SEVEN SUMMITS / Mt.Ena 恵那山(えなさん)
標高2191m
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古代遺跡の峠から
日本百名山の頂へ
恵那山は、阿智村と岐阜県中津川市の両方にまたがり、日本百名山と信州百名山の両方に選ばれている名峰です。天照大神(あまてらすおおみかみ)が生誕の際に、その胞衣(えな)をここに埋めたという伝説があり、それが山名の由来となったとか。明治26(1893)年に、英国人のウォルター・ウェストンが恵那山に登り、世界に紹介したことで有名になりました。
そんな恵那山は、数多くの高山植物が自生する植物の宝庫。低地丘陵帯・山地帯・亜高山帯が含まれるため、暖かい地方の植物から寒い地方の植物までが混生する、多様性に富んだ山なのです。ぜひ、登山道脇の草花にも目を留めながら歩いてください。
恵那山の頂へはいくつかのルートがあります(※)。なかでも神坂(みさか)峠ルートは、稜線沿いに道が付き、最も展望がよいことで人気のルート。登山口の神坂峠は、古代の官道「東山道」における最大の難所として知られ、荒ぶる神の坐す峠として「神坂峠」と名付けられたといわれます。遺物が多数出土し、古代祭祀遺跡として国史跡に指定されています。
※恵那山の各登山ルートは、通行可能かどうか事前に確認してお出かけください。
【通行状況のお問い合わせ】
長野県側ルート:阿智村役場地域経営課:TEL0265-43-2220
岐阜県側ルート:中津川市観光案内所:TEL0573-62-2277
阿智山人のおすすめポイント 恵那山の四季の魅力
原誠一さん
信州阿智村在住の登山ガイドで、6年前から中央アルプス富士見台高原の萬岳(ばんがく)荘の管理人を兼務しています。ガイド範囲は、日本アルプス全域、熊野古道や旧東山道、中山道などの古道歩き、裏山での山菜、キノコ採りなどなど。冬季も萬岳荘を拠点として、スノーシューや雪遊び、雪洞体験会を開催しています。
恵那山は、長野県側からは幾多の里山の奥に隠れてわかりづらい山姿ですが、岐阜県、愛知県からは、御嶽山と並んで、独立峰的にそびえています。山頂からは展望が期待できないといわれますが、山頂避難小屋の北側の物見岩からは、中央アルプス、南アルプスとその奥に富士山が望めます。避難小屋で泊まった翌朝は、雄大な南アルプスからのご来光が眺められます。
恵那山は、花の山でもあります。5月末には、神坂峠から登ると、シャクナゲのアーチに出迎えられます。また、6月は、サラサドウダンが薄ピンクから紅色までバリエーション豊かに咲き誇っています。サラサドウダンの株数は日本一といっても過言ではありません。
また、山頂避難小屋の脇のタカネザクラは、6月中旬まで楽しめます。7月になると、前宮ルートでは、オサバグサやキソチドリが咲いてくれます。
錦繍の秋の紅葉は、広河原ルートがおすすめです。広葉樹林帯が谷間から山頂まで広がり、紅葉の大パノラマを観ることができます。冬は広河原ルートから日帰り登山が可能です。白銀の南アルプスや中央アルプスを眺めながらの登高は快適です。
神坂峠ルート
神坂峠登山口→
鳥越峠→大判山→恵那山
(往復)
- 所要時間
- 約7時間50分
- 距離
- 約13km(往復)
- 高低差
- 約624m
- アクセス
- 中央道中津川ICから神坂峠駐車場へ車で約1時間半。神坂峠頂上駐車場は約5台、1km手前の大檜駐車場は50台以上の駐車スペースあり。
広河原ルート
広河原駐車場→広河原登山口→恵那山
(往復)
- 所要時間
- 約7時間20分
- 距離
- 約10.4km(往復)
- 高低差
- 約1030m
- アクセス
- 中央道園原ICから広河原駐車場(約50台、無料)へ車で約15分。中央道飯田山本ICから広河原駐車場へ車で約30分。
黒井沢ルート
黒井沢登山口→
野熊ノ池避難小屋→恵那山
(往復)
- 所要時間
- 約8時間
- 距離
- 約13km(往復)
- 高低差
- 約1010m
- アクセス
- 中央道中津川ICから黒井沢登山口へ車で約1時間。登山口に約30台の無料駐車場、トイレあり。
前宮ルート
恵那山ウェストン公園→
前宮コース登山口→空峠→恵那山
(往復)
※恵那山頂小屋(避難小屋)で一泊するのが一般的
- 所要時間
- 約12時間45分
- 距離
- 約13.4km(往復)
- 高低差
- 約1010m
- アクセス
- 中央道中津川ICから恵那山ウェストン公園へ車で約15分。
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