く、軽量コンパクトで、低燃費のクッカー&バーナー一体型調理器具「ウィンドバーナーパーソナルシステム」。このオールインワンストーブがあれば、ソロ登山から、2、3人のシンプルな山ごはんを、快適、迅速、安全に作れる!
MSR/ウィンドバーナーパーソナルストーブシステム
- 価格
- 28,600円(税込)
- サイズ
- 11.5×10.7×18.1cm
- 最高出力
- 1,765kcal/h
- 重量
- 465g(ガスカートリッジ除く)
- カラー
- 1色
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MSR(Mountain Safety Research)の起源は、1969年に遡る。アメリカ・シアトルを拠点に活動していた登山家のラリー・ペンバシーは、登山愛好家の山での安全に対する意識向上を図ろうと、当時市場に出回っていた登山用具のセーフティレベルをテストし、結果をニュースレターとして発行。幅広いテストと研究開発から、独自の革新的な登山用具をMSRブランドとして発売したことに始まる。その後も、高山や極地でも安心して使えるギアを次々に世に送り出し、信頼のギアブランドとして広く知られるようになった。現在では、ストーブやクッカーのほか、テントやスノーシュー、ポール、浄水器などを展開している。
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