Tweet |
今までにない安心感と快適性を体感
ゼロからつくりあげていくこと。1964年にイギリスで創業し、クライマーとともに画期的なプロダクトを生み出してきたカリマーの哲学だ。その精神をもとに、カリマーが日本人の先鋭的クライマーとタッグを組んで挑んだのが「ultimate project」。シリーズ第1弾のターゲットは、冬季のアルパインクライミングとアイスクライミング。それも、海外だけでなく「日本の山岳」を見据えての、だ。
メンヒにて。ロープで互いを結び合うコンティニュアスで登攀する
アイガー北壁を登攀する成田。 氷が少なく、ウェアやザックが岩にこすれ、耐久性が試された
企画段階からクライマーの成田賢二が参加
海外のアウトドアブランドが日本のフィールドと向き合うということは、既存製品のアップデートでは決して収まらない。日本で本当に必要とされるもの─たとえば、積雪量が多く湿度が高い日本の気候、欧米人とは異なる日本人の体型などを、確実に捉えたものでなければ意味がない。
そこで、企画段階からクライマーの成田賢二が参加。サンプル試作とフィールドテスト、改良という試行錯誤を経て、2019年秋にようやく新製品が姿を現わした。そこに込められたのは、華やかなスペックではなく、わずかな細部へのこだわりに見えるかもしれない。だからこそ、まずは着てみてほしい。きっと、今までにない安心感と快適性を体感できるはずだ。私たちに最も近い、日本の山で。
アイガー北壁を登攀する成田。 氷が少なく、ウェアやザックが岩にこすれ、耐久性が試された
メンヒでは低い気温と猛烈な風に襲われた
アプローチのテストに適した
ヨーロッパアルプスへ
極限を追い求めるために、「ultimate」シリーズのものづくりには、現場のリアルな声が欠かせなかった。そこで重要となるのが、フィールドテスト。製品企画からフィールドテストまで一貫して担ったのが、国内外で活躍する経験豊富なクライマーの成田賢二だ。
「ターゲットとなるレベルよりもさらに厳しい環境でテストをしなければ、よしあしはわからない」という成田の意見で、国内での随時のテストに加えて、2回の海外遠征を敢行。アイスクライミングを行なえる氷河があり、アルパインクライミングや長距離アプローチのテストに適したヨーロッパアルプスへと向かった。
メンヒでは低い気温と猛烈な風に襲われた
アイガー北壁のアプローチにて
求められる機能のみを厳選
成田のパートナーとして、注目の若手クライマーである船山潔も同行。「余計なものを極限まで削ぎ落とし、求められる機能のみを厳選する」という視点で、意見を交わし合う。
たとえばジャケットの袖口は、厚手のグローブを着けたままでも着脱しやすいサイズ感か、スムーズに調整できるか。ほんの小さな違和感でもそれがストレスとなって、厳しい環境下では致命傷になってしまう。だからこそ、その小さな違和感を徹底的に排除していく。さらにクライミングに集中するために、ウェアのシェイプにも強いこだわりが。素材の配置や立体裁断のアイデアを盛り込むことで体の動きに追従して、狙ったムーブをストレスなくできるように工夫を凝らした。
成田のパートナーとして参加した船山
傾斜の急な斜面や深雪のラッセルは機動力のテストになった
ミニマルかつハイレベルな“機能美”
性能面は、フィールドで酷使するスタイルでテスト。アイガー北壁では、訪れた当時まだ氷が少なく、ドライと雪壁のクライミングに。その環境ではジャケットやアルパインザックが岩に強くこすれるため、耐久性の確認になる。想定を上回る激しいスノーシャワーは防雪・防水面のテストにもなった。雪山登山で向かったメンヒでは、気温がマイナス18℃、岩稜帯では風速25mという環境で、保温・防風性能を体感。クライミング的な要素のある足上げ、肩まわりの動きのチェックを伴なった。
このように、机上では生まれ得ないフィードバックを繰り返してできた完成品を見た船山は、「不思議なほどに“機能美”という言葉が思い浮かんだ」という。過酷な山で使うための美しき機能を備えたプロダクト。それらは、アイスクライミングやアルパインクライミングのみならず、これから雪山登山を始める人にとってももちろん活用できるはず。ミニマルかつハイレベルな“機能美”は、登山のステップアップを後押ししてくれる、よき相棒になるだろう。
傾斜の急な斜面や深雪のラッセルは機動力のテストになった
軽量性と剛性、背負い心地を高次元で実現したアルパインザック。本体には軽量で高強度、さらに耐水性に優れたラミネートファブリックを採用。背面にはモールドタイプのバックパネルと取り外し可能なF formatを使用し、背負い心地を追求した。アルパインクライミングに必要なギア類を、使いやすくスマートに収納できる機能を搭載。野営ギアやロープ、クライミングギアを一式携行できる60lサイズは、アプローチから登攀まで幅広く活躍する。35lサイズは、厳選したギアで挑むテクニカルな登攀にフィットする。
MAIL : info@karrimor.tokyo