阿智村で山のぼり

夏の富士見台高原
夏の富士見台高原
登山靴
初秋の大川入山
秋の蛇峠山
冬の富士見台高原
冬の富士見台高原

企画・構成=山と溪谷オンライン 執筆=横尾絢子 イラスト=tent デザイン=yucca Sponsored contents 2023.06.02

  • Twitter
  • Facebook
  • はてなブックマーク
  • Twitter
  • Facebook
  • LINE
  • はてなブックマーク

阿智村の山にのぼる

何度でも登りたい!「阿智セブンサミット」

恵那山

「阿智セブンサミット」とは、阿智村にある代表的な7つの山のこと。恵那山、富士見台高原、南沢山、網掛山、大川入山、蛇峠山、高鳥屋山の7座の総称です。日本百名山や信州百名山に選ばれた山を含む、どれも魅力にあふれた名峰ぞろい。駐車場や登山道が整備され、登山初心者でも楽しめるので、ぜひ個性豊かな7つの頂に登ってみてください。登山の際は、充分な準備と計画、そして登山届の提出を忘れずに。すべての頂に登ると、すてきな特典がもらえます。めざせ、セブンサミッター!

阿智セブンサミッター
認定バッジ

阿智セブンサミッター認定バッジ

条件

  1. 阿智セブンサミットに登ります。
  2. 各山頂の「阿智セブンサミット」指定の看板と一緒にご自身が写るように記念撮影してください。
  3. その写真を認定場所でお見せください。
  4. 7枚確認できればセブンサミッターとして認定され、バッジをプレゼント!

※写真の提示は、プリントや携帯・カメラの画像など、どんな形でもOKです。
※登るのは、どの時期、どの季節でもOKです。
※7つ登るのに何年かかっても大丈夫です。
※認定は通年受付しています。

認定場所

東山道・園原ビジターセンター「はゝき木館(ははきぎかん)」
https://www.hahakigi-kan.com
★開館時間:9:30~16:30
★火曜休館(祝日の場合は翌日)、年末年始
〒395-0304 長野県下伊那郡阿智村智里3604-1
TEL:0265-44-2011

阿智村セブンサミット

長野県下伊那郡阿智村の地図イラスト 恵那山 富士見台高原 南沢山 大川入山 蛇峠山 網掛山 高鳥屋山

SEVEN SUMMITS / Mt.Ena 恵那山(えなさん)
標高2191m

01

恵那山

恵那山は、阿智村と岐阜県中津川市の両方にまたがり、日本百名山と信州百名山の両方に選ばれている名峰です。天照大神(あまてらすおおみかみ)が生誕の際に、その胞衣(えな)をここに埋めたという伝説があり、それが山名の由来となったとか。明治26(1893)年に、英国人のウォルター・ウェストンが恵那山に登り、世界に紹介したことで有名になりました。

そんな恵那山は、数多くの高山植物が自生する植物の宝庫。低地丘陵帯・山地帯・亜高山帯が含まれるため、暖かい地方の植物から寒い地方の植物までが混生する、多様性に富んだ山なのです。ぜひ、登山道脇の草花にも目を留めながら歩いてください。

恵那山の頂へはいくつかのルートがあります(※)。なかでも神坂(みさか)峠ルートは、稜線沿いに道が付き、最も展望がよいことで人気のルート。登山口の神坂峠は、古代の官道「東山道」における最大の難所として知られ、荒ぶる神の坐す峠として「神坂峠」と名付けられたといわれます。遺物が多数出土し、古代祭祀遺跡として国史跡に指定されています。

※恵那山の各登山ルートは、通行可能かどうか事前に確認してお出かけください。
【通行状況のお問い合わせ】
長野県側ルート:阿智村役場地域経営課:TEL0265-43-2220
岐阜県側ルート:中津川市観光案内所:TEL0573-62-2277

阿智山人のおすすめポイント 恵那山の四季の魅力

原誠一

原誠一さん

信州阿智村在住の登山ガイドで、6年前から中央アルプス富士見台高原の萬岳(ばんがく)荘の管理人を兼務しています。ガイド範囲は、日本アルプス全域、熊野古道や旧東山道、中山道などの古道歩き、裏山での山菜、キノコ採りなどなど。冬季も萬岳荘を拠点として、スノーシューや雪遊び、雪洞体験会を開催しています。

冬の恵那山
春夏秋冬、いつ登っても楽しみがある恵那山

恵那山は、長野県側からは幾多の里山の奥に隠れてわかりづらい山姿ですが、岐阜県、愛知県からは、御嶽山と並んで、独立峰的にそびえています。山頂からは展望が期待できないといわれますが、山頂避難小屋の北側の物見岩からは、中央アルプス、南アルプスとその奥に富士山が望めます。避難小屋で泊まった翌朝は、雄大な南アルプスからのご来光が眺められます。

恵那山は、花の山でもあります。5月末には、神坂峠から登ると、シャクナゲのアーチに出迎えられます。また、6月は、サラサドウダンが薄ピンクから紅色までバリエーション豊かに咲き誇っています。サラサドウダンの株数は日本一といっても過言ではありません。

また、山頂避難小屋の脇のタカネザクラは、6月中旬まで楽しめます。7月になると、前宮ルートでは、オサバグサやキソチドリが咲いてくれます。

錦繍の秋の紅葉は、広河原ルートがおすすめです。広葉樹林帯が谷間から山頂まで広がり、紅葉の大パノラマを観ることができます。冬は広河原ルートから日帰り登山が可能です。白銀の南アルプスや中央アルプスを眺めながらの登高は快適です。

Model plan モデルプラン

神坂峠ルート

神坂峠登山口→
鳥越峠→大判山→恵那山
(往復)

所要時間
約7時間50分
距離
約13km(往復)
高低差
約624m
アクセス
中央道中津川ICから神坂峠駐車場へ車で約1時間半。神坂峠頂上駐車場は約5台、1km手前の大檜駐車場は50台以上の駐車スペースあり。
広河原ルート

広河原駐車場→広河原登山口→恵那山
(往復)

所要時間
約7時間20分
距離
約10.4km(往復)
高低差
約1030m
アクセス
中央道園原ICから広河原駐車場(約50台、無料)へ車で約15分。中央道飯田山本ICから広河原駐車場へ車で約30分。
黒井沢ルート

黒井沢登山口→
野熊ノ池避難小屋→恵那山
(往復)

所要時間
約8時間
距離
約13km(往復)
高低差
約1010m
アクセス
中央道中津川ICから黒井沢登山口へ車で約1時間。登山口に約30台の無料駐車場、トイレあり。
前宮ルート

恵那山ウェストン公園→
前宮コース登山口→空峠→恵那山
(往復)

※恵那山頂小屋(避難小屋)で一泊するのが一般的

所要時間
約12時間45分
距離
約13.4km(往復)
高低差
約1010m
アクセス
中央道中津川ICから恵那山ウェストン公園へ車で約15分。
ヤマタイムで
コース計画をたてる

SEVEN SUMMITS / Mt.Fujimidai-Kogen 富士見台高原(ふじみだいこうげん)
標高1739m

02

富士見台高原

信州百名山の一つである富士見台高原は、手軽に登れる人気の山です。山頂では恵那山、御嶽山、南アルプス、中央アルプスが一望でき、日本百名山が23座も見られる大展望が広がります。もとは山伏山と呼ばれ、明治時代より富士教信者が富士山参拝所を設けたことから「富士見台」の名が付いたそうですが、実際に富士山が見えるわけではなく、「富士山を見たい」という参拝者の願望からその名が付いたとされます。

登山道は整備されて歩きやすく、ロープウェイやリフトが使えるので、登山初心者でも手軽にトレッキングを楽しめます。クマザサに覆われた広くたおやかな稜線は、まさに別天地!夏は緑の絨毯、秋は紅葉の絨毯が広がります。日帰りでも楽しめますが、稜線上に立つ山小屋、萬岳荘(ばんがくそう)に一泊するのもおすすめ。雲海や星空など絶景をたっぷりと満喫できます。

阿智山人のおすすめポイント 富士見台高原の星空と花

原誠一

原誠一さん

信州阿智村在住の登山ガイドで、6年前から中央アルプス富士見台高原の萬岳(ばんがく)荘の管理人を兼務しています。ガイド範囲は、日本アルプス全域、熊野古道や旧東山道、中山道などの古道歩き、裏山での山菜、キノコ採りなどなど。冬季も萬岳荘を拠点として、スノーシューや雪遊び、雪洞体験会を開催しています。

富士見台高原のササユリ
四季折々の花が咲く富士見台高原

富士見台高原は、江戸時代までは、山伏山と呼ばれ、修験道の山であったといわれています。日本一の星空で有名な阿智村にあることから、萬岳荘では宿泊者を対象に星空観察会を行なっています。

富士見台高原のもう一つの魅力は山の花です。4月にはショウジョウバカマ、ウスギヨウラクツツジなどが春の訪れを告げ、GWごろからはバイカオウレン、サラサドウダンツツジ、エンレイソウ、コアジサイなどが花を咲かせます。6月にはユキザサ、オオヤマレンゲ、7月になるとササユリが見頃を迎え、希少なマイヅルソウも見つけることができます。8月のクモキリソウ、ネジバナの季節が過ぎ、9月のウメバチソウ、セリバシオガマなど秋の花が終わると、10月からは紅葉シーズンが到来。富士見台山頂から横川山の間で、「赤い羊の群れ」に出合えます。

Model plan モデルプラン

神坂神社ルート

神坂神社→神坂山→
神坂小屋→富士見台
(往復)

所要時間
約6時間30分
距離
約12.5km(往復)
高低差
約709m
アクセス
中央道園原ICから神坂神社へ車で約15分。登山口に駐車場(約20台)あり。
ヘブンスそのはら展望台
ルート

ヘブンスそのはら展望台→
神坂峠→富士見台
(往復)

所要時間
約3時間30分
距離
約8km(往復)
高低差
約137m
アクセス
中央道園原ICからヘブンスそのはら駐車場へ車で約5分。中央道飯田山本ICからヘブンスそのはら駐車場へ車で約20分。無料駐車場が7ヵ所、約1500台。
ヤマタイムで
コース計画をたてる

SEVEN SUMMITS / Mt.Minamisawa 南沢山(みなみさわやま)
標高1564m

03

南沢山

富士見台高原の山頂の北方約5㎞の位置にある南沢山。往復約4時間と初級者向けの山ですが、健脚者なら富士見台高原や恵那山へ縦走することも可能です。樹林帯を登り森林限界を越えると笹原の稜線となり、一気に視界が開けます。山頂から望む大パノラマは、何よりのごほうび!

この南沢山、冬になると、笹と霧氷による幻想的な景色や、樹氷のスノーモンスターが見られることもあって、隠れた人気の山となっています。

登山口がある「ふるさと村自然園」は、古くからの歴史がある清内路(せいないじ)地区に位置します。「清内路街道」は善光寺詣りや御嶽行者といった旅人が歩いた信仰の道でした。登山の後は清内路関所跡や、ペリー来航時に植えられた黒船桜など、周囲を散策するのもおすすめです。

阿智山人のおすすめポイント 南沢山の縦走路

北林夏布

北林夏布さん

富士見台高原のふもとにある阿智セブンサミット認定場所の「東山道・園原ビジターセンターはゝき木館」のスタッフ。高校時代は山岳部。大学では考古学を専攻。歴史と自然と生き物が好きです。高校生のときは気がつかなかった地元の山のよさに大人になって気がつき、たまに山に登っています。

南沢山の縦走路
のびやかな風景の中を歩く縦走路

富士見台高原の北約5kmにある南沢山。最近は冬の霧氷を見るためのスノーハイクが大人気です。ですが、南沢山のおすすめポイントは、「富士見台高原からの縦走路」です。

富士見台高原から南沢山までは、標高差約175m、距離約4km、1時間30分の道のり。途中の横川岳からの展望もGood!熊笹が山全体を覆っていますが、振り返れば自分の歩いてきた道が見える、気持ちのよい縦走路です。全体的に歩く距離が長いので、健脚向けではあります。

南沢山は雨量が多く、植物の宝庫。ベニマンサクやバイケイソウ、ササユリ、コチャルメルソウ、マイヅルソウ、イワウチワなどたくさんの植物を見ることができます。お花がたくさん咲く、5月~7月がおすすめの季節です。雨の日の次の日は、マムシが登山道に出てきていることも多く、少し注意が必要ですけどね。

Model plan モデルプラン

南沢山ルート

ふるさと村自然園
せいなの森キャンプ場→南沢山
(往復)

所要時間
約4時間
距離
約8.6km(往復)
高低差
約518m
アクセス
中央道園原ICから、ふるさと村自然園せいなの森キャンプ場(有料駐車場あり)へ車で約20分。中央道飯田山本ICから、ふるさと村自然園せいなの森キャンプ場へ車で約25分。
ヤマタイムで
コース計画をたてる

SEVEN SUMMITS / Mt.Okawairi 大川入山(おおかわいりやま)
標高1908m

04

大川入山

恵那山から続く稜線上にある大川入山は、中央アルプス南端に位置し、信州百名山の一つに選ばれています。

治部坂(じぶざか)峠からと、あららぎ高原からの2つの登山ルートがあり、どちらも往復6時間ほど。見晴らしのよい山頂部からは、眼前にそびえる大きな恵那山のほか、北アルプス、中央アルプス、南アルプスの峰々や、御嶽山、八ヶ岳などが一望できます。登山道はどちらも歩きやすく、変化に富んだルートです。

山頂部の笹原では、低木の秋の紅葉や、冬の霧氷の様子が、羊が放牧されているような景色に見えることがあります。

阿智山人のおすすめポイント しっかり歩きごたえのある大川入山

伊藤賢治

伊藤賢治さん

サラリーマンをしながら主に週末や連休などに登山ガイドを行なっています。所属は日本山岳ガイド協会の正会員団体であるアルプスネイチャークラブ。四季を通じて、主にこの南信州山域を案内しています。

大川入山の縦走路
歩きごたえのある大川入山は
恵那山の予行演習にもおすすめ

セブンサミットの中では標高が2番目に高く、標高差も2番目。しっかり登りごたえのある山です。セブンサミットの中では、5番目か6番目に登るのがおすすめ。登山に慣れてきた方向けです。山頂のほか何ヶ所かで南側の愛知県、西側の岐阜県方向がよく見えます。

東側の南アルプスと伊那谷もかなり北のほうまで見ることが可能で、条件がよければ富士山も見えます。秋の紅葉がこの山には似合っていると思います。最近は冬の霧氷や樹氷がSNSで紹介されています。花は新緑の季節に花開く、イワウチワやショウジョウバカマ、タチツボスミレなどがきれいです。

標高差もあり、少し距離が長いですが、恵那山への予行演習も兼ねて治部坂側からの往復が特におすすめです。

Model plan モデルプラン

治部坂高原ルート

治部坂観光センター→大川入山
(往復)

所要時間
約6時間30分
距離
約11km(往復)
高低差
約730m
アクセス
中央道園原IC・飯田山本ICから治部坂観光センター(無料駐車場あり、約50台)へ車で約20分。
あららぎ高原ルート

あららぎ高原→大川入山
(往復)

所要時間
約6時間
距離
約10.6km(往復)
高低差
約677m
アクセス
中央道園原IC・飯田山本ICから、あららぎ高原(スキー場入口の橋の手前に無料駐車場あり)へ車で約20分。
ヤマタイムで
コース計画をたてる

SEVEN SUMMITS / Mt.Jatouge 蛇峠山(じゃとうげやま)
標高1664m

05

蛇峠山

治部坂峠の南東に位置し、大川入山と反対側にある山です。戦国時代には、三河進出のための軍用道路として武田信玄によって整備され、南からも北からも望める山なので、狼煙台として利用されたそうです。山頂付近に狼煙台跡が残されています。また、見晴らしのよさから、国土地理院の電子基準点や、電波塔、レーダー雨量計などが設置されています。

治部坂峠からのルートが一般的ですが、山頂近くの馬の背までは車で上がることができ、短時間での登頂も可能です。笹原に囲まれた山頂は眺望がよく、南アルプスなどが望めます。

蛇峠山は、「日本百名山」の著者である深田久弥が登った最後の頂としても知られています。久弥は蛇峠山に登頂し、その後に訪れた茅ヶ岳の登山中、脳卒中でこの世を去りました。

阿智山人のおすすめポイント 蛇峠山の魅力は
展望と四季の植物!

酒井優佳

酒井優佳さん

長野県上田市出身。大人になってから登山にハマり、ソロ登山で写真を撮りながらのんびり登っています。稜線歩きと雷鳥が好きで山で出会った人と山トークするのが楽しみ。阿智☆昼神観光局のスタッフで地域の山と山好きを繋ぐイベント企画運営をしています!

大川入山の縦走路
秋、馬の背はシャンパンゴールドのススキ畑に

阿智村と平谷村の間にある山で、山頂近くにある展望台からは南アルプスがよく見え、途中の馬の背では隣の大川入山や中央アルプスも眺められます。登山口から480mほどしか高低差がないので、阿智セブンサミットのなかでも入門の山のひとつです。

花の山でもあり、サクラの開花は4月中旬ごろ。GWを過ぎるとツツジやドウダンツツジやショウジョウバカマ、ミヤマスミレなどを見ることができます。10月下旬ごろには紅葉の最盛期になり、登山口までの道のりも楽しめます。山の紅葉やマツムシソウもとてもきれい。馬の背の一面がシャンパンゴールドのススキ畑になるのでそれを見ながらの夕焼けもオススメ。冬にはたっぷり積もったふわふわの雪の上を歩くスノーシューもできます。

登山口近くにはお蕎麦屋さんやパン屋さんがあり、夜は星空鑑賞が楽しめる浪合パーク、キャンプ場もあるので下山後も周辺観光ができる山です。

Model plan モデルプラン

蛇峠山登山ルート

治部坂観光センター→
馬の背→蛇峠山
(往復)

所要時間
約3時間40分
距離
約7km(往復)
高低差
約486m
アクセス
中央道園原IC・飯田山本ICから治部坂観光センターへ、車で約20分。観光センターの駐車場を利用(無料、約50台)。
ヤマタイムで
コース計画をたてる

SEVEN SUMMITS / Mt.Amikake 網掛山(あみかけやま)
標高1133m

06

網掛山

昼神(ひるがみ)温泉郷のすぐ南に位置する山。中央自動車道の網掛トンネルが山腹を貫いています。

山の東側の中平(なかだいら)集落から網掛峠を通り、園原インターがある殿島までは、かつて人々が往来していた東山道が通り、古代の街道をしのびながらの山歩きが楽しめます。

現在の登山道は、園原インターから登るルートと、昼神温泉郷からのルートの2つ。昼神温泉郷からの周回ルートが一般的で、ルート上に大平神社や展望台などのスポットがあります。山頂の東側にある展望台からは、南アルプスや昼神温泉郷を見渡せます。なお、殿島ルートは、一部登山道が整備されていない箇所があるので、山慣れた人向きのコースです。安全に注意しながら歩いてください。

阿智山人のおすすめポイント 網掛山に歴史を訪ねて

伊藤賢治

伊藤賢治さん

サラリーマンをしながら主に週末や連休などに登山ガイドを行なっています。所属は日本山岳ガイド協会の正会員団体であるアルプスネイチャークラブ。四季を通じて、主にこの南信州山域を案内しています。

網掛山の展望台からの眺望
展望台から阿智村と南アルプスを一望できる

セブンサミットの中では標高が一番低いのですが、標高差が大きく、意外に登りごたえのある山です。少なくとも1~2回は登山経験のある方におすすめです。

山頂での眺望は望めませんが、東側にある展望台からは南アルプスが望め、伊那谷の深さを感じることができます。山麓から網掛峠を経て園原へと古代東山道が通っており、歴史を感じられます。登山道を歩きながら、いにしえの人々の往来に思いをはせるといった山行が楽しめます。古代の道と、現代の道がコラボしているのも、この山ならではの魅力ではないでしょうか。

山麓と山頂付近に針葉樹がありますが、紅葉する広葉樹林帯も山頂周辺などに多く、特に秋の紅葉はすばらしいと思います。また、新緑の季節はツツジ群がきれいです。

Model plan モデルプラン

網掛山周回ルート

阿智村智里東公民館→網掛峠→
網掛山→展望台→昼神温泉郷

※昼神温泉郷から智里東公民館までは徒歩20分

所要時間
約3時間30分
距離
約7.4km(周回)
高低差
約550m
アクセス
中央道園原IC・飯田山本ICから阿智村智里東公民館へ、車で約10分。公民館の駐車場を利用(無料、約10台)。
殿島ルート

中央道園原インター・殿島→
網掛峠→網掛山
(往復)

所要時間
約5時間
距離
約7.6km(往復)
高低差
約414m
アクセス
中央道園原ICからすぐ。
ヤマタイムで
コース計画をたてる

SEVEN SUMMITS / Mt.Takadoya 高鳥屋山(たかどやさん)
標高1398m

07

高鳥屋山

戦国時代には山城が築かれ、武田信玄の狼煙台や、織田・徳川連合軍の武田氏攻略に利用されたことから、別名「坊主ヶ城」、「狼煙台」とも呼ばれています。

阿智村の清内路地区を起点に、梨子野(なしの)峠から梨子野山を経由し、高鳥屋山へ登る周回コースがおすすめです。梨子野峠は、幕末に起きた天狗党の乱(元治元年/1864年)の際、京都をめざした水戸浪士たちが通ったとされています。

梨子野峠からは、なだらかな稜線の散策道が続き、緑豊かな美しい森を歩きます。高鳥屋山の山頂では、木立の間から南アルプスの山々や伊那谷が望めます。

阿智山人のおすすめポイント 高鳥屋山の新緑と紅葉

若林翔

若林翔さん

阿智村在住の登山ガイド。中央・南アルプスエリアを中心に、各地で少人数向けのプライベートガイドを行なっています。野生動物の研究・博物館での自然解説員という経験を活かし、山頂をめざすだけではなく、そこに生きる動植物に目を向けることで、今まで以上に山や自然を好きになっていただけるよう心がけています。
NEWPEACE mountain guide office

高鳥屋山のブナ
新緑がまぶしい高鳥屋山のブナ

高鳥屋山は頂上付近から南アルプス南部の山々と伊那谷が見渡せる好展望の山です。登山道はよく整備され、少し傾斜のきつい場所もありますが全体を通して難しい場所はなく、登山初心者でも楽しむことができます。

コース沿いはミズナラを主体とする広葉樹林が広く占め、幹回りが抱えられないほど立派なブナも点在しています。カエデやツツジも多く、すばらしい紅葉が見られる秋はもちろん、新緑の時期にもぜひ登っていただきたいと思います。麓の花桃が終盤を迎えるころ、山では開いて間もない木々の葉が輝く季節を迎えます。

オオルリをはじめ渡ってきたばかりの夏鳥たちのさえずりが響き、足元にはチゴユリやネコノメソウ、頭上ではハウチワカエデやクロモジといった早春の花々。そんなにぎやかになりつつあるこの時期に、一際目を引くのが鮮やかな紫色のトウゴクミツバツツジです。このトウゴクミツバツツジの紫色が、フレッシュな緑色の森にきらめくさまは、春山の中で最も美しい景色のひとつだと思います。

Model plan モデルプラン

高鳥屋山登山ルート

阿智村役場清内路振興室→梨子野山→高鳥屋山→
阿智村役場清内路振興室

所要時間
約5時間
距離
約10.8km(周回)
高低差
約614m
アクセス
中央道園原IC・飯田山本ICから阿智村役場清内路振興室へ車で約15分。清中プラザの駐車場を利用(無料)。
ヤマタイムで
コース計画をたてる