「フィールド・人・暮らし」をテーマに旅をする写真家・飯坂大さんに聞く、グレゴリー「スタウト45」の使い勝手

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山や旅先の風景とそこでの人と暮らしをテーマに撮影する写真家の飯坂大さんは、毎月のように、撮影旅に出かけるスタイルを続けています。3月にはインドネシアのバリ島を旅し、山に登り、山村の人と暮らしを撮影してきた飯坂さんに、今年にアップデートされたグレゴリーの「スタウト45」の使い勝手について聞きました。

写真=水谷和政、協力=飯坂大、サムソナイト・ジャパン

 

 

「スタウト45」は、必要な機能がすべて揃って、「素直に使える」バックパック

3月上旬に、インドネシアのバリ島に撮影旅行に行ってきました。撮影旅は全体で10日間でした。

僕の中には、バックパック旅というのが基本にあって、旅先に山があれば登り、そしてそこで生きる人たちと出会って話を聞き、撮影させてもらうのがライフワークです。バリ島は2回目で、一度目はリゾートの撮影だけだったのですが、今回は山の自然を見たいと思っていました。

バリ島というとビーチ・リゾートのイメージが強いと思いますが、標高3142mの聖山・アグン山をはじめ、火山のある島なので、高原地帯・山岳地帯があります。海から山までがつながっている島で、山に登り、バリの自然と、そこで生きる人々の暮らしをしっかり撮りたいと思って行ってきました。ガイド同伴でのみ登れるバトゥール山(標高1717m)という火山に登ってきました。初めての場所でも、山に登ると山麓に村が見えて、生活している景色が俯瞰できるのがよかったです。

バリ島の山村と、そこで暮らす人々の生活を撮影した(写真=飯坂 大)


世界中の風景動画を壁に飾ったディスプレイに写す「Atmoph」というサービスの動画撮影も依頼されていました。これまでにも「グレートヒマラヤトレイル踏査プロジェクト(以下、GHTプロジェクト)」で訪れたネパールや、日本の北アルプスでも、僕が撮った動画を提供しています。バリでは、山村から湖越しの山、という映像を撮ってきました。

バリ島の旅では、グレゴリーの「スタウト45」をほぼ毎日背負って過ごした(写真=飯坂 大)


撮影機材と旅の荷物を、グレゴリーの「スタウト45」に入れて背負って歩いてきたので、写真家という目線で「スタウト」の使用感や、使い勝手を紹介したいと思います。

まず「スタウト45」について一番に感じたことは、「ザ・バックパック」ということ。特別なギミックがないけれど、バックパックの持つべき機能はグレゴリーのクオリティですべて揃っていて、オーソドックスで「素直な使い方ができる」バックパックということです。

機材を切り詰める山岳の取材と違い、中判フィルムカメラ、コンパクトのフィルムカメラ、映像用の撮影機材などでかなりの嵩と重さになりました。日中は、ホテルに荷物を残し、その日使うものだけを「スタウト45」に入れて背負って行動していました。

バリ島の撮影旅に同行したカメラたち。このほかに動画用のカメラも持っていった


荷物が増えても減ってもストラップで調整できますので、45リットルというサイズがちょうどよかったです。「スタウト」は丈夫さと軽さのバランスが良く、背負っていて全く嫌なところがありませんでした。

毎日、日中はほぼ野外で過ごしましたが、どこも傷ついていないという丈夫さも、グレゴリーらしさだと思います。もっと長い旅で、荷物が重い場合、山の要素が大きい場合、さらに頑丈さが求められる場合には「バルトロ」を使いますが、今回は「スタウト45」がベストだったと思います。

 

「スタウト45」の細かい機能。飯坂さん流の使い方とは

バリ島の3月は雨季の終わりで、午後には毎日のようにスコールがありました。レインウェアを着たり脱いだりしたので、フロントポケットはよく使いました。

普段、日本の山に登るときはあまり使わないレインカバーも活躍しました。毎日使って、毎日乾かしたので、フロントポケットに入れておいて、雨が来たらサッと出して被せるという使い方をしていました。強い生地と伸縮性のあるメッシュ部分があるので、出し入れがしやすかったです。

毎日スコールに遭うバリ島ではレインカバーが大活躍。出し入れが多くフロントポケットを活用


それから海外では、水の不安があって、飲み水はペットボトルの水を買うことが多いです。

僕は以前の「スタウト35」も使っていますが、「スタウト45」のサイドポケットは、前の35のモデルより立体感が増して、結構大きいので、マイボトルとペットボトルを両方入れたり、ボトルと薄いジャケットを入れたりできて、ちょうどよく収まりました。

大きなサイドポケットは、ボトル2本差しや、ボトル+シェルジャケットがピッタリだった


三脚は、動画にも耐えるしっかりしたものを持ち、さらにトレッキングポールも持っていたのですが、反対側のサイドポケットにしっかり収まりました。メッシュも丈夫で、三脚の角で擦れましたが、穴が開くことはありませんでした。

反対側のサイドポケットは三脚とトレッキングポールを収納した


ヒップベルトは、「バルトロ65」に比べると薄いですが、「スタウト45」にはこれで合っているのだと思います。今回の旅では、ヒップベルトがコンパクトにたためたので、機内持ち込みにできました。これはすごく大きなポイントでした。重い荷物を背負って、腰で荷重を支えるのが重要な「バルトロ」と、それほどでもない「スタウト」で、ヒップベルトのボリューム感がそれぞれ用途に合わせて作られているのがグレゴリーのよいところだと思います。

またヒップベルトのポケットが大きくなって、ジッパーが長くなったので、メモ代わりに使っているコンパクトデジカメや、トレイルバターのような大きな行動食も、楽に入りました。

出し入れしやすくなったヒップベルトポケットには、コンデジや行動食を入れていた


背面はフラットな、オーソドックスな構造で、パッキングのしやすさにつながっています。

10日間の旅にはノートパソコンが欠かせませんが、背面側の平らなところにパソコンを入れて持ち歩きまっした。扱いが慎重になり、かつ重いノートパソコンのようなものを、しっかり安心して背負えるというのも、グレゴリークオリティだと思います。

また背面はメッシュ使いで熱がこもらない構造になっていて、背負っていて不快感はありませんでした。

背面の構造はフラット。メッシュの生地が使われていて通気も十分だったという


背面長調整ができるのはとても便利です。自分の身体に合わせたつもりでも、その日の荷物の量やコンディションによって、背負いやすいポジションが変わるので、背面長を細かく調整できるのは便利でした。

荷物の量やコンディションで背負い心地は変わる。背面長の調整が細かくできるのも良い


パッキングの基本の「重いものを上に」とか「すぐに取り出すものを上に」ということのほかに、僕の場合は、ちょっと荷物を下ろすときも立てて置いておきたいので、バックパックが自立するよう「底を作る」ようにしてパッキングしています。そういうパッキングができるところも「オーソドックスなバックパック」と感じるところです。

旅の達人がパッキングするとこのとおり自立する


また「スタウト45」の「フェンネルグリーン」という緑基調の色は、自然に馴染む色で、個人的にはとても好みの色です。グレゴリーで、こういう緑系のバックパックは少なかったんじゃないでしょうか。レインカバーも同色で、よい色だと思います。

ボトム部分からのアクセスはシュラフなどを取り出すのに便利


45というサイズは、装備をコンパクトにまとめれば、夏のテント泊山行なんかにも使えるでしょう。「スタウト」には、60というサイズもあるので、そっちを選択肢にしてもいいですね。強いて改善点を上げるなら、パック上部の巾着部分をもう少し長くしてもらうといいのかな。ただ、45というサイズ感を考えると、このくらいなのでしょう。

 

撮影旅をライフワークとする飯坂さん。バックパックの中身は・・・

旅に同行したアイテムを再現してもらった


今日は10日間の旅で持っていった、主だった道具を再現して持ってきました。

レインウェア上下、ダウンジャケットなど、シャツなどの着替えなどの服装のほか、シュラフなんかも持っていきました。ちょっと外に出るとき、海に出るときなどもあるので、サンダルは必須でした。日差しが強いのでサングラスも欠かせません。

旅の間は、山に登るときも、トレイルラン用のシューズを履き、朝はランニングをしていたので、トレイルラン用パックの「ルーファス8」で走ってました。

撮影用の機材では、中判のフィルムカメラ、コンパクトフィルムカメラ、当然、それぞれのフィルムも持っていきます。メモ用のコンパクトデジタルカメラ、動画撮影用のカメラ、三脚などに加え、ノートパソコンも持っていきますし、アナログな文庫本なども持っています。

フィルムカメラは、それぞれのサイズのフィルムをいくつも持たなくてはならない


旅の行き先や目的、滞在時間に応じて、自分の好きなものを持っていく、それらを背負っていけるのが「スタウト45」の良いところだと思います。

そんな中で、旅のお気に入りの道具となっているのが、この、グレゴリーが「チョークバッグ」として出しているポーチです。これを一眼レフカメラを入れるのに使っています。

チョークバッグ仕様のポーチをカメラバッグに応用している


チョークを入れるために内側にフェルトが張ってあって、このクッション性が、カメラを入れるのにちょうどよいのです。上部にジッパーがあるので置いて、取り出したり閉まったりがしやすいし、メモリーカードのケースをジッパー付きのポケットに入れられます。

ほかに、暖かい国への旅では、洗濯してもよく乾くので、洗濯を干せるような道具を持っていくことがあります。こうすることで、必要以上の着替えを持たないという旅のスタイルができます。こんな工夫も、バックパック旅の面白さかなと思っています。

洗濯できれば、荷物を減らせる。物干しロープは欠かせないアイテム


次に、いつどこに取材に出かけるかは決まっていないのですが、バックパックを背負っての取材旅ができるようならば、これらのギアを収めやすいサイズの「スタウト45」は、出番が多くなるだろうなと感じます。

また、大きな計画としては、昨年はお休みとなってしまった「GHTプロジェクト」を2020年秋に再開します。標高が高く難易度の高い3つの峠を越えることも考えていましたが、メンバーでいろいろ話し合って、ドルポ地方2回に分けて歩く計画です。「GHTプロジェクト」らしいヒマラヤの自然と人々が暮らす村を訪ねるような旅ができればと思っています。

これは実施できたら、また、報告会を行って、みなさんと共有できたらと考えています。

 

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今回紹介したグレゴリーのバックパック

スタウト45

価格
23,000円(税別)
サイズ
ワンサイズ
カラー
2色

※スタウトには、ほかに、35、60のモデルがある。女性用のアンバーには、34、44、55のモデルがある。

 

グレゴリー公式サイトへ

 

プロフィール

飯坂大さん

写真家。1981年 東京に生まれ、埼玉で育つ。

大学を卒業後、アジアへ長期の旅に出かけ、そこに生きる人々や自然に寄り添う暮らしを撮影したいと思い、写真をはじめる。
山に魅せられ、飯豊山の小屋番をしながら限界集落を記録。国内のみならず、ニュージーランドやアルゼンチンなど世界各地のトレイルを歩く。アウトドアメーカーのスタッフ、広告の写真スタジオを経て独立。旅・暮らし・アウトドアの媒体を中心に様々なメディアで活動している。
ネパールを横断するグレートヒマラヤトレイルを踏査する日本初の試み『 GHT Project 』を仲間と立ち上げ、毎年約一ヶ月のヒマラヤ旅の模様を全国各地で発表する。

 ⇒ウェブサイトはこちら
 ⇒GHT踏査プロジェクトウェブサイト