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山で泊まるには山小屋かテントという選択肢があるが、やっぱりダイレクトに山を感じたいのならテント泊がいい。
普段の登山装備に加え、テントやスリーピングバッグなどはかなりのボリューム増になってしまうその重みも、旅のスパイスになるはず。
自分たちで完結させるその山旅にどんなものが必要かをまず知ってみよう。

30Lザック、防止、雨具、防寒着、MAP、コンパス、ヘッドランプ、
水、行動食、サングラス、時計、携帯電話・・・

まずここからはじまる基本装備。軽くて効率良く使える登山用を選ぼう。
きちんと眠ることも登山技術。快適に朝を迎えるための必須コンビ。
くつろぎ時間の最大の楽しみ。ボリュームだけでなく味にもこだわりたい。
日程や季節によっても異なるが、一般的には 50リットル以上が標準的だといわれる。 日帰り用の小さいザックだと収納しきれません。
これらの用具について、お店の方に聞いてきました!

山に適したテントとは。ホームセンターで売っているようなキャンプ用とどこが違いますか?

山岳用のテントはやっぱり安価ではありません。でもそれには理由があって、素材やデザインなどがさまざまな経験をもとに研究が重ねられています。

具体的には生地や金属パーツの強度や軽さ。強風や降雪でも耐えられる強さがあって、しかも携行するうえでも負担がないように。余分なものが一切ないつくりだから、基本的な考えがまず違います。
ただし一般的なキャンプ用は居住空間が広めで快適ですから、一概に山岳用が良いとはいえません。

山岳用テントを選ぶうえの注意点とは?

用途をまず明確にしましょう。積極的にオールシーズン使うのか、夏期限定なのかをはっきりさせます。夏しか使わないのであれば本体生地がメッシュになっているモデルが軽くておすすめです。でも春や秋でも使うとなればメッシュから冷気が入って寒くなってしまいます。

はじめて購入するのであれば、自立式のドーム型がおすすめ。2本の交差するポールをしならせて立ち上げるスタンダードな形状です。ダブルウォールというフライシートとの2層構造のものであれば靴置きスペースも作れますし、結露も抑えられます。

どんなサイズを選ぶべき?

店舗でいちばん人気なのは2人用です。要するに1人でも2人でも使えるという使い勝手の良い大きさのこと。最初は誰かに山に連れて行ってもらっていても、いつかは1人で挑戦したいときにも買い替えなくても済みます。

1人で使っていても荷物などが置けて広々快適です。テントの重さも1人用とそれほど変わりません。でも近年問題になりつつある稜線のテン場での「1人1テント」という問題(※)。山でのトラブルを回避するために、ハイシーズンなどでは2人1テントもおすすめです。

※ 1人が1テントを張るために、稜線のような限られたテントスペースでは非常に混雑し、繁忙期では遅れて到着した人がテントを設営できない問題が散見されている。

ワンポイントアドバイス

テントを長持ちさせるコツ

テントのフロアサイズと同じグランドシートがあると良いです。テントの穴空き防止や、汚れ防止、防水効果もあるからです。
もちろんマストではありませんが、あると重宝します。


テントを光らせる?

ペグや張り綱を交換して自分だけのアレンジを加えるのも良いでしょう。機能が高められるだけでなく気分も盛り上がります。
写真は反射素材を使った張り綱と張り綱につける反射材です。テント場は日没後真っ暗になります。ヘッドライトの光が反射してテントに躓いたりするのを防ぐのと同時に自分のテントの目印にもなります。


どんなシュラフが山ではおすすめですか?

山岳用といった山に限定したシュラフはありませんが、軽くて保温効果の高いものが山では重宝します。具体的にはダウン製シュラフが人気です。そしてダウンの量や質によって暖かさが決まりますが、ほとんどのメーカーでは「―5℃まで対応」といったように保温力が表示されているので、それを目安にすれば良いでしょう。

大まかに考えると夏山をメインに考えるならダウン量が250~350g。春も秋も使いたいという場合は450~500gくらいです。ダウンの膨らみを表す単位でフィルパワー(以下:FP)がありますが、これは平均して750FPくらいのものが多くこれもひとつの指針になります。

ビギナーがやってしまう失敗などは?

山で寒くて眠れなかったというのは笑えない失敗談です。実際に山の気温は想像しにくい(けっこう寒い)ので、すこし保温力にゆとりのあるシュラフを購入するのが良いでしょう。「寒かったらウエアを着込む」という方法もアリですが寝心地は悪くなるし、シュラフ本来の機能が活かせなくなるのであまりおすすめできません。

他にありがちな失敗はシュラフが破けて羽毛が飛び出てしまうというトラブル。これはリペアテープで塞ぐしか方法がないので、ぜひ携行したいものです。

どんなマットを選ぶべき?

銀マットと呼ばれる安価なものでも快眠はできます。でもザックに外付けすることになり、スマートではありません。近年の傾向としてはセルフインフレータブルタイプ、いわゆるフォームが中に入った自動膨張式エアマットが人気です。これならザックに入れられますし、膨らませるのもラクです。さまざまなモデルがあるのでいろいろ試してみるのが良いでしょう。
必要な長さは全身をカバーするものでなくても大丈夫です。枕があれば頭部にマットは要りませんし、腰から下は空にしたザックなどで代用できます。荷物を軽くしたければ肩から腰くらいまでの長さでも十分です。厚みは多少薄手でも山では問題ありません。

ワンポイントアドバイス

スタッフバッグを工夫しよう

タッフバッグの形状や大きさを工夫すると、パッキングをよりスムーズにおこなえるのでないでしょうか。これはテントにもシュラフ・マットにも共通することですが、ほとんどの場合、純正スタッフバッグが小さくできています。
それは悪いことではありませんが、山での使い勝手を考えると厳しいときもあります。またスクエア状になっているものもあり、工夫次第でスマートなパッキングができます。

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テント泊の登山に火器は必須ですか?

絶対とは言いませんが、テント内での休息時間を充実させるのに必要なものです。暖かい食べものを摂ることで疲労が回復しますし、暖かく眠ることもできます。。

少人数で使うガスコンロはどんなものが良い?

山岳用として販売されているカートリッジ一体型のタイプならどれも問題なく、あとは鍋をのせるゴトクの形状や重量、火力などで選ぶのが良いと思います。出力が高いほうが良いように思えますが、フリーズドライ用のお湯を沸かす程度なら2000kcal/hもあれば十分です。

カセットコンロでは駄目ですか。

不向きです。やはり寒さに弱く十分なパワーが得られません。キャンプ場などで使うようにしましょう。

コッヘルの素材はアルミ?チタン?

山で使うコッヘルの素材。大別するとアルミ製とチタン製があります。どちらも長所短所がありますが、近年の傾向としてはアルミ製コッヘルのほうが人気です。

焦げにくく(お米も炊ける)、比較的安価なのがアルミ。一方で軽く強いものの調理がしにくいのがチタン。重量差はそれほどないため、徹底的に軽さにこだわるようなことでなければアルミが良いでしょう。

ワンポイントアドバイス

ガスはコッヘルにすっぽり

ガス缶のサイズによりますが、250mlのガス缶で通常のソロ用コッヘルに缶を逆さまにするとちょうどすっぽり入ります。こうすることでコンパクトに運べます。

今回の取材でお世話になったのは・・

好日山荘 瑞穂店

[住所] 〒190-1221
  東京都西多摩郡瑞穂町箱根ケ崎1248-1
[電話番号] 042-568-7913
[営業時間] 11:00~20:30
≫ 詳細はこちら

教えてくれた人
好日山荘 瑞穂店 鈴木ストアマネージャー

縦走登山からバックカントリースキー、沢登りまでこなす生粋の山ヤでありオールラウンダー。山道具をみずから使い倒し、経験に基づいた接客をおこなっている。新しいモノへの好奇心も旺盛で、幅広い知識をもった実力派。

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