大人気モデル「OM-5」が3年ぶりにリニューアル! 登山の相棒としても、初めてのミラーレス一眼カメラとしても“最強”の理由

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OM SYSTEM「OM-5 MarkⅡ」は登山者の初めてのミラーレス一眼カメラにおすすめのカメラだ。その理由を、写真家の川野恭子さんへのインタビューと作例とともに紹介する。

文=高橋 楓(山と溪谷オンライン部) 協力=OMデジタルソリューションズ


2022年の発売以来、軽量コンパクトなボディと防塵・防滴のタフさで多くの登山者に支持されてきたOM SYSTEM「OM-5」。昨年実施した山と溪谷オンラインの「登山のカメラアンケート」では、回答者が使用しているカメラで堂々の第1位を獲得した。そんなOM-5が今夏「MarkⅡ」にアップデートし、さらに登山で使いやすくなった。

まずは旧モデルからアップデートした要素のうち、登山者にとってうれしいポイントをまとめてみた。

  1. 従来のシルバー、ブラックに加え、アウトドアシーンを盛り上げる新色サンドベージュが追加
  2. シャッターボタンや電源などの操作系が集まるトップカバーのデザインが変更。砂やほこりなどがトップカバーにたまりづらくなり、よりストレスフリーに
  3. CP(コンピュテーショナル フォトグラフィ)ボタンが加わり、各種機能を素早く呼び出せるよう変更
  4. USB端子がType-Cに変更
OM SYSTEM OM-5 MarkⅡ
新たに加わった新色のサンドベージュ
OM SYSTEM OM-5 MarkⅡ
トップカバーは砂やほこりがたまりにくいデザインにリニューアル
OM SYSTEM OM-5 MarkⅡ
USB端子がType-Cに変更。またUSB給電(撮影中の給電)に対応した

これまで登山ではスマートフォンを使って撮影していたという人が、初めてのミラーレス一眼カメラとしてOM-5に乗り換える人も多いという。なぜ、OM-5は登山者からの人気が高いのだろうか。ミラーレス一眼カメラを使う楽しさとOM-5 MarkⅡの魅力を、写真家の川野恭子さんに聞いてみた。

川野恭子(かわの・きょうこ)
川野恭子(かわの・きょうこ)
「日常と山」を並行して捉え、自身に潜む遺伝的記憶の可視化を試みた作品制作を行なう。ここ数年は山小屋勤務を経験しながら、山の歴史・文化に造詣を深めることに努めている。メディアへの写真提供、撮影、執筆、講師、テレビ出演(NHKにっぽん百名山ほか)など、多岐に渡り活動。京都芸術大学通信教育部美術科写真コース非常勤講師。著書に、写真集『山を探す』(リブロアルテ)、織田紗織氏との共著『山の辞典』(雷鳥社)ほか多数。

Q.ミラーレス一眼カメラの魅力とはなんでしょうか? A.スマートフォンでは表現できないミラーレス一眼カメラ特有の空気感・世界感があります

カメラの撮影イベントの生徒さんには、普段はスマートフォンで撮影しているという人が多いです。そういった人たちがカメラに興味をもった理由は、ミラーレス一眼カメラだからこその特有の空気感を体験したかったからだそうです。

端的にいえば「ボケ」ということなのだと思いますが、風景を撮るにしても「主役」「脇役」という考え方があり、そういった演出効果をミラーレス一眼カメラは得意としています。最近はスマートフォンの機能でも写真をボケ加工できますが、ミラーレス一眼カメラのボケとはやっぱり別物です。また、スマートフォンでは望遠やマクロは苦手ですから、レンズを交換することでまったく異なる世界を表現できるというのは、冒険のようで楽しいですし、ミラーレス一眼カメラの大きな特長です。

[作例]“ボケ”を楽しむ

[OM SYSTEM OM-5 MarkⅡ 作例]“ボケ”を楽しむ

OM SYSTEM OM-5 MarkⅡ/M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO/27mm(35mm判換算54mm相当)/Aモード(絞り優先)/(1/60秒、F4.0、-0.3EV)/ISO 200/WB 5800K/ハイライト&シャドウコントロール:Highlight:-2,Midtone:+3,Shadow:0

標準ズームレンズ(ED 12-45mm F4.0 PRO)だけでも、広角から望遠の全域で0.5倍相当(35mm判換算)のハーフマクロの撮影が可能。開放絞り値はF4.0で、被写体に寄れるので背景のボケを楽しめる。

[OM SYSTEM OM-5 MarkⅡ 作例]“ボケ”を楽しむ

OM SYSTEM OM-5 MarkⅡ/M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO/25mm(35mm判換算50mm相当)/Aモード(絞り優先)/(1/5000秒、F1.2、+1.0EV)/ISO 200/WB 晴天/カラークリエーター:COLOR 0, VIVID +1/ハイライト&シャドウコントロール:Highlight:-2,Midtone:0,Shadow:+2

開放絞り値がF1.2と明るく、にじむような美しいボケを楽しめる。1mほど離れていてもほどよくボケるので、空気感を表現したいときには欠かせない。

Q.OM-5 MarkⅡはどんなところが登山者におすすめなんでしょうか? A.まずは圧倒的な軽さ。そして天気を気にせずに使える防塵・防滴性能がすごいです

登山者にとって荷物を軽くしたい、小さくしたい、という思いは切実です。OM-5 MarkⅡはとにかく小さくて軽い。これだけでも大きなメリットですが、それに加えてIP53という防塵・防滴性能を有しているミラーレス一眼カメラはほかにありません。

高価なミラーレス一眼カメラは大事に使いたいですが、だからといって、壊すのが怖いからと、天気が急変する山では、バックパックのなかの防水ケースに入れっぱなしというのはもったいないです。私はすぐに写真を撮れるようにカメラを山でも持ち歩いています。何度も雨に降られていますが、気にせずそのまま。ちょっと乱暴かなと思いますが、壊れたことはありません。この防塵・防滴性能はOM-5 MarkⅡだからこそです。

Q.他社の軽量コンパクトなミラーレス一眼カメラとの違いは? A.交換レンズを含めた総合的な軽さと小ささはほかにありません

たしかに他社にも軽量コンパクトなミラーレス一眼カメラはあります。でも、IP53という防塵・防滴性能でこの小ささのカメラはほかにありません。また、OM SYSTEMの交換レンズは、どれも軽量コンパクトで、持ち運びがとても手軽です。

他社の場合、カメラ本体は軽いのに、レンズが大きく重たくて、せっかくのボディの強みを打ち消してしまうことがよくあります。でも、OM SYSTEMの場合、プロレンズでも他社に比べてひと回りもふた回りも小さくて軽いです。とても小さいので、私はバックパックのショルダーハーネスにあるドリンクホルダーに交換レンズを入れています。登山中もじゃまにならず、レンズを交換したくなったら、バックパックを下ろさずにすぐに交換できます。レンズをこんなふうに持ち歩けるのは、登山者にとって最もうれしいポイントではないでしょうか。

Q.撮影に関してはどうでしょうか? 初心者にも使いやすいと聞きましたが…… A.初心者の方でも、「山の魅力を手軽に、カメラ1台で記録できる」機能が充実しています

たとえば、星空は撮影が難しい被写体です。でも、山小屋に泊まるような登山では「せっかくなら星空を見たい、撮りたい」という声も多く聞かれます。そうしたなかで、星空撮影をアシストしてくれる機能が充実しているのは、大きなポイントになると思います。

[作例]ライブコンポジットで星空を撮影する

[OM SYSTEM OM-5 MarkⅡ 作例]ライブコンポジットで星空を撮影する

OM SYSTEM OM-5 MarkⅡ/M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0/12mm(35mm判換算24mm相当)/マニュアル露出 Mモード(マニュアル)/(1/50秒、F2.0)/ISO 1600/WB 晴天/カラークリエーター:COLOR 21, VIVID +1/ライブコンポジット(比較明合成30コマ)

「ライブコンポジット」は星空撮影ではおすすめの機能。比較明合成により星の日周運動をカメラひとつで撮影できる。また、「星空AF」や「ナイトビューモード」など星空撮影をアシストしてくれる機能が豊富。撮影シーンごとの設定を「カスタムモード」を使い名称登録できるのも便利。たとえば、星空撮影の設定は「starry sky」の名称で登録していた。

もう一つ紹介したいのが、「ライブND」という機能です。これはカメラ内のCPボタンから呼び出せて、シャッター速度を遅くして動きのある被写体をブレさせて撮影する機能です。たとえば、明るい時間帯に雲を流すように撮ったり、滝や川の水の流れを白糸のように表現したい場合、通常はNDフィルターというサングラスのようなフィルターを持ち運ぶ必要がありました。それが、この機能ではボタンひとつで済むので、手間なく表現の幅を広げることができます。

[作例]ライブNDで葉の揺らめきや水の流れを表現する

[OM SYSTEM OM-5 MarkⅡ 作例]ライブNDで葉の揺らめきや水の流れを表現する

OM SYSTEM OM-5 MarkⅡ/M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO/12mm(35mm判換算24mm相当)/Sモード(シャッター優先)/(1秒、F14、0EV)/ISO 200/WB 5800K+3STEP(G)/カラークリエーター:COLOR 0, VIVID +1/ハイライト&シャドウコントロール:Highlight:0,Midtone:-1,Shadow:0/ライブND(ND16)

明るい場所でも「ライブND」を使えば、NDフィルターを持たずにスローシャッター効果を楽しむことができるので荷物の軽量化が可能。「手持ち撮影アシスト」を使えば、手ブレせず被写体ブレを撮影できる。「CPボタン」により、ライブNDなどのCP機能を素早く呼び出せるのも便利。

[OM SYSTEM OM-5 MarkⅡ作例]ライブNDで葉の揺らめきや水の流れを表現する

OM SYSTEM OM-5 MarkⅡ/M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO/40mm(35mm判換算80mm相当)/Sモード(シャッター優先)/(1秒、F10、-0.3EV)/ISO 200/WB 5800K/カラークリエーター:COLOR 21, VIVID 0/ハイライト&シャドウコントロール:Highlight:-2,Midtone:+2,Shadow:+2/ライブND(ND16)

「ライブND」は「カラークリエーター」との組み合わせが可能なので、彩度や色相を自由に設定することにより表現力を高めることが可能。水の色を強調するため、シアンを加えている。アートフィルターとの併用は不可。

そのほかにも、写真と写真を重ねて撮る「多重露出」という機能もあります。たとえば、高山植物の花を目当てに登ったのに、まだそんなに咲いていなかった……というときに、撮った花の写真を組み合わせて作品づくりを楽しむこともできます。こういった工夫で、撮影の幅や楽しみ方が広がるのも魅力のひとつだと思います。

[作例]多重露出で組み合わせる

[OM SYSTEM OM-5 MarkⅡ 作例]多重露出で組み合わせる

OM SYSTEM OM-5 MarkⅡ/M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO/23mm(35mm判換算46mm相当)/Aモード(絞り優先)/(1/320秒、F4.0、-0.7EV)/ISO 200/WB 蛍光灯+2STEP(R)/ハイライト&シャドウコントロール:Highlight:+7,Midtone:+4,Shadow:-3/多重露出2コマ

この作品では、花の写真と玉ボケの写真の2枚を組み合わせ、幻想的に仕上げた。咲いている花が少ないときは、花と花を重ね合わせるとにぎやかな印象にできる。液晶画面に重ね合わせるイメージがプレビューされるので便利。RAWデータで撮影していれば、撮りためた写真と重ねることもできる。

また、買い替えを検討している方――たとえば、これまで重たいカメラを使っていたけれど、もっと軽い機材にしたいという人にとっても、OM-5 MarkⅡは魅力的です。特に「ハイレゾショット」機能では、通常は約2000万画素のところを、5000万画素相当の高解像度写真が撮れるようになります。こうした高性能な機能は、初心者だけでなく、撮影に慣れている方、作品として仕上げたい方にとっては大きな魅力になるでしょう。

[作例]ハイレゾショットで三脚なしでも高解像度撮影

[OM SYSTEM OM-5 MarkⅡ 作例]ハイレゾショットで三脚なしでも高解像度撮影

OM SYSTEM OM-5 MarkⅡ/M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO/15mm(35mm判換算30mm相当)/Aモード(絞り優先)/(1/125秒、F10、0EV)/ISO 200/WB 5800K/カラークリエーター:COLOR 0, VIVID +1/ハイライト&シャドウコントロール:Highlight:0,Midtone:+1,Shadow:0/手持ちハイレゾショット

精細に見せたくなる被写体、岩や草木の質感などには、三脚不要で高解像写真が撮れる5000万画素相当「手持ちハイレゾショット」をよく使う。画像のきめ細かさはもちろん、色のひとつひとつも丁寧に描写するので、奥行きのある画に感じられる。約2段分ノイズを低減してくれるのもうれしい。約8000万画素相当と、より高解像に撮影できる「三脚ハイレゾショット」もある。

Q.川野さんにとって山で撮影することとは? A.山は単なる風景ではなく、自分の感情や印象を重ねる存在です

私の場合、山岳写真といっても、記録的な写真というよりは「作品制作」に近く、どちらかというと芸術的・アート寄りの視点で山にアプローチしてきました。

見たままの風景をそのまま写すのではなく、自分の記憶の中の色やイメージを作品として表現したいというタイプです。だから山は、単に風景を記録する対象ではなく、自分の感情や印象を重ねる存在でした。そういった意味では、多くの人がイメージする「山岳写真」とは少し違うかもしれません。

そして、なぜOM-5を使うのかというと、これだけ小さいカメラでありながら、表現力がしっかりあるからです。たとえば、初心者の方にも使いやすい「アートフィルター」や、色の鮮やかさを簡単に調整できる機能など、自分が思い描いたイメージを一台で仕上げられるというところが、非常におもしろいと思っています。そんな理由から、私はこのカメラを選んで使っているんです。

[作例]アートフィルターを使った表現

[OM SYSTEM OM-5 MarkⅡ 作例]アートフィルターを使った表現

OM SYSTEM OM-5 MarkⅡ/M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO/25mm(35mm判換算50mm相当)/Aモード(絞り優先)/(1/60秒、F4.0、-1.7EV)/ISO 250/WB 5800K+4STEP/ハイライト&シャドウコントロール:Highlight:0,Midtone:+5,Shadow:0/アートフィルター:ポップアートII+ピンホール効果

自分の世界観の表現という意味では、「カラークリエーター」のほかに「アートフィルター」を使うことも。よく使うのは「ポップアート Ⅱ」。深いコクのある色が山の陰影を表現するのに合っている。樹林帯で使えばしっとりとした森の印象に。効果の追加も可能で、この作品では「ピンホール効果」を加え、花に存在感を高めている。

[作例]アートフィルターを使った表現

OM SYSTEM OM-5 MarkⅡ/M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO/12mm(35mm判換算24mm相当)/Aモード(絞り優先)/(1/250秒、F11、-0.7EV)/ISO 200/WB 5800K/ハイライト&シャドウコントロール:Highlight:0,Midtone:+6,Shadow:+2/アートフィルター:ポップアートII

「ポップアート Ⅱ」は色が濃いだけでなく、コントラスト高めに仕上がるので、木々や大地の陰影が強調され、立体感のある仕上がりになる。鮮やかすぎないので、自然な印象に仕上がるのもいい。

[作例]アートフィルターを使った表現

OM SYSTEM OM-5 MarkⅡ/M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO/12mm(35mm判換算24mm相当)/Aモード(絞り優先)/(1/500秒、F8.0、-0.3EV)/ISO 200/WB 5800K/ハイライト&シャドウコントロール:Highlight:-2,Midtone:-1,Shadow:+4/アートフィルター:ラフモノクロームII

荒々しい岩稜帯や、曇天や逆光などの色が出ない光線状態のときに使うのが「ラフモノクローム Ⅱ」。あえて色の情報をなくすことで質感や陰影が強調される。さらに、粒状効果が加わるフィルムライクな仕上がりがお気に入り。天気が悪くてもアートフィルターを使えば撮影がぐっと楽しくなる。

製品情報

OM SYSTEM OM-5 MarkⅡ

OM SYSTEM OM-5 MarkⅡ
価格 オープン価格
サイズ W125.3mm×H85.2mm×D52mm
重量 418g(CIPA準拠、付属充電池およびメモリーカード含む、アイカップなし。本体のみは370g)
詳細を見る
イベント情報
「OM-5 MarkⅡ撮影体験×自然観察会」

発売されたばかりの注目ミラーレス一眼カメラ「OM SYSTEM OM-5 MarkⅡ」を使って、美しい自然を巡る撮影体験×自然観察会を今年も2025年7月26日(土)に開催します。今回は東京・御岳山でタッチ&トライ!

開催日程:2025年7月26日(土)
集合場所:東京都御岳ビジターセンター前(予定)
開催時刻:9時50分~15時30分(約5時間40分)
※開催時刻までに集合場所にお越しになるには、下記の公共交通利用がおすすめです

  • 8:59 JR青梅線 御嶽駅(ホリデー快速おくたま号83号)
  • 9:12 御嶽駅バス停から西東京バスに乗車し、ケーブル下(滝本駅)へ(約10分)
  • 9:30 御岳登山ケーブルカー滝本駅から山頂駅(御岳山駅)へ(約6分)
  • 9:36 御岳登山ケーブルカー山頂駅(御岳山駅)から徒歩(約15分)

参加費:税込1,000円(講習費、イベント保険などの実費分/当日現金にて)
申込締切:2025年7月10日(木)24時まで
主催:山と溪谷社

※募集期間は終了しました。

OM SYSTEMについて

OMデジタルソリューションズ
https://omsystem.com/ja-jp/