尾瀬沼で山小屋に泊まり、ゆったりとした時間の流れを味わおう。尾瀬沼一周なら日帰りでも歩けるコースだが、夕焼けで真っ赤に染まる尾瀬沼や、天の川迫る満天の星の感動は、山小屋に泊まらなければ体験できない風景だ。
尾瀬沼山峠バス停からは、オオシラビソを中心とした針葉樹の森を登っていく。沼山峠展望台からは尾瀬沼を一望できるので、立ち寄ってみたい。木道脇にはマイヅルソウやゴゼンタチバナが群生し、大江湿原は春ならミズバショウ、夏にはニッコウキスゲの群落、秋の草紅葉が美しい。
1日目は尾瀬沼東岸を通って三平下をめざそう。三平下手前のベンチは、燧ヶ岳を正面に尾瀬沼が美しく映える絶景ポイント。夕暮れ時や星空観賞にもおすすめだ。
2日目は尾瀬沼南岸を沼尻へ。尾瀬沼を眺めながら歩ける気持ちのいい道だが、足元が悪い部分があって、注意が必要だ。沼尻の池塘越しに見る尾瀬沼も美しい。ヒオウギアヤメが咲く尾瀬沼北岸を抜けて沼山峠に戻ろう。
特別豪雪地帯に指定される尾瀬の冬はとても厳しく、3~5mもの積雪がある。雪が積もり始める11月上旬から雪が解ける6月上旬まで、年間200日近くも雪に覆われることになる。雪の重さは想像以上で、春先の固まった雪になると1㎥当たり300~500kgにも達する。各山小屋やビジターセンターなどの施設や橋は、雪の重さで壊れてしまうのを防ぐため、例年2~3月に人力で除雪を行なっている。
写真・文=浅井理人