登山ガイドが選ぶのは、
ゴアテックス パックライト® プラス プロダクトテクノロジー
文=編集部 写真=山田 薫  | 『山と溪谷』2019年11月号掲載記事
どんな状況が起こり得るかを想像し、その山に必要な装備を判断する。
登山ガイドが何気なく身に着けているウェアやギアには、すべてに選んだ理由がある。
登山ガイドの武田佐和子さんに、ゴアテックス パックライト® プラス プロダクトテクノロジーを
用いたウェアを選ぶ理由を聞いた。

登山ガイド
武田佐和子 たけだ・さわこ


日本山岳ガイド協会認定登山ガイドステージⅢ。主宰する「TRACE」では、心拍計をつけて山を歩く「山ジム」や歩き方を学ぶワークショップなどを行なう。

想像力を働かせて本当に必要な装備を選ぶ

 東京在住の登山ガイド、武田佐和子さん。武田さんのガイディングの目玉企画は、体力づくりを目的にした「山ジム」で、山を舞台にした心拍トレーニングを行なっている。これは、参加者は心拍計を装着し、自分の目標に応じた心拍数を設定して登り、持久力のアップを図るという内容だ。

「この山ジムは、冬場は多いときには月に5回くらい、夏でも1〜2回は実施しています。参加者は、ツアー登山についていくのもやっとという体力的に不安のある登山者から、『この夏は北アルプスに!』という目標を持っている人や、モンブランに行きたいという人までさまざまです」

 武田さんが案内している登山者を見ていて思うのは、装備選びの難しさ。山を始めたばかりの人は荷物が多くなってしまいがちで、人によっては装備表に載っていないものまで持ってきた、というケースもあったという。

「体力をつけ技術を高めるとともに、適切な装備を選ぶことは、安全で楽しい山登りにつながります。私たちガイドは、本当に必要なものだけを持っていきます。目的の山にマッチした装備をしっかり考えて取捨選択します。危険個所があるときは補助ロープを持っていくし、ない場合は別の装備を持っていきます。経験を積み山がわかってくると、最適な装備を選べるようになっていきます。その山行に本当に必要な装備は何か、想像力を働かせないといけません」

防水透湿性だけでなく軽さとコンパクト性もレインウェアの重要な要素

アウターシェル選びでは軽さと耐久性を重視

 装備のなかでも、特にアウターシェル選びの難しさを指摘する。武田さんが重視するは、軽さと強度のバランス。

「最近、超軽量な素材を使ったアウターシェルジャケットが市販されていて、軽さに魅力を感じて購入する方がいます。日帰りのトレイルランニングしかしないならそれでいいかもしれませんが、一着で低山も北アルプスも行きたいと思っているなら、耐久性のあるアウターがおすすめです」

 厳しい外的環境から身を守るシェルだからこそ、強くて軽いものが理想的。武田さんが普段着用しているのは、アークテリクスのゼータSLジャケットだ。想定している使用シーンは無雪期登山。

「ゴアテックス パックライト® プラス プロダクトテクノロジーが採用されたウェアを使ってみたかったというのもあります。山で着てみると、軽さと強度のバランスがとてもよく、気に入りました。2レイヤーだから透湿性が非常に高く、蒸れにくい点も秀逸。厳冬期の雪山登山以外はほとんど守備範囲と言っていいと思います。2レイヤーの防水透湿素材にありがちな、ウェア内側が肌に張り付く不快感がなく、ゴアテックス パックライト® プラス プロダクトテクノロジーはとてもサラサラ。生地がとてもしなやかで着心地も抜群です」

収納するときはフードにたたみ込む

よいウェアと適切な行動が快適さを最大化する

 また、収納時にコンパクトになることも重要だという。

「大は小を兼ねません。日帰りだと気が緩んでか、大きめのザックに余計な荷物を入れてしまう人がいますが、日帰りだからこそ必要な装備をコンパクトなザックに収めて山行に臨むことが安全登山の基本です。アウターシェルも同じ考え方で、必要なスペックのものを選ぶとよいでしょう。軽量化は永遠の課題ですが、アウターシェルを持っていかないという選択肢はありません。特に無雪期の場合は、ザックの中に入っている時間が長いので、軽量・コンパクトであることはとても重要な性能の一つです。そういう意味でもゴアテックス パックライト® プラス プロダクトテクノロジーを使ったアウターシェルは最適の選択です」

 ただ武田さんは、快適性を実現するためにはよいウェアを着ればよいというだけでないと指摘する。アウターシェルを着て行動するときは、そのための行動技術があるというのだ。

「アウターを着るときというのは気象条件が厳しいときが多いので、体温調節や歩行速度の調整が必要です。心拍数を上げすぎるとバテるし、汗をかくと汗冷えの原因にもなります。また、暑いけど雨具を脱げないときなどは、袖をまくって手首を露出させ放熱させるのも有効です。樹林帯なのか森林限界以上なのか、雨量や風などそのときの状況に合わせて面倒くさがらずこまめにすばやく脱ぎ着するのも大切な技術です」

 よいウェアと適切な行動が組み合わさったとき、快適性は最大化される。

蒸れが少なく着たまま行動しても快適なゴアテックス パックライト® プラス プロダクトテクノロジー

アークテリクス
ゼータSL
ジャケット/パンツ ウィメンズ


ミニマルなデザインと立体裁断を取り入れることで、登山中の様々な動きにフィットするアウターシェル。ゴアテックス パックライト® プラス プロダクトテクノロジーを採用し軽量で収納時のコンパクト性も高い。


ジャケット
価格=36,000円+税
重量=270g
カラー=5色
*メンズモデルあり(40,000円+税)
 アークテリクスのウェブサイトで見る パンツ
価格=25,000円+税
重量=230g
カラー=2色
*メンズモデルあり(26,000円+税)
 アークテリクスのウェブサイトで見る

◆ そのほかのGORE-TEXプロダクト
アークテリクス
ベーターSLハイブリッドジャケット メンズ

価格=50,000円+税
重量=360g
サイズ=XS~XXL
カラー=6色
※より軽量化のため摩擦の少ないフードや前腕部には軽量のパックライト® プラス プロダクトテクノロジーを使用しています。
 アークテリクスのウェブサイトで見る
 
モンベル
トレントフライヤー ジャケット(Men’s)

価格=21,000円+税
重量=179g
サイズ=S~XL
カラー=5色
 モンベルのウェブサイトで見る
 
|GORE-TEX プロダクトについて
 
文=柏 澄子 

 1970年代の日本上陸以来、GORE-TEX プロダクトは、防水性と透湿性を兼ね備え、防風性にも優れたものとして、登山時のレインウェアとして欠かせない存在である。
 GORE-TEX メンブレン(膜)は、誕生したときから今日まで高品質であり、そして組み合わせる生地やラミネート加工は、常に進化してきた。より厳しい山を追い求めるクライマーには、耐久性を保ちながらけっして裏切らない製品を作り出している。山を身軽に走り抜けていくトレイルランナーが求める軽量化にも応えてきた。シリアスなクライミングシーンや激しいトレイルランニングでも快適であるよう、柔らかくストレッチ性のある生地を打ち出したものもある。

 GORE-TEX ブランドは、いつの時代もトップアスリート、山岳ガイドといったプロフェッショナル達と、濃密なコミュニケーションや共同作業を行ない、メーカーをパートナーと考え、共に製品を作り、世に送り出してきた。
 ゴアテックス製品に使われるファブリクスには厳格なテストが行われる。生地同士をこすり合わせる耐摩耗テスト、生地に切れ込みを入れて行なう引き裂き強度テスト、生地を短冊状にして両側から強く引っ張るテストなどだ。
 縫製や製靴、グローブの工場は認定されたところに限り、ウェアを対象に実施されるレインテストは、マネキンに製造試作品を着用させ、人工的に雨を当て浸水がないか確認するなど、すべてのプロダクトが、ゴア社のテストに合格する必要がある。
 こういった過程を経て製品化されたGORE-TEX プロダクトは、適切に使用されている限り、その防水耐久性、防風性、透湿性を保証すると、約束されている。

■お問い合わせ GORE-TEX ブランドサービスチーム TEL 0120-015-841  ▷ GORE-TEX のウェブサイトへ