俳優・金子貴俊
俳優・金子貴俊
山の時間が取り戻してくれる
自分がいちばん好きな自分に会うために。
俳優、タレントとして活動しながら、テレビの山番組やプライベートで、日本各地の山を登る金子貴俊さん。
キャンプ、釣り、写真や料理など、幅広い趣味のなかでも、山にいる時間がいちばん好きだと感じる理由や
今、昔、これからの登山との関わり方について話を聞いた。
文=小川郁代、写真=加戸昭太郎、デザイン=オレンジ社
協力=コロンビアスポーツウェアジャパン[PR]2024.11.08
自分を褒めることができたから、
また山に行きたくなる
海に山に、さまざまなスタイルでアウトドアを楽しんでいらっしゃる印象ですが、登山を始めたきっかけを教えてください。
本格的に登り始めたのは、10年くらい前ですね。テレビの撮影で、前穂高岳から奥穂高岳、北穂高岳を縦走したことが、明確なきっかけになりました。断崖絶壁の岩を手足を使って登る一体感や、そこに自分がいることの誇らしさ、そこに行かなければ見られない景色がたまらなく美しくて、下山したときにはもう、「次はいつ山に登ろう」と考えていました。
それまでも山には登られていたのでしょうか?
父親がもともと山好きだったので、子供のころに連れられて何度か山登りをしたことはありましたが、大人になってからは、まったく登っていませんでした。
初めて登ったのは、小学校5年生の時の富士山です。七合目あたりまでは楽しく登っていたのですが、途中からひどい頭痛や眠気に襲われて。休憩しても回復せず、九合目でもう下りたいと言ったら、「お前はあと一歩のところであきらめるのか」と怒られながら、なんとか登りきりました。つらかったけれど、山頂からの景色がとにかくすごくて、そこで食べたカップラーメンがものすごくおいしかったのを鮮明に覚えています。その後もしばらくは父親に誘われて登っていましたが、大きくなるにつれ、次第に山には行かなくなりました。
それから何十年も経って、テレビ番組の仕事で立山・龍王岳のバリエーションルートを歩くことになったんです。当時、登山をほとんどしていなかった僕に、なぜ声がかったのかと不思議に思いましたが、今考えれば、普段からチャレンジ系の仕事が多かったことや、知人に誘われてボルダリングをする様子をブログで発信していたのが関係者の目にとまったのかもしれません。
久しぶりに登った山はどんな印象でしたか?
景色がよくて、気持ちがよくて、やっぱり山はいいなあと、昔父親と登ったことを思い出しました。ただ、入門的な内容だったので体験ができて楽しかった!という感覚で終わった感じでした。でも、その後に行った穂高連峰の縦走では、まったく違う気持ちが沸き上がってきたんです。
普段生活をしていると、仕事でも日常でも、もっとこうしたらよかったとか、あそこはよくなかったとか、自分のダメなところを見ることが多いタイプなんです。でも、穂高を縦走したとき、シンプルに自分を褒めることができたんです。それが忘れられなくて、山にハマったんだと思います。
その後プライベートでも登るようになったのですね。
縦走から戻ってすぐ、その番組がオンエアされるより前に、友達と二人で、日帰りで雲取山に行きました。とにかく山に登りたくて、自分なりに調べて地図を買い、天気予報を確認して出かけましたが、今思えば、知識も技術もあまりない、実質3回目の初心者が、日帰りで雲取山に行くのはかなりハードだったと思います。それを知った番組スタッフさんが、なにかあったらいけないからと心配して、後から追いかけて来てくれました。あれから考えたら、山の仕事もたくさんいただく環境になり、プライベートでも時間を見つけては、山に行くことばかり考えています。
テント泊で金峰山へ。後ろは瑞牆山(写真=金子貴俊)
登る以外の時間の過ごし方も
登山の楽しみ
最近プライベートではどこに行かれましたか?
近場の日帰りは何度か行きましたが、泊まりでは燕岳ですね。スケジュール的に日数がとれなかったので1泊の小屋泊でした。
テント泊も好きでよくしますが、山小屋も登山の魅力だと思います。山が好きで、同じ道を通って集まって来たほかのお客さんと、あそこがキツかったとか明日はどうするとか、いろいろな山の話をするのは小屋泊ならではの楽しみです。だから、悪天候で停滞するのも嫌いじゃないんです。小屋の人といろいろ話したり、のんびりと小屋にある山の本を読むのが好きですね。主人公が歩いた道を疑似体験したり、山岳救助の活動に感動したり、山の本からは多くの影響や知識をもらいました。
クライミングにも挑戦(写真=金子貴俊)
担当のスタイリストさんが、百名山を70座以上登っている方なので、スケジュールが合えば一緒に登ることもあります。親友も山に引っ張り込んだし、数年前には息子とのテント泊で、大荷物を背負って雲取山にも登りました。ちょっと時間ができたときは一人で山に入ることもありますが、無理のない行動を心がけるようにしています。
日本の山のよさを感じ、
伝えていきたい
好きな山や今後登りたい山やスタイルなど、この先に思い描いていることを教えてください。
好きなのは、手足を使って岩を登るような登山ですが、水のあるところも好きなんですよね。沢沿いの道や途中の池、湧水など、水の感じられる山に心をひかれます。
あとは、学生時代ずっとスキーをやっていたので、スキーを担いで登って滑り降りる、バックカントリースキーにもすごく興味があります。
具体的に行きたい山もたくさんあります。富士山と奥穂高岳は登っているので、標高トップ3を制覇すべく北岳には登りたいし、まだ歩いていない槍ヶ岳から大キレットにも、近いうちにぜひ行きたい。仕事で行った全国の山にもそれぞれじっくり登りたいですね。
これまで海外47カ国くらいに行ったことがありますが、最近あらためて、日本のすばらしさを再認識しているので、もっと日本の山を深く知って、どんどん発信していきたいと思っています。
最後にあらためてお聞きします。金子さんが山に魅かれるのはなぜだと思いますか?
僕は基本的に寂しがりやなので、旅でもキャンプでも、一人で行動するのはあまり好きではないんです。でも、山では一人でも、なぜか寂しいと感じることはありません。歩かなきゃいけないし、考えなきゃいけないし、いろいろやることが多くて、孤独を感じる暇がないんでしょうね。自分と対話しながら登っているのかもしれません。
たぶん僕は、山にいるときの自分がいちばん好きなんだと思います。自分の中にもいろいろな自分がいて、気分の浮き沈みがあったり、いやな部分も当然あります。でも、山にいるときは、自分がいちばん好きな自分でいられる。山にいる時間は、それを肯定し、自分を褒めてあげられる。だからまた、僕は山に行きたくなるんだと思います。
プロフィール
金子貴俊(かねこ・たかとし)
1978年、東京都出身。映画『ウォーターボーイズ』(2001)で注目を浴び、数多くのドラマや映画、舞台に出演。登山番組にレギュラーをもち、情報番組や教育番組にも出演、自然環境番組やバラエティでは世界47カ国以上を訪れるなどマルチに活動。趣味は、登山、釣り、キャンプ、料理、カメラ。SNSでも自然の魅力やアウトドア活動を発信中。
Enjoy Your
Mountain Life!
エンジョイマウンテンライフ
シリーズとは︖
昨シーズンにコロンビアがローンチした新たなコレクション。その名のとおり“アウトドアをもっと楽しんでもらいたい”というメッセージが込められたアイテムで構成。このコレクションの特徴は、山を快適に楽しむためには機能面だけでなく、気持ちの高揚も大切であるというコンセプトから、デザイン性も兼ね備えている点にある。
エンジョイマウンテン
ライフブラッシュド
ジャケット

ソフトで軽快な着心地の、4ウェイストレッチのソフトシェルジャケット。撥水機能「オムニシールド」と、サンプロテクション機能「オムニシェイド」がハイクシーンをバックアップ。肌面は、通気性と保温性をバランスよく備える、グリッド構造の起毛素材。季節の変わり目のライトアウターとして、寒い時期にはミッドレイヤーとして、活躍の幅も広い。
エンジョイマウンテン
ライフブラッシュドパンツ

すっきりきれいなシルエットと、4ウェイストレッチの動きやすさで、山にも街にも活躍する万能ソフトシェルパンツ。抜群の動きやすさに加え、撥水機能、サンプロテクション機能を搭載し、どんなシーンも安心して使える耐久性も確保。肌触りがよく保温性も備える裏起毛素材で、気温の変化が大きい秋冬のハイクシーンを、これ一本で快適にカバーする。
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金子さんコメント
薄手なのに暖かさもあるので、朝夕は寒くてちょっと動くと汗をかくような、季節の変わり目にあると、すごく便利だと思いました。軽くて柔らかいので着心地がいいし、脱いでもかさばらないので、普段や移動のときにも使えそう。切り替えのカラーやデザインも気に入りました。