冬季登山で使う理由をホームグランドのひとつ、瑞牆山で聞いた。
パタゴニア スノーボード・アンバサダー
加藤直之 かとう・なおゆき
1972年生まれ、東京都出身。幼少期よりボーイスカウトで自然に親しみ、アラスカ大学へ進学後はスノーボードマウンテニアリングに傾倒。チョ・オユーやシシャパンマ北壁中央クーロワール滑降など多数の登攀・滑走歴を持つ。
無雪期は本州を中心に、冬は北海道でオールラウンドにガイド業を行なう加藤さん。
「北海道での冬山は、気を抜けない過酷な自然環境になります。特に道東・白滝は寒さが厳しく、乾いた季節風が吹くのが特長です。風が強くなれば、体感温度はマイナス20℃、30℃は当たり前です。また、低体温症のリスクも無雪期に比べて格段に高いです」
冬季登山は、山の醍醐味や美しさを堪能できるが、一方で、小さなミスが重篤な事態につながるため、加藤さんはウェアやギア選びに細心の注意を払っている。とりわけ、雪や風から身を守るアウターは重要だという。
写真提供=加藤直之
加藤さんは冬、ゴアテックス プロ プロダクトのパタゴニア・プルマジャケットを着用している。ゴアテックス ガーメント(ウェア)には、❶優れた汎用性をもつ「ゴアテックス プロダクト」、❷激しい有酸素運動に適した「ゴアテックス アクティブ プロダクト」、❸最も丈夫で耐久性に優れた「ゴアテックス プロ プロダクト」と、3種がラインナップされているが、なぜ、加藤さんはゴアテックス プロ プロダクトを愛用するのか。
「冬季、特に厳冬期のアウターレイヤーに求めるのは、ずばり耐久性ですね。雪山では、アイゼンやアックス、スノーボードなど、鋭い金属のついたギアを使用するので、アウターとこすれたり引っかけたりすることがあります。そんなときに生地が破けるようでは困ります。また、シーズン中は毎日のようにアウターを着用するので、丈夫さは不可欠な要素です」
摩耗の激しいジャケットの袖口や、ショルダーハーネスとこすれる肩から脇、パンツの太ももや裾は、特に耐久性が必要だという。
手袋の着脱や、岩や氷との摩擦などで摩耗が激しい袖口のベルクロ部分。高い耐久性が見て取れる
また、加藤さんは、アウターを含むギア選びのポイントとして汎用性を挙げる。冬季といっても、縦走やアイス、ミックス、滑走など、さまざまなガイディングを行なうこと、さらに日本では、ヤブこぎが加わるなど、泥臭い山行を強いられることが少なくない。どんな状況にも対応できる汎用性が必要なのだという。
「軽量なものや、気の利いた機能がついたものもありますが、耐久性や汎用性を考慮すると、アルパインモデルのプルマジャケットに落ち着くんですね。体にフィットし、シンプルで無駄がなく、マルチタスクに対応できます。生地はゴアテックス プロ プロダクトなので丈夫で、圧倒的な耐久性を実感できます。ほかの生地ではスパッと裂けてしまう場面でも、大きく裂けることなく、最小限の穴で済む。生地に適度な張りがあり、体温を奪う強烈な風への防御性も備えています」
生地の強靭さに加え、防風性や耐久防水性、透湿性など、どれも高い次元でバランスがとれている点も、ゴアテックス プロ プロダクトを使用する理由だと話す。
そんなアウターの機能を最大限に引き出すため、雪山の状況に応じたレイヤリングが重要だと考える加藤さん。ゴアⓇマイクログリッドバッカーテクノロジー採用の裏地は、肌触りが滑らかで、ミッドレイヤーとの相性もよいので気に入っているという。
ゴアⓇマイクログリッドバッカーテクノロジーにより、優れた耐摩耗性を実現した裏地。表面は滑らかで、重ね着時のゴロつきがない
「このウェアだったから命が助かったとかいう壮絶な経験はないんですが、とにかく厳冬期に山と対峙するときは肌身離さずの状態です。厳しい条件下やハードユースに耐える、今いちばん信頼のおけるシェルと言えますね」
山のプロから信頼され、選ばれるゴアテックス プロ プロダクト。〝プロ〞の称号は伊達ではない。