【阿智村平日登山部】
秋の笠松山
メスティンで炊くごはん作り
Nov.
14
秋が深まる南信州。南アルプスの大展望で知られる飯田市の笠松山(1271m)に登り、メスティンでの炊飯に挑戦する登山ツアーが11月14日(火)に開かれました。当日は晴天に恵まれ、暖かい日差しと南アルプスのパノラマを楽しみながら、ランチタイムを満喫しました。
南信州の里山・笠松山ハイキング
登山当日は前日まで吹いていた冷たい風がやみ、絶好のハイキング日和になりました。飯田市街を見下ろす梅ヶ久保神社に集合した10人の参加者を待っていたのは、今年とれたばかりの信州の新米と、阿智村が誇る名水「一番清水」です。それぞれ持参したボトルやファスナーつきポリ袋にお米1合と水を入れて、歩いている間に浸水させようという計画です。お米の準備ができたら、朝の光の中で準備運動。同行する登山ガイドの伊藤賢治さん、阿智☆昼神観光局の酒井優佳さんとともに、笠松峠めざして歩き始めました。
笠松山は飯田市の人々の暮らしを支えてきた里山で、山腹にはりんごや柿などの果樹園が広がり、山にはスギやヒノキなどの針葉樹を植えた人工林と、ミズナラなどの落葉広葉樹林が混じり合っています。林道や作業道、遊歩道などが交錯しますが、道標がしっかり整備されており、地図で歩くコースを把握していれば迷う心配はありません。
登山コース上には、素朴で優しい表情の観音さまの石像が点在しています。笠松峠の最後の観音さままで、合計33体の石仏があるそうです。なんでも、観音さまは33に姿を変えて、衆生を救いに来てくださる仏さまだとか。それにちなんで各地の観音霊場は33カ所を巡るようになっているそうです。この笠松山も歩きながら観音さまにお詣りができる、ミニ霊場といったところでしょうか。
登山道はかつて住民が山越えに利用していた生活の道で、今もよく整備され、ゆっくり歩けばビギナーでも安心です。時々休憩を挟みながら、持参したおやつをつまんだりして和やかな雰囲気です。
ゆっくりゆっくり登ること約2時間、笠松峠に到着すると、展望が一気に広がりました。眼下に飯田の街並みと天竜川、その向こうに南アルプスが見渡せます。北の鋸岳や甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳から南の光岳、池口岳まで、全山を一望できる絶景です。数日前からの冷え込みで純白の雪に飾られた稜線は神々しいほどの美しさで、誰もが夢中でシャッターを切りました。
絶景を楽しみながら、お昼に備えて調理を開始します。この日のテーマは「メスティンで炊飯」。麓から浸水してきたお米をメスティンやクッカーに入れて、固形燃料やガスストーブで炊き始めます。「固形燃料のタブレットは何個入れたらいいの?」「火力はこのくらいで大丈夫!?」初めて山でお米を炊く人も少なくなく、参加者は手順を教えてもらったりしながら調理を進めていきます。やがてご飯が焦げる香ばしいにおいが立ちこめると加熱は終了。火から下ろしたメスティンをタオルなどで包んで、しばらく保温します。
メスティンのご飯を蒸らしている間に、希望者は空身で笠松山のピークをめざします。1322mの最高地点を踏んだ後は笠松峠方面に少し戻り、地図アプリを見ながら三角点を探します。しばし探し回ったあとで、道を少し外れた樹林の中に三等三角点を発見!探す人も少なくないと見え、下草に埋もれた三角点がわかりやすいよう、目印がつけられていました。
笠松峠に戻ると、いよいよお待ちかねのランチタイム。持参した具材を炊き込んだり、白飯に合うおかずを用意したりと、思い思いのスタイルで信州の新米を味わいます。アユの甘露煮を炊き込んだご飯、枝豆と桜エビの炊き込みご飯、新鮮な野菜やフルーツまで載せたワンプレートランチ・・・彩り豊かでにぎやかなご飯が勢ぞろいしました。失敗してしまった人のためにアルファ米も用意されていましたが、全員おいしく炊き上げることができ、大満足のランチとなりました。
食事の後は山と溪谷社スタッフと伊藤ガイドによるエマージェンシーグッズ講座です。山と溪谷オンライン編集長の西村健が、持っておくべきエマージェンシーグッズについて紹介。目的別に「傷病の手当に使用する道具」「非常食と水」「体温を維持する道具」「助けを呼ぶ道具」の4つに分けて、必要装備をレクチャー。伊藤ガイドが実際に携行しているグッズを見ながら、使用方法などを解説しました。タイミングよく日が陰って肌寒くなってきたところで、設営したツエルトに実際に入ってみました。数人でツエルトに潜り込むと、冷たい風が当たらないだけでなく、自分たちの体温でみるみるツエルト内が暖かくなることが実感できました。
楽しかったランチタイムもそろそろ終わり。集合写真を撮った後は南アルプスに別れを告げて、往路をゆっくり下ります。
下山後、希望者は笠松山のすぐ近くの農園でりんご狩りを楽しみました。ふじ、シナノスイートといった特産のりんごを収穫した後は、品種ごとに試食します。もぎたてのりんごのみずみずしい味わいに一同感動!収穫したりんごだけでなく、お土産にりんごを買い足したりして、夕暮れの農園を後にしました。
季節はこれから冬を迎えますが、南信州の山にオフシーズンはありません。阿智☆昼神観光局では、冬も山のぼりツアーを企画するそうなので要チェックですね!