[体験レポート]OM SYSTEMの人気ミラーレス一眼カメラ「OM-5」を持って奥多摩へ
レポート=伊藤洋平(山と溪谷社)
「OM SYSTEM」は、2021年にオリンパスから映像事業が独立し、新たに立ち上げられたブランドだ。軽量・コンパクトかつ、タフで高性能なカメラづくりを得意としており、登山者からも高い支持を得ている。そんなOM SYSTEMのミラーレス一眼カメラのなかでも人気の「OM SYSTEM OM-5(以下、OM-5)」を使って、奥多摩の自然を撮影するイベントが7月13日(土)に開催された。イベントの目的は、登山者が見落としがちな奥多摩の美しい自然を、自然解説員のガイドとともに楽しみ、そしてその記録をOM-5で撮影して残すこと。ガイドしてくれたのは自然教育研究センターの林 慶二郎さん。そして、撮影指導してくれるのは、OM SYSTEMスタッフ。参加者には、OM-5とズームレンズの「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 Ⅱ」、そして双眼鏡の「8 × 25 WP II」が貸し出され、基本的な操作方法の指導の後は、いざフィールドへ。
そうだったの!? 奥多摩は日本一の「巨樹のまち」?
最初に向かったのは、奥多摩駅から徒歩4分の氷川神社。境内に入ってまず目に映るのは巨大な樹木。「この木は、『氷川三本スギ』と呼ばれ、3本のスギが成長するに従って1本の木に合体し、巨大なスギになりました」と自然解説員の林さん。「じつは奥多摩町は、2000年に実施された国の調査で『日本一巨樹の多いまち』に選ばれたことのある『巨樹のまち』で、町内には約900本の巨樹が確認されているんです」。
そんな巨樹をよく観察していると、小さな穴を見つけることがある。この穴は洞(うろ)と呼ばれる、キツツキなどが作った直径10cmほどの穴だ。ムササビやテン、オシドリなど、奥多摩に棲むさまざまな動物が利用している。洞は巨樹の高い場所にあることが多く、肉眼では少し見つけにくいが、今回、参加者のカメラに装着されているレンズは、広角から望遠まで撮影できるため、OM-5を通して観察すると見つけやすい。普段、登山ではスマートフォンで撮影しているという女性は「スマホと違ってこんなにズームができて、きれいな写真が撮れるというのがおもしろくて、ついついシャッターを押してしまいます」と話していた。
不思議な葉っぱ、「リーフレース」を河原で見つけよう
続いて、氷川渓谷の河原に下りてみる。「みなさんは『この景色をなんとか写真に残したい』とその風景に心が強く動かされた経験はありませんか? 私にとっては河原で見つけたこれがそうでした」と林さんが見せてくれたのは、葉脈部分のみが残ったなんとも不思議な葉っぱ。これは木から落ちて川を漂う葉っぱを、河原に棲息する水生昆虫が食べ、葉脈のみが残った状態だそうだ。
「私はこれをリーフレースと呼んでいます」と林さん。これだけきれいなリーフレースは珍しいそうで、まるで自然が生み出すアートだ。「リーフレースの途中経過というような葉っぱは意外と簡単に見つけられるので、みんなで少し探してみましょう」という林さんの提案でカメラを片手に河原を観察。すると、林さんの葉っぱほどではないものの、わずかな時間で多数のリーフレースを見つけることができた。普段、いかに自然の不思議を見落としてしまっているかを実感する。
ライブNDで川の流れを表現
「せっかく河原に下りてきたので、OM-5の特徴的な機能のひとつであるライブNDを試してみませんか」とOM SYSTEMのスタッフ。ライブNDとは、手持ち撮影でスローシャッター効果のある写真を手軽に撮影できる機能だ。通常、別にNDフィルターを用意する必要があるが、この機能を使えばNDフィルターを使ったような写真を簡単に撮影できる。普段とはひと味違うアート風の写真撮影に、参加者も興味津々のようだ。
遠くの小さな虫も特徴がわかるほど鮮明に
河原から氷川渓谷遊歩道に入り、登計橋(とけばし)に差しかかったころ、「この近くに珍しいトンボがいますよ」と林さん。双眼鏡で探してみると、橋の隣にある木の枝に小さなトンボが数匹止まっているのを発見した。カメラの望遠を最大にして観察に夢中になる参加者たち。OM-5を活用すれば、その場で撮影した写真を拡大して確認するのも簡単で、トンボの鮮やかな姿をはっきり観察できる。「このトンボはミヤマカワトンボと言って、清流に棲息し川のなかで卵を生みます。産卵のために1時間近くも潜水できる、非常にユニークな生態なんです」と林さん。
最後はマクロレンズの体験。普段とは違う写真撮影に夢中
撮影体験会もいよいよ終盤。ここからはOM-5のレンズをマクロレンズに付け替えて、氷川渓谷遊歩道を散策。マクロレンズを使うのが初めてという人も多く、「え、こんなに被写体に寄れるの?」と驚きの声が続々。なかでも夢中になってマクロレンズで撮影に取り組んでいた男性に話を聞くと、「普段撮れないマクロ写真だから、どう撮っていいのかわからないし難しいけど、それがおもしろい」とのこと。購入する前にフィールドでいろいろ試すことができるのは、この撮影体験会の大きな強みだ。
自然観察&撮影体験を終えて
氷川渓谷遊歩道で奥多摩駅方面に戻ってきたら、自然観察&撮影体験会は終了だ。この日は午前と午後にそれぞれ同内容のイベントを実施した。参加者のみなさんに感想を聞いてみた。
「時間があっという間だった。今回は遊歩道でしか撮れなかったが、山の上からの景色など、もっといろんな写真を撮ってみたい」「高価なカメラを購入する前に、こういう体験ができるのはありがたい」「写真撮影もおもしろかったけど、林さんの話す奥多摩の魅力がとてもおもしろかった」など、さまざまな声が聞かれた。充実の撮影体験会になったようだった。
今回の参加者は、登山経験が豊富な人が多く、「登山で写真撮影を楽しみたいけど、機材は軽くしたい」という考えの人がほとんど。今回使用したOM-5は本体重量が366g、ズームレンズは285gで、バッテリーやSDカードなどを含めても1kgを大幅に下回る。加えて、防塵防滴のタフな仕様も特徴なので、軽い機材で登山での写真撮影を楽しみたいという人にとっては最良の選択肢のひとつだろう。




