役行者生誕から1390年。田中陽希さんが歩いて感じた修験道発祥の地・葛城修験
[PR]
修験道の発祥地とされ日本遺産にも登録されている葛城修験(かつらぎしゅげん)。1400年近くの歴史がある修験の道を、プロアドベンチャーレーサーの田中陽希さんと歩いた。きびしい修行をイメージする修験だが、陽希さんは「登山も修験の一部」と言う。葛城修験を歩いて学び、感じたものとは。陽希さんが葛城の峰々を歩いた2日間と、参加したウォークイベントの様子をお伝えしよう。
文=大堀啓太(ハタケスタジオ)、写真=金田剛仁(ハタケスタジオ)・栗城翔太、協力=葛城修験日本遺産活用推進協議会
ルポ・大福山。地元ハイカーでにぎわう山頂と第三経塚・第四経塚を巡る
地元のハイカーに愛される紀泉アルプス
1日目は、地元で「紀泉アルプス」として親しまれている山塊のひとつ大福山(だいふくさん)に登り、稜線と谷間の林道を通って、JR阪和線山中渓駅(やまなかだにえき)に下りる。大福山の山頂の第三経塚と、山を下りたところにある第四経塚を巡る、約18km、6時間ほどのコースだ。
歩き始めは、通学や通勤の人たちであふれるJR阪和線の六十谷駅(むそたえき)。しばらく閑静な住宅街に流れる千手川沿いを進み、役行者が開いたとされる本惠寺(ほんえいじ)に立ち寄る。大福山が奥の院になるため、入山のあいさつとして山伏の宮城さんが勤行(ごんぎょう、般若心経の読経)をした。
宮城さんがお経を読むと、のどかな本惠寺が一転しておごそかな雰囲気に包まれる。宮城さんに導かれるようにお経を読んでいる陽希さんも、なんだか立派な山伏に見えてきた。



お経を読み終えると場がふっと和らぎ、曼殊沙華とコスモスが風にただ揺れるばかり。
「本堂に続く石段にも境内にも立派なモミジがあるので、紅葉シーズンもすごくきれいでしょうね」
これまで修行してきた先人や、季節が移り変わりゆく自然に思いをはせるように陽希さんがつぶやき、本惠寺を後にした。