満月に映える槍ヶ岳~北穂高小屋から

満月に映える槍ヶ岳~北穂高小屋から
  • 部門 :
    #この夏のチャレンジ
  • 撮影者 :
  • 撮影場所 :
    北穂高小屋

 37年前、北穂高岳に初登頂し、夕陽、夜空、日の出の美しさに心を奪われ、人生観が一変しました。いつかは、この標高日本一の小屋で満点の星空を撮りたいという思いで働いてきました。今回、退職後の一番の夢にチャレンジしました。
 山仲間との同行を模索しましたが、単独行となり不安がよぎりました。また、星空用のレンズが重く、ザックのベルトが肩に食い込むたびに後悔の念が募りました。それでも昼過ぎ、なんとか北穂高小屋に到着。しかしながら、視界はほぼゼロの大ピンチ。天気が一変することを念じつつ早めに就寝。午前0時過ぎに目覚め、テラスに出てみると見事に晴れあがっていました。眼前には、大キレットを経ての、槍ヶ岳の雄姿。反対側には、涸沢カールを経ての、雪渓をまとう涸沢岳。思うようにならなくてもがんばってきた約40年の仕事へのご褒美だと自分勝手に解釈し、しばらく涙が止まりませんでした。
 ところで、星空撮影には月光が不向きなことは常識。それに気づいたのは、宿泊などの予約を済ませた頃だったので、計画は変更しませんでした。せっかくのレンズを生かすことにチャレンジしました。まず、南側の涸沢カールの「雪渓の白」をねらいました。目では見ることが難しい雪渓や涸沢岳を漂うガスが満月の逆光でベールのように写りました。そして、北側へ。満月に照らされる槍ヶ岳は刻々と変化していました。シャッタースピードを調整しながら撮影していくと岩肌まで写っていることに気付きました。2時ごろになると大キレットの西側から雲が湧き出て、東側に流れて消えていくようになり、夢中で何枚となくシャッターを切りました。
 今回のチャレンジは、当初の目的とは違うものになりましたが、結果としては大満足です。来年は、月齢をチェックし、槍ヶ岳が天を差す北の星空を撮りたいと今からわくわくしています。
 追記:北穂高小屋は、360度展望の山頂へ数メートルという稀有な小屋で、私の一番のお気に入りです。今回、山頂小屋で2泊してのんびり過ごす贅沢を満喫しました。

2枚組の写真なので、もう一枚はこの後、アップロードします。

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