監修・構成=佐々木亨

 登山コースを選択する

初級・上級の違いはどこ? 登山コースの難易度を知る

山歩きは、やさしいコースから、経験を要するコースへと段階的にステップアップしていくことが大切です。そのため登山のガイドブックでは、コースを初心者向き、中級者向き、上級者向きといったグレード(難易度)区分しています。
では、どんな点でグレードが変わってくるのでしょうか。チェックポイントをあげてみましょう。

登山口までのアクセスで選ぶ

 自宅から登山口までの交通手段や経路は、山歩きの計画を立てるうえで重要な要素のひとつです。初心者向きの日帰りコースであっても、登山口に着いて実際に歩きはじめる時刻によっては、行動時間のゆとりが変わってくるからです。

 コースの所要時間を前提に、ゆとりのあるスケジュールが組めるかどうか、交通機関のダイヤを調べ、アクセスをよく検討することが大切です。

 山にロープウェーやケーブルカーがあってコースタイムを短縮できることもあります。

◇ 関連リンク
・登山口を検索
◇鉄道・バスを利用する

メリット

  • 運行ダイヤによって移動時間が読める。

デメリット

  • 運行ダイヤに縛られる。

注意点

  • 登山地のバスは季節運行の路線も多い。
  • 下山時刻が前後した時の余裕を見ておこう。
◇タクシーを利用する

メリット

  • 登山口までのバス路線がなかったり、ダイヤが合わなかったりする場合に都合よく利用できる。
  • 人数がまとまると、かかるコストはバスと大差ないこともある。
  • 下山場所と時刻を伝えると予約もできる。

デメリット

  • 運賃が高めである。
◇マイカーを利用する

メリット

  • 自由にアクセスのスケジュールが組める。
  • 途中に温泉や食事などの立ち寄りプランも組める。
  • 人数がまとまれば、割安になる。

デメリット

  • 交通事情により混雑時には予定通りの移動ができない。
  • 登山前、下山後の運転の負担がある。
  • 入・下山口が同一となるようなコース取りが必要で、選択コースが限定される。

注意点

  • 駐車場の有無を事前に確認しておこう。また混雑時の対応も検討しておこう。
  • 入下山口が違う場合は、下山後の移動手段や、車回送サービスなども検討しよう。
  • 下山後は疲れもあるので、安全運転に注意しよう。

 

コースタイムからコースを選ぶ

 ガイドブックや登山雑誌のガイドページに書かれているコースの歩行時間を「コースタイム」いいます。コースタイムは3~4時間までが初級者向き、6~7時間が中級者向き、8時間を超えると上級者向きと考えましょう。

登山用のガイドブックには、地図にコースタイムが掲載されている

 ガイドブックに記載されているコースタイムは「成人男性が10kgほどの荷物を背負って無理なく歩ける、休憩を含まない所要時間」というのが基準ですが、読者想定によって、初心者向きの書籍では割増して記載される場合があるなど、コースタイムは厳密なものではなく、目安として考えましょう。

 雪が積もっていたために予定より時間がかかった、草木が多い茂っていたなど、登山時期や気象条件によっても左右されます。

 なお、ヤマケイオンラインでは、この登山地図を無料で閲覧可能なサービス「ヤマタイム」を公開しています。ぜひご利用ください。

◇休憩時間はコースタイムに含まれない
コースタイムには、休憩時間は含まれていません。登山中は休憩はもちろん、途中で食事を取ったり、トイレに立ち寄ったりして、予想以上に時間がかかるものです。こうした休憩時間を計算して、ガイドブックのコースタイムより、時間がかかるものとして計画を立てましょう。
また、下山の時間も忘れずに計算しておきましょう。登山は下山中のほうが事故が多いものです。疲労や日没を考えて、余裕を持ったスケジュールを立てるのが基本です。

標高差からコースを選ぶ

 標高差とは、上昇、下降する高さのことで、傾斜の緩急ともいえます。平面の地図上では距離が短くても、傾斜が強くなると体力的な負担が大きくなり、歩行時間も大きくなります。

登山用のガイドブックには、標高差を示しているものもあるので参考にしよう

 コース全体で、登山口から、山頂、下山口まで、上昇・下降する標高差が大きいコースほど、それだけ体力を要求され、コースのグレードも高くなります。

 標高差は地形図から判読することも可能ですが、初心者の方には、高低図(断面図)が記載されているガイドブックがよいでしょう。

 目安として、山頂の高さから登山口の標高の引き算で、1日分のコースが、標高差600m以内なら初心者向き、600~1200mになると中級者向き、1200m以上は体力面も含めて上級者向きと言えるでしょう。

◇登山届を提出しよう
登山計画を立てたら、行動予定を登山計画書にまとめ、自分と同行者だけでなく、家族や周囲の人々(職場の同僚など)に共有しておくことも大切です。 また主要な登山口には登山届ポストがあり、登山計画書を投函するように推奨しています。これは万が一アクシデントが生じたときに、所管の警察や山岳救助隊が捜索する際の資料となります。
なお、ヤマケイオンラインでは、一般的な登山届を作成するサービスを提供しています。ぜひ、ご利用ください。
また、以下にはPDF形式のフォーマットも置いておきましたので、ご利用ください。
・ヤマケイオンラインで登山届を作成
・登山届PDF
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