燧ヶ岳
東北以北の最高峰、尾瀬の名峰・燧ヶ岳へ
1泊2日 | 体力度 ★★★
みどころ
  • 尾瀬沼を背に一気に駆け上がるナデッ窪登山道
  • 尾瀬を一望できる山頂からのパノラマ大展望と、残雪の山のコントラストが見事
俎嵓山頂から見た柴安嵓と尾瀬ヶ原・至仏山

独立峰である燧ヶ岳の姿は、尾瀬のどこから見ても力強く美しい。4つある登山道のなかでも最も難ルートとされるナデッ窪から山頂をめざそう。

沼山峠から尾瀬沼東岸地区の山小屋をめざす。大江湿原には、燧ヶ岳を一望できるビューポイントもある。翌日は尾瀬沼北岸からナデッ窪登山道へ。御池岳まで急登の岩場が続く。登りは大変だが、そんななかでもぜひ注目してほしいのが、ヒカリゴケだ。大きな岩の隙間にぼんやりと光り輝く姿が美しい。

このコースは眺望もすばらしく、背後に尾瀬沼が広がる高度感がたまらない。御池岳で長英新道と合流し俎嵓に到着する。三角点がある俎嵓からは富士山が見えることも。俎嵓からもうひと踏ん張りで柴安嵓。柴安嵓からは尾瀬ヶ原を一望でき、その広さを実感できる。下山は俎嵓を経由し尾瀬御池へ向かう。熊沢田代まで下りると開放的な湿原が広がる。夏にはキンコウカが美しい天上の楽園だ。池塘に挟まれたベンチで一服してから下山しよう。

1986mに位置する熊沢田代から俎嵓を望む
ナデッ窪登山道の背後には尾瀬沼が広がる
大きな岩が転がり、足場が悪いナデッ窪登山道
キンコウカが美しい沼尻平からのナデッ窪登山口
ホシガラスとハイマツ

稜線を歩いていると、ハイマツの松ぼっくりが散らばっているのを見かけることがある。これは、ホシガラスがハイマツの球果を器用にバラして、中の種子を抜いた跡。ホシガラスは種子をすぐには食べず、隠しためて、冬の餌とすることもある。餌の少ない冬にしっかりと備えているのだ。時間に余裕があるときにハイマツ帯をじっと観察すれば、星模様の美しいホシガラスを見つけることもできるだろう。

計画をたてる

CourseTime
[1日目]計1時間5分
沼山峠⇒ 尾瀬沼ヒュッテ、長蔵小屋
[2日目]計7時間20分
尾瀬沼ヒュッテ、長蔵小屋⇒沼尻⇒ナデッ窪⇒俎嵓⇒柴安嵓⇒俎嵓⇒尾瀬御池
Advice
ナデッ窪の由来は、「雪崩ッ窪」が訛ったものだといわれている。急峻な地形のため冬季は雪崩が頻発し、樹木はほとんど育たない。最短距離で登れるが、大きな岩がゴロゴロする、燧ヶ岳でいちばん険しいルートだ。自信のない人は長英新道から登ることをおすすめする。

写真・文=浅井理人

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