阿智村で山のぼり

夏の富士見台高原
夏の富士見台高原
登山靴
初秋の大川入山
秋の蛇峠山
冬の富士見台高原
冬の富士見台高原

企画・構成=山と溪谷オンライン 執筆=横尾絢子 イラスト=tent デザイン=yucca Sponsored contents 2023.06.02

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富士見台高原 萬岳荘1泊2日登山ツアーレポート 絶景満載!「日本一の星空」とご来光を見る山旅へ

Jun.
17~18

2023年6月17日~18日、阿智セブンサミットのひとつ、富士見台高原の登山イベントが開催されました。阿智☆昼神観光局の主催とあって、ツアーは阿智村の魅力をたっぷり味わえるコンテンツが満載!山と溪谷社とのコラボ企画でヘッドランプのお試し会も実施されました。山小屋に1泊して日本一の星空を楽しむ山旅へ、さあ出発です!

富士見台高原の山頂部。笹原が広がり、奥には恵那山がそびえています

登山ツアー当日、奇跡的な梅雨の晴れ間に当たり、阿智村には澄んだ青空が広がりました。集合場所の「東山道・園原ビジターセンター はゝき木館」に集まった参加者は、男性10人、女性14人の全24人。小学3年生から御年72歳(!)の方まで、年齢もさまざま、そして登山経験もさまざまです。小屋泊まりが初めての方、登山自体が初めてという方もいらっしゃいます。

登山の案内をしてくださるのは、山小屋・萬岳荘(ばんがくそう)管理人の原誠一さんと、南信州を拠点に活動されている登山ガイドの伊藤賢治さんのお二人。まずは原さんからルートについて説明がありました。

「今回、みなさんと歩くのは、古代に作られた東山道(とうさんどう)です。神坂(みさか)峠は、東山道のなかでも最も難所と言われた場所。防人(さきもり)は、大和朝廷の命令でここを通って九州の大宰府まで歩いて行ったんですよ。すごいですよね。僕なら絶対イヤって言います」とユーモアたっぷりに話す原さん。参加者からも笑いが湧き、一気に和やかなムードになりました。

ビジターセンターの展示で東山道について学びます
登山ガイドの伊藤賢治さん(中)と原誠一さん(右)。2日間お世話になります!
杉林や広葉樹が交じる、変化のある登山道を登っていきます

登山口の神坂神社まで移動し、2チームに分かれます。筆者は原さんのチームに入りました。樹齢2000年といわれる巨樹の御神木がある神坂神社で参拝したあと、いよいよ登山開始です。

植物が大好きという原さんが、登りながら足元の草花を次々に説明してくれます。60年に一度しか咲かないササの花、甘い香りのコアジサイ……。原さんのお話を聞いていると、登りのつらさもいつの間にか吹き飛んでいました。

ガイドさんの解説を楽しみながら、ゆっくりペースで進みます
南信州菓子工房のドライフルーツは、ほどよい酸味と甘みで行動食に最適!
登山道脇にコアジサイの花が咲き、甘い香りが漂います
腐生植物のギンリョウソウもあちこちに。別名「ユウレイタケ」
ニガナの黄色い花が登山道を明るく彩ります
苔むした切り株に作られたアート作品にほっこり

尾根に出ると勾配が緩やかになりました。小さなアップダウンを繰り返しながら尾根沿いの道を進みます。時おり視界が広がって、日本百名山の恵那山や、阿智セブンサミットの大川入山の姿が望めました。

3時間ちょっとで萬岳荘に到着。ゆっくり歩いてきたからか、みなさんまだまだ元気いっぱいです。ここからは焼肉BBQ、星空観察、山頂でのご来光と、ツアーのメインコンテンツが目白押し。阿智の山に浸る一夜が始まります!

広いテラスがある萬岳荘
管理人の原誠一さん(左)と、小屋番の竹内敦さん(右)
ウェルカムスイーツは天龍村産の柚子のゼリー。酸味が爽やか

南信州のソウルフードを知っていますか?それは「焼肉」です。飯田市では人口1万人あたりの焼肉店の数が日本一という統計があるほどで、南信州人は焼肉が大好きなのです。日常の「おうち焼肉」だけでなく、ちょっとしたイベントなどでも、大きな鉄板で肉を焼く「焼肉文化」が根付いているそうです。さらに、お肉屋さんが肉や野菜のほか鉄板やガスコンロまで届けてくれる「出前焼肉」という文化もあるとか。そんな「出前焼肉」を山小屋である萬岳荘で体験します!

席決めもユニーク。ひとりずつ用意されたカードを引き、カードに描かれた山の標高順に席が決まります。周りは初めましての方ばかりですが、一緒に肉を焼いて食べるうちに、登山談議に花が咲き、あっという間に打ち解けることができました。やっぱり山好きはみんな仲間ですね!

シメの焼きそばを食べ終わるころには、お腹もいっぱい。地元のシードルなどを味わいながら、楽しいおしゃべりの時間は辺りが暗くなるまで続きました。

カードを引いて、描かれた山の標高で座る席が決まります
牛、豚、鶏、羊……。種類が豊富なのも南信州の焼肉の特徴
南信州のシードルを焼肉のおともに。至福のひとときです
はい、どんどん焼いて!山盛りのお肉でパワー回復
鉄板焼肉のシメは、やっぱり焼きそばですね!

太陽が沈み、薄暮の空にポツポツと星が見え始めてきました。でも星空観察にはまだ早そうです。そこで、山と溪谷社プレゼンツの「ヘッドランプお試し会」が始まりました。

最初にYouTubeチャンネル「山と溪谷.ch」の動画が上映され、ヘッドランプの特徴や選び方を学びました。最近は高機能なモデルが多く、目的に合わせて選択肢も広がっているみたいです。動画のあとは、実際に主要メーカーの最新モデルを手に取って比較してみます。お店では暗がりでテストすることが難しいこともあり、参加者のみなさんも興味津々!明るさや形状だけでなく、照射モードや充電方法など、細かい視点で検討していました。

熱心にヘッドランプを比較する参加者のみなさん
スクリーンに映された動画で最新情報をお勉強!
さまざまなメーカーの最新モデルがずらり

地上近くに残った光も消え、星が現われてきました。ラッキーなことに、空には雲ひとつありません。「わー!キレイ!」とみんな大喜び。と同時に原さんによる星空解説が始まりました。「これは、さそり座。こちらが北斗七星。ということはこれが北極星です」。

夜空をまっすぐに横切る光は飛行機かと思いきや、「点滅していないので人工衛星です」と原さん。しばらくみんなで夜空を堪能しましたが、「天の川はまだ地面の下ですね。深夜になれば見えますよ」という原さんの言葉に、いったん就寝することになりました。

翌日は2時半に起きて、そっと小屋の外へ。空を見上げた瞬間、思わず息をのみました。闇の濃さを増した夜空には満天の星!吸い込まれてしまいそうな、まさに「日本一の星空」です。

すでに原さんの解説も始まっています。「ぼうっと白く見えるのが天の川。天の川を挟んで、ベガとアルタイル、つまり織姫と彦星があります。それと、はくちょう座のデネブをつないだのが夏の大三角形です」

強い光が尾を引いて一瞬のうちに消えました。大きな流れ星に歓声が上がります。流れ星や人工衛星は次から次に現われ、夜空をにぎやかに演出していました。

降るような星空。夏の星座がひしめいています
見上げていると空に吸い込まれてしまいそう

東の空が白み始めました。これからみんなで山頂へ向かい、ご来光を拝みます。山頂への案内役は、登山ガイドの伊藤さん。「山頂は開けているので、防風性のある雨具などを着てくださいね」と装備もしっかりチェックしてくれます。

ヘッドランプを点けて登っていくと、笹原の尾根に出ました。一気に視界が開けて、周囲の山並みが一望できます。

「これが中央アルプスで、こっちが南アルプス。反対側に見えるのが御嶽山と乗鞍岳です」と、伊藤さんが説明してくれます。「本当に全部の山が見えていますね。ここまで見えることは、なかなかないですよ」と伊藤さんもうれしそうです。

40分ほどで山頂に到着。東の空が明るくなっています。キラリと太陽が顔をのぞかせると、みるみるうちに大きくなりました。参加者から一斉に歓声が上がります。

朝日に燃えるグラデーションの空。アルプスの大展望。このすばらしい景色は、阿智村に来なければ見られません。ここまで登ってよかったという想いがふつふつとわいてきました。

暗闇のなかを山頂へ。ヘッドランプの光が連なります
神々しい日の出の瞬間
みんな朝日に釘付けになってしまいます

小屋に戻り、ゆっくりと朝食をいただきます。下山前には、阿智村の特産品やヘッドランプなどが当たるビンゴ大抽選会も行なわれて、大盛り上がり。

「はゝき木館」に戻った後は、アフタードリンクのサービスも。阿智村産のりんごジュース、ピーチ味の花桃ソーダなどで渇いた喉を潤しました。

今回の山旅の感想は、みなさんの笑顔を見れば聞くまでもないでしょう。天気に恵まれたことも大きいですが、それだけではない阿智の山ならではの魅力を感じることができました。

まぶしい朝の光を受けて小屋に戻ります
大抽選会で行なわれたのは、山名を潰していく「山ビンゴ」
樹林帯を歩き、神坂神社へ下山します。お疲れさまでした!
アフタードリンクは「はゝき木館」の花桃ソーダ(左)と、りんごジュース(右)

山小屋に泊まることで、夕陽や朝日、日本一の星空を楽しむことができます。なによりも、日常を離れて山の中でゆっくりと過ごすその時間は、かけがえのないものでした。

阿智☆昼神観光局が主催する登山ツアーは、今後も開催されます。ぜひ参加して、阿智の山のすばらしさを体験してみてくださいね!

(文=横尾絢子)