驚くほどの伸縮性と透湿性。今季注目の最新レインジャケット、ミレー/ティフォン ストレッチ ジャケットを雨の山で実証テスト
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文=高橋庄太郎 写真=後藤武久 協力=ミレー・マウンテン・グループ・ジャパン [PR] 2025.5.16
ミレーのレインウェア、「ティフォン」シリーズが誕生して、今年で10周年。今年2月末にはその最新作が発売されて大きな話題になり、すでに着用し始めている多くの登山者には非常に好評のようだ。
初代モデルからティフォンのレインウェアを愛用してきた僕は、この最新作をモニター的に先行して手に入れ、繰り返し試してきている。しかし、これまでは寒い時期の着用が多かった。そこで、本格的な春を迎えて気温や湿度が高くなってきた現在、あらためてフィールドテストを行ない、より詳しく使用感をチェックしているところである
なお、このティフォンシリーズの概要については、前回のレポートにまとめている。今回の記事とは重複する部分も出てくるが、あわせて読んでもらうと理解が深まるだろう。
さて、ここで取り上げるのは、数種類のラインアップをそろえている最新のティフォンシリーズのなかでも軽量性と耐久性とのバランスがよく、一般的な登山に使いやすい「ティフォン ストレッチ ジャケット」だ。
雨のコンディションで
ジャケットの細部をチェック
はじめにレインウェアとしての重要なスペック的な点をお伝えしておくと、耐水圧は30,000mm、透湿性は50,000g/㎡/24h。ともに以前のモデルよりもアップし、防水透湿性がますます高まっている。一方で重量は300gと、それほど軽いわけではない。
実はティフォンシリーズには軽量性を突き詰めた別モデルもあり、そちらは生地が超薄手のぶんだけ耐久性は少し落ちる。反対に言えば、このストレッチジャケットは少し重くなるのは承知で、耐久性も重視。つまり、ティフォンシリーズは機能性によって作り分けられているわけなのである。
それにしても、“ストレッチ”ジャケットというモデル名だけあって、レインウェアの生地としては伸縮性が驚くほど高い!
腕を曲げたり、体をひねったりしても突っ張る感じがほとんどせず、ゴワつきも皆無だ。そもそも体に合わせた絶妙なシルエットになっており、窮屈な感じは一切しない。
ところで、今回のテストは何日も雨を待ってから山へ入った。レインウェアのテストのタイミングとしては非常に理想的だ。
ストレッチジャケットのような“正統派”レインジャケットは、やはり雨天でこそ機能性の良し悪しがはっきりする。
こちらは雨に濡れたストレッチ ジャケットの表面生地だ。
玉のように水を弾き、撥水性の高さが伝わってくる。撥水せず、表面をベタッと膜のように覆ってしまう生地が使われていると、レインウェアの透湿性は大きく損なわれる。この撥水性の高さがあるからこそ、ストレッチ ジャケットのすばらしい透湿性が活きてくるのだ。
フードの形状もよくできている。下の写真で、僕は帽子の上からフードをかぶっているが、フードの額に当たる部分にはわずかながらも張りがあるために立体的な形状が保たれ、雨水がきれいに流れていることがわかる。
ファスナーを上まで上げたときの開口部の広さも過不足ない。視界を妨げずに、雨水の侵入を最低限に抑えてくれた。
フードの後ろ側にはドローコードがつけられ、コードストッパーとの連動で引くだけでフィット感を調整できる。
この時グローブをしたままで操作したが、コードの指へのかかり方もよく、ストレスを感じずに済んだ。
ドローコードは裾にもつけられ、こちらも引くだけで簡単に引き絞ることができる。
風雨が強いときには、強く絞って内部への水分の浸入を防ぐことに役立てたい。
ファスナーは止水タイプだ。
レインウェアにはおなじみのタイプだが、硬すぎて着用感を損なう原因になっていることもある。しかしストレッチ ジャケットに使われている止水ファスナーは細身で柔らかく、違和感がなかった。
袖は面ファスナーを使ったシンプルな作りだ。
僕は手首が細く、レインウェアによってはフィットさせられずに困ることがあるのだが、ストレッチ ジャケットはしっかりと留めることができてまったく問題がない。
ここでいったんストレッチ ジャケットに合わせるパンツの話をしておきたい。
やはりレインウェアというものは、上下セットでこそ最大の機能を発揮するものだ。
このシリーズには「ティフォン ストレッチパンツ」が用意されている。別売りなので必要な人はあわせて手に入れたいが、これまでに履いてきたものがまだ使えるようであれば買う必要はないともいえる。ジャケットとパンツをセパレートで購入できるとセット価格よりも安上がりになり、財布にもやさしい。
このパンツは日本人の体に合う丈になっており、裾が無駄に余ることがないのはよい点だ。これはストレッチ ジャケットも同様である。
ポケットの内側はメッシュ素材だ。
開けたままで着用すればベンチレーターとして機能し、湿気を逃してくれる。
パンツの裾には長めのファスナーがつけられている。
シューズを履いたままでもパンツを脱ぎ履きできるのはとても楽だ。
このストレッチ パンツは、ストレッチ ジャケットと同じ素材で作られている。つまり、耐水圧は30,000mmである。
だから、雨の中でベンチに座って体重がかかっても、簡単には生地を通して水分が浸透してくることはない。実際、このときもお尻が湿ってくることはなかった。
雨天時の快適性を高める
ティフォンならではの着こなし術
ここから話をストレッチ ジャケットに戻そう。
素材やシルエット以外に僕がストレッチ ジャケットを気に入っているポイントのひとつが、フロントのファスナーがWタイプになっていることだ。ベンチに腰かけるようなときは裾だけを開くと前面がもたつくことがなく、着用感が損なわれない。また、行動中にも大きなメリットがあるのだが、詳しくは後述する。
この日の雨は強くなったり弱くなったり、さまざまな表情を見せてくれた。
小雨のときは写真も撮りやすいのだが、本格的に降り出すと撮影もしにくくなるほどである。しかし次第に弱まっていく傾向にあり、長く歩いていると汗ばんでくるようになった。
そこで、フードを外して内部の熱と湿気を排出しながら行動を続ける。
着用感がいいストレッチ ジャケットは、ウインドシェルとしても使い勝手がいい。
なにしろ透湿性は50,000g/㎡/24h。風をさえぎりながら、無用な湿気をどんどん排出していくのだ。雨が降っていないときでも有能なジャケットなのである。
とはいえ、気温が高いときはどんなに透湿性が高くても、少しずつ蒸れてくることは避けられない。そこで、僕は以前からこのような着方をしている。
ファスナーの下だけを開き、胸元だけを留めて使用するのだ。
こうすると、ファスナーすべてを開いたときのようにジャケットが体からずれてきて着心地が悪くなるようなことがなく、快適な着用感がキープできる。それでいて、腰元からは涼しい空気が流れ込んできて、心地よいのだ。
この写真ではバックパックのウェストハーネスを外して換気性を最大限に高めている。重いテント泊装備でも背負っていない限り、この状態でもそれほど体に負担はかからないはずだが、使う人によって着用方法はいろいろとアレンジできそうだ。
このようなときは、ポケットのファスナーも開いておいたほうがいい。
ストレッチ ジャケットのポケットの内側はメッシュ素材なので、開いておけばベンチレーターとして機能し、体の両サイドからも涼しい空気を取り込むことができるからだ。
僕が気に入っているストレッチジャケットのもうひとつのポイントが、裏地の肌触りである。半袖Tシャツの上にレインジャケットを着ることが多い僕は、この点を非常に重視している。
その点、ストレッチ ジャケットの裏地は多少汗ばんでも肌に張り付かず、ベタッとした嫌な感じがしないのがすばらしい。もちろん過度に汗をかけば張り付き、裏地に水分いくらかが浸透してくるが、一般的なレインウェアに比べると不快感は格段に少ないのであった。
……というわけで、期待を裏切らない機能性を感じさせてくれた最新型の「ティフォン ストレッチ ジャケット」。さすがは今年の話題作である。
カラーはメンズ、ウィメンズともに5色展開で、派手なものからシックなものまでそろえられている。日常生活にも利用したい人にはモノトーンやベージュ系がおしゃれで好まれそうだが、山中での安全性を高める視認性のよさではブルーやレッドがおすすめだ。機能性に加えてファッション性も兼ね備えたティフォン ストレッチ ジャケットは、これからの山歩きで大いに活躍してくれるに違いない。

高橋庄太郎
(たかはし・しょうたろう)
山岳/アウトドアライター。一年の半分はアウトドアのフィールドで過ごし、夏は北海道、冬は沖縄、季節を問わずに日本アルプスと、低山から高山までさまざまな山に登り続けている。著書に『テント泊登山の基本テクニック』(山と溪谷社)などがあり、10年以上も続いている「山と溪谷オンライン」の連載「高橋庄太郎の山MONO語り」では、山道具の徹底的なフィールドテストを毎回行なっている。
問合せ先
ミレー・マウンテン・グループ・ジャパン
https://www.millet.jp/
TEL:050-3198-9161

