本州最大の湿原である尾瀬ヶ原をぐるりと一周。東西6km・南北2kmにわたる広大な湿原をたっぷりと堪能する、1泊2日の尾瀬湿原旅行。
鳩待峠からは広葉樹林帯を山ノ鼻まで下る。人の手が入っていないブナの森には巨木も多く、新緑時はやわらかい緑に包まれる。山ノ鼻で小休止をしたら、いよいよ尾瀬ヶ原へ出発。尾瀬ヶ原の魅力は、なんといっても抜群の開放感だ。ミズバショウに始まり、ワタスゲやレンゲツツジ、アヤメの群落、草紅葉と、いつでも見どころはたっぷり。歩き進めると、やがて美しい逆さ燧が池塘に映る上ノ大堀に到着。牛首先の下ノ大堀もミズバショウスポットなので立ち寄りたい。
宿泊地の龍宮小屋は尾瀬ヶ原の中心に立つ一軒宿。早朝の散歩は清々しく、尾瀬ヶ原名物の白い虹が見られることも。朝日を浴びる至仏山を眺めながら、見晴を経由して赤田代分岐へ。早朝なら人けもなく静かな湿原を楽しめる。ヨッピ吊橋を渡り牛首に戻ると、尾瀬ヶ原一周が完了だ。
尾瀬ヶ原の池塘にひっそりと咲くオゼコウホネ。尾瀬でもとても希少な植物で、数は少なくなってきている。上ノ大堀や研究見本園の池塘を探してみよう。花の時期は7月中旬~8月中旬と比較的長く、夏の池塘の主役と言ってもよいだろう。花の中心の雌しべが赤みを帯びているのが特徴。「尾瀬」の名を冠した植物を見つけると、なんだかうれしくなるものだ。ちなみに尾瀬の名をいただく植物は18種類ある。
写真・文=浅井理人