宮城・岩手・秋田の三県にまたがる栗駒山(標高1,626メートル)は、青森県から栃木県まで続く日本最長(約500キロメートル)の奥羽山脈の中央に位置する。
一般的には、「栗駒山」と呼ばれているが、岩手県では須川岳、秋田県では大日岳とも呼ばれ、ふもとから眺める山の姿の違いから異なった呼び名があり、宮城県側からは、5月に現れる残雪の形が駒(馬)に似ている事が栗駒山の名前の由来になったと言われている。
鮮やかな紅葉で知られる栗駒山は、高山植物の宝庫としても知られている。
山上では見事なお花畑を楽しめ、サクラソウの仲間ヒナザクラで「花の百名山」(田中澄江選定)に選ばれている。また、ブナやミズナラとともに、カエデ類の落葉広葉樹林が広がり、新緑、紅葉も際立って美しい。深田久弥氏は『日本百名山』のあとがきで「栗駒山も百名山に入れるべきであったかもしれない」と記している。
山頂からは、鳥海山、月山、蔵王連峰、岩手山、早池峰などの日本百名山が見渡せ、焼石岳、神室山などの花の百名山も見渡すことができる展望の山である。
栗駒山は、バリエーション豊かな登山コースが複数あることもその特徴である。
最短距離で登ることができる初級者向けのコースから、ブナの原生林や広大なお花畑を歩く標高差約1,000mの健脚向けロングコースまである。
また、広葉樹林を中心とした柔らかな印象を持つ景観の宮城県側に対し、火山活動の痕跡が色濃く残る秋田、岩手県側の対比もおもしろい。
どのコースを歩いても花の時期にはたくさんの高山植物が咲き、紅葉の季節には美しい景観を堪能できる。
宮城県側は、イワカガミ平を中心に5箇所の登山口があり、秋田、岩手県側は豊富な湯量を誇る須川温泉が代表的な登山口となる。
各コースの組み合わせや、季節を変えて、何度となく楽しめるのが栗駒山の最大の特徴である。
栗駒山麓の地形と豊かな水によって育まれてきた郷土料理。米どころの平野部は「栗原米」を生み、ずんだ餅、くるみ餅に始まり、じゅうね餅、ふすべ餅など、50種以上ある餅料理は名物のひとつ。水と米が美味しければ、酒造りには好条件で、栗原市内だけでも6つの蔵元が存在する。
イワナの養殖発祥の地とされる耕英地区では、清流が育てたイワナを「岩魚丼」で提供しており、栗原の名物となっている。山間地で昼夜の温度差が大きい花山地区の名産は、そば。「花山そばの里」では3軒のそば店が味を競っている。粘りの強い自然薯や、山の幸であるきのこや山菜とともにめしあがれ。
栗駒山の楽しみのひとつは、どの入下山口にも湧いている温泉。秋田・岩手県境の須川高原温泉は古くから湯治場として知られている。宮城県側も長い温泉の歴史があり、いくつもの温泉が楽しめる。写真は宮城県側「新湯温泉くりこま荘」の露天風呂。
栗駒山山麓の標高約670mから700mに広がり、14.34ヘクタールを誇る湿原群。雪融けの5月から紅葉の始まる9月まで、ワタスグ、ニッコウキスゲ、サワランなど、湿原の植物を季節ごとに楽しむことができる。「世界谷地」とは「広い湿原」の意味とも言われる。
ヤマケイオンラインでは、7月11日(土)、12日(日)の2日間、山麓の自然と食事・温泉を楽しみ、翌日、栗駒山を登る、という山旅プランをご用意。ご参加いただけるモニター特派員2組4名を募集します。
集合場所(東北新幹線・くりこま高原駅)までの交通費の一部を負担するほか、集合から解散までの移動、宿泊、登山ガイドの費用はすべて山と溪谷社が負担します。
参加条件など詳しくは、以下のリンク先の応募フォームをご確認のうえ、ご応募ください。
応募締め切りは6月16日(火)正午まで。
ご応募お待ちしています。
今回のモニターツアーでは、東栗駒コースを登って山頂を目指し、快適な稜線歩きが楽しめる天馬尾根コースを歩き、秋田県側の秣岳登山口へと下る。
東栗駒コースは、イワカガミ平に起点があり、樹林帯、沢歩き、高山的な景観を楽しみながら登ることができる。
天馬尾根コースは、秋田県に起点がある秣岳登山口へと続く縦走路で、宮城、秋田県境を歩く。東栗駒コースとともに、稜線歩きが楽しめる栗駒山でも屈指の景観を誇るコース。
どちらのコースもたくさんの高山植物に出会え、懐の深い東北の山ならではの景観を満喫できる。宮城、岩手、秋田の三県を一日で歩くことができる贅沢なコースでもある。
くりこま高原駅下車後、いわかがみ平まで、車で約60分。
(川口JCTから若柳金成ICまで402km、約5時間)
築舘ICからいわかがみ平まで、車で約60分)