信濃大町に暮らす、移住する
子どもたちの遊び場は大自然。大町市常盤地区の国営アルプス公園にて
大町市の暮らし｜自然も暮らしもちょうどいい大町
身近なところに自然があり、生活するうえでの便利さもある。その両方をかなえられるのが大町市の魅力。でも、登山やスキーで大町市を訪れたことはあっても、実際の生活となるとイメージできないことも多いはず。例えば、「雪はどのくらい降るの？」「地域に溶け込むにはどうしたらいい？」「大町市の教育の特色は？」など、大町市での生活や移住に関する疑問にQ&Aで答えます！
Q1大町市の気候について教えてください。夏の暑さはどうですか？ 冬はどのくらい雪が降りますか？
避暑地のイメージがある長野県ですが、大町市では夏の日中の気温が30度を超える日もあります。以前よりも気温が上がり、最近では家にエアコンを設置する家庭も多くなりました。標高が高く日差しが強いため、帽子は必須アイテムです。一方、標高700mあまりの市街地では湿気は少なく、朝晩は気温がぐっと下がるため、都会のような寝苦しさはありません。
冬は寒さが厳しく、昼間でも気温が氷点下になる日も。積雪量は市内北部では多く、南部では少ないという地域差があります。大雪が降ると市街地でもひざ下くらいまで積もることも稀にあります。また、積雪の多い地区では年に数回、屋根に上がっての雪下ろしが必要です。自分のライフスタイルを考えて、市内でも住む地域を選ぶことをおすすめします。
Q2登山口やスキー場にアクセスしやすい場所に住みたいのですが、どの地区がおすすめですか？
登山口やスキー場に近く、大自然に囲まれて暮らしたいという人には平地区がおすすめ。一方で、冬期は雪が多かったり、近くに買い物をできるお店が少なかったりと生活面で不便に感じることもあります。そうした不便さも含めて、自然を思いっきり満喫したいという人にはうってつけのエリアです。ちなみに、町の中心部から扇沢の登山口までは車で約30分、木崎湖までは約15分と、それほど遠くありません。通勤や通学の利便性も考慮したいのであれば、平地区より雪が少なく、交通の便も良い大町地区もおすすめです。
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Q3上の子が小学校に入学するのに合わせて移住を考えています。大町市が掲げる「コミュニティ・スクール」とは何ですか？
地域住民が学校運営に参画して、地域と一体になって学校づくりに取り組むのが「コミュニティ・スクール」。2014年に美麻地区の小中一貫校「美麻小中学校」で始まり、いまでは全市的にコミュニティ・スクールを推進しています。その特徴は、協働の学びと対話に重点を置いている点。教師から生徒への一方通行の授業ではなく、グループ学習にも力を入れています。また、授業や学校行事に地域のボランティアが関わっている点も大きな特徴です。
総合学習では地元のボランティアが支援しながら、地域の資源を活かしたさまざまな体験学習が行なわれています。子どもたちの主体性を育むユニークな取り組みが注目され、教育移住への関心も高まっています。
Q4ペーパードライバーです。車の運転に自信がないのですが、車がなくても生活できますか？ 大町市での買い物や通院、通学など、生活の利便性について教えてください。
市街地にはスーパーや商店街があるので車なしでも生活は可能ですが、車の運転ができると行動範囲が広がって便利です。大町市での主な移動手段は車で、大人の数だけ車がある家も少なくありません。都会ほど交通量は多くなく駐車場も広いので、比較的運転はしやすいです。冬場はスタッドレスタイヤが必須で、雪道での運転が不安な人は市内の教習所で雪道路上運転講習を受けられます。
公共交通機関では、鉄道は松本駅と糸魚川駅を結ぶJR大糸線を利用でき、松本市や安曇野市、白馬村の学校まで電車で通う高校生も多いです。また、平日は市民バスも運行していて、買い物や通院などで利用されています。
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Q5都会と比べて生活費はどのくらいかかりますか？ 交通費や冬の光熱費が心配です。
家族構成やライフスタイルによって大きく異なりますが、生活費の平均額は二人以上の世帯が208,106円、単身世帯が121,918円（出典：2019年全国家計構造調査より抜粋）。
大町市の冬は長く、10月から4月頃まで暖房を使用するため、光熱費は太平洋側の地域に比べて多くかかります。また、生活に車が必要なため、ガソリン代や維持費もかかります。
一方で、家賃は都市部よりも安く、家族で住む間取りだと、賃貸一軒家で5万円台から、賃貸アパートだと6万円台前後が一般的です。家庭菜園やDIYなど、自分で作って消費する、というライフスタイルにシフトすれば支出は減るので、必ずしも都会に住むのと同じだけの収入が必要とは限りません。どんな暮らしをしたいのか、そのためには毎月いくら収入が必要なのか、家族構成や目指すライフスタイルを元にシミュレーションしてみましょう。
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データで見る大町市
大町市への移住｜憧れを現実に。移住成功へのステップ
いきなり地方移住といっても、どこから手を付けたらいいのか分からず立ちすくんでしまうかもしれません。でも、一つ一つステップを踏んでいけば大丈夫。まずは移住の目的を明確にすることが大事です。きっかけは「景色が良いから住みたい」でもよいですが、実際にどんな暮らしをしたいのか、できるだけ具体的にイメージしてみましょう。家族と一緒に移住する場合は、家族の思いや考えを確認することも大切です。次に、移住イベントに参加したり、オンラインで移住相談を受けたりして、気になる疑問を解消しましょう。そして、実際に大町市を訪れて、生活目線で滞在してみる。あえて冬に訪れて、寒さを体感してみるのもおすすめです。住まいと仕事が見つかれば、大町市への移住は目前。行動していると暮らしのイメージが見えてくるので、不安は少なくなります。自分の直感も大事にしながら、移住への一歩を踏み出しましょう。
Q1大町市への移住について詳しく話を聞きたいのですが、どこで相談できますか？
事前の予約 で、まちづくり産業課移住定住促進係の窓口またはオンラインで移住相談を受けられます。さらに「定住促進アドバイザー」や「移住定住協力店・協力者」の制度があり、移住の検討段階でも気軽に相談ができます。定住促進アドバイザーは、7人全員が移住経験者で経歴も職業もさまざま。移住の前も後もサポートしてくれる心強い味方です。移住定住協力店・協力者には、宿や飲食店、工務店などが登録しています。気軽にお店に立ち寄って、大町市での暮らしについて話を聞けます。
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Q2移住して地域になじめるか不安です。アドバイスをお願いします。
地域になじもうという意識と丁寧なコミュニケーションを心がけていれば大丈夫。大町市には県外からの移住者も多いですが、元々住んでいる人との隔たりはなく、自分で壁を作らなければ受け入れてもらえます。
市内の地域ごとに自治会という組織があります。これはご近所さんとの助け合いの組織で、加入義務はありませんが大多数の人が参加しています。活動内容は、ゴミステーションや防犯灯の管理、道路や川の清掃、防災活動、住民間交流など。活動に参加することで地域に溶け込みやすくなりますし、日頃からご近所さんとつながっていると困ったときも安心です。
また、大町市は市民活動も盛んで、文化、芸術、スポーツ、まちづくりなど、いろいろなテーマの活動団体があります。好きなことや興味があることがあれば、地域のサークルやコミュニティに参加してみると人の輪が広がります。
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Q3移住先での転職を考えていますが、どんな求人がありますか？ 地方でも活かしやすい、稼げる職歴やスキルはありますか？
特に求人が多いのは、医療、介護、観光、製造、建設、土木などの業種です。都会に比べて業種や職種は多くありませんが、求人倍率はそれほど変わらず、積極的に採用を行なっている企業もあります。上記の業種であれば、医療・介護関係の資格や重機・大型自動車などの免許を持っていると仕事が見つかりやすいです。松本市や長野市まで通勤する人もいて、近隣の地域も含めると仕事の選択肢が広がります。
コロナ禍以降はリモートワークが普及して、都会の会社に勤めて在宅で仕事をする人もいます。また、季節によって仕事を変える、たとえば夏は果樹園で働き、冬はスキーインストラクターをする、といった柔軟な働き方をしている人も大勢います。
Q4一軒家に住みたいのですが、どうやって住まいを探したらよいですか？
賃貸や売買の中古物件は、大町市の空き家バンクのホームページで登録物件情報を見られます。ただし、ホームページに掲載されている物件が全てではありません。地元の不動産業者や工務店などに相談すると、住まいが見つかる可能性がアップします。また、地域の人とのつながりから賃貸や購入に至るケースも多く、公営物件や民間アパートに住みながら人脈を広げて、理想の家を探すのも一案です。
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Q5家族で県外から移住するのですが、利用できる支援制度はありますか？ また、起業に対する補助金があれば教えてください。
大町市には、移住にともなう家の購入・改修や就職・起業などへの支援制度があります。要件に当てはまるものがあれば、活用すると移住の際の助けになります。現在利用できるものを下記にまとめてみました。（2025年4月現在）
内容は変更になる場合があり、詳細は大町市までお問い合わせ・ご相談ください
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移住・定住
- 大町市定住奨励事業
- 大町市にUターン・Iターンし、定住する意思のある人に、市内店舗で利用できる3万円分の地域商品券をプレゼント
- 新婚生活応援事業
- 大町市内で定住する新婚世帯に、市内店舗で利用できる3万円分の地域商品券をプレゼント
- 大町市過疎地域定住促進奨励金
- 八坂・美麻地区の指定する地域の空き家に入居し、住民登録した人に奨励金を交付
- お試し暮らし体験
- 移住相談や移住施策に参画された方限定で、市内一部宿泊施設を利用した場合、1泊当たり宿泊代の1/2以内（上限4,000円）の補助
住宅
- マイホーム取得助成事業補助金
- 新築や売家の購入でマイホームを取得した人に、新築で最大45万円、購入で最大40万円を補助
- 移住推進空き家改修事業補助金
- 大町市に移住する人が空き家を購入または賃借して入居するための、改修費の一部を市が補助（対象経費の1/2以内、上限30万円）
- ゼロカーボン住宅推進リフォーム支援事業補助金
- 市内の建設事業者に依頼して行なう「ゼロカーボン推進工事」「防災減災外構工事」にかかる費用に対して、経費の一部を補助
- 大町市浄化槽設置事業補助金
- 新たに浄化槽を設置、または、くみ取り式から転換する場合に補助金を交付
就業・起業
- 大町市就業者等移住支援金制度
- 3大都市圏から大町市に移住・就業した人に、最大で100万円の移住支援金を交付
- 大町市起業支援補助金
- 地域の活性化・定住促進を目的に、個人が新たに起業するために必要な経費に対し、年度予算の範囲内で補助金を交付（対象経費の1/2 以内、上限100万円）
- 大町市店舗改修事業補助金
- 市内の地域商業の活性化と中心市街地のにぎわい創出を目的に、店舗の魅力と集客力の向上、事業継続のための店舗改修工事などに必要な費用に対して補助金を交付（1/2 以内、上限50 万円）
- 大町市過疎地域起業者育成支援事業補助金
- 八坂・美麻の産業振興と定住促進の推進による地域の活性化を目的に個人などが新たな事業を起こす場合、必要な経費に対して補助金を交付（10/10 以内、上限100万円）
私の移住体験
地方移住は人生のターニングポイント。自分のこれまでの人生を振り返って、「新たな道に踏み出したい」。そう考える人にとっての一つの選択肢です。移住は自分の理想の暮らしをかなえるための手段であって、目的でもゴールでもありません。
私が妻と長野県に移住したのは2015年のことで、それまでは東京の出版社で会社員をしていました。職場での人間関係には恵まれていたものの、自宅と会社を往復する仕事中心の生活。たった一度の人生だから、自分たちの思い描いた暮らしがしたい。それは、地域の人とつながること、興味やスキルを活かして地域に貢献すること、自分たちの身の丈に合った心地良い暮らしをつくることです。当時、パートナーだった妻と相談して、自然に近い暮らしをかなえられる長野県への移住を決めました。
移住後は「地域おこし協力隊」として活動し、たくさんの出会いや出来事がありました。移住先で知り合った仲間に協力してもらって挙げた手作りの結婚式。隊員任期中に子どもが生まれて、半年間の育児休業。任期後はライターとして起業し、紆余曲折を経ながらいまに至ります。笑いあり涙ありの10年間。仕事のことや子育てのこと、コロナ禍など、苦労もたくさんありました。それでも、自分たちが望んだ暮らしがある。周りには困ったときに助けてくれる人がいる。そして、目の前には北アルプスの山々があって、いつも私たちを優しく見守ってくれている気がします。
いまの時代は、どこで暮らしてもいいし、どんな仕事をしてもいい、誰と結婚してもいいし、しなくてもいい。自由に選べる時代だからこそ、自分の人生をデザインする難しさもあります。あなたにとって大好きなことやかなえたいことがあるならば、それを大事にしてほしいと思います。幸せの基準は人それぞれですが、後で振り返って納得できる人生は幸せです。後悔する人生は残念だと思います。移住するとなれば、仕事も住まいも、付き合う人も変わる。苦労することもあるでしょう。でも、「自分はこんな生活をしたくてここに来たんだ」という動機に立ち返ることができれば、多少の困難は乗り越えられます。
どんな出会いがあって、どんなつながりが生まれるのか、移住後の生活なんて予想できないことばかり。そんな予測不可能性も楽しむことができれば、移住生活は楽しいものになるはずです。「こんな暮らしがしたい！」というイメージの解像度が高ければ高いほど、理想の暮らしは実現します。10年前に一人の知り合いもなく移り住んだ私たちも、いまでは地域の一員に。今度はあなたの番です。大丈夫、きっとうまくいきます。
（鈴木俊輔・ライター。2015年に神奈川県から長野県池田町に移住。長野県の信州暮らしパートナー、池田町の定住アドバイザー。「山のある暮らし」を連載中）
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