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智者山から猿見石山へ

智者山( 南アルプス)

パーティ: 1人 (1357 さん )

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行程・コース

天候

晴れ

登山口へのアクセス

マイカー

この登山記録の行程

千頭(305m、6:30)三角点(1,092m、9:40)智者山(1,291m、10:35)天狗石山(1,366m、10:30~45)縦走尾根(1,200m、12:45)最低鞍部(985m)猿見石山(1,116m、14:00)林道(540m、14:50)奥泉駅(365m、15:35)

コース

総距離
約13.9km
累積標高差
上り約1,350m
下り約1,289m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

 明るいうちに千頭に着けそうだと喜びながらK27を走り、上落合を経て口坂本からジグザグ道を上がって峠を越えると、井川湖の上に見覚えのある山容(大無間山等)が姿を現す。山の開拓時代を思わせる人臭薄い光岳以南の南アルプス深南部の山に入れ込んでいた頃を思い出して懐かしさが込み上げてきて、車を停めてじっと眺める。少し下ると北の方に白い雪山の姿が目に留まるが、デジカメを二王山頂に置き忘れてしまったのでケイタイでは良い写真は撮れないし、かと言って撮らないで見過ごすのも勿体なくて、じれったい事この上ない。
 井川ダム堤で大井川右岸に渡り、初めての道を千頭目指して南下する。奥大井湖上駅を見下ろして感心し、奥泉駅で電車とバスの千頭方面への最終便の時刻を確認してのんびりと走って行くと、「道の駅千頭」に着く頃には暗くなってしまう。広い駐車場に数台の車しか見えず、「当りだ」と静かな夜を過ごせるのを喜びながら晩飯の支度をする。

 川根大橋を渡って左へ折れ、小長井河内川を越えて尾根末端を廻ると、登山道の入口と思われる所に「智者の丘公園」の道標が立っている。「智者山」が無いのを不審に思うが、地形図の位置と一致しているので「登山道だろう」と考えて、樫などが茂る広葉樹の林へ踏み込む。
日の出前の光が足りないひっそりとした広いが手入れの悪い荒れ気味の道を、静かに登って行く。一呼吸毎に瞼に閃光が走り(初めての経験だ)、「体に異変を来したのだろうか」と不安に思いながら調子悪く歩いて行くと芝生に桜を植えた公園が現われ、「ここが、智者の丘公園だろう」と思って地形図を見ると、430mコンターの中央に建物の記号が記されている。
 公園の左端の道を行くと森の中の登山道に入る。杉林と代わった道を適当に休憩しながら登り続け、標高800m付近からは尾根の背を歩いてP892を越え、何本もの廃林道を横断して登って行くと三角点が現れて「オッ!」と立ち止まる。
 左手の林道に出て陽射しの中で中食を摂り、「山頂は近いぞ」と元気を出して行くと、直上する方向を指している腐った鉄板の道標が目に留まる(1,260m)。水平に付けられた左の踏跡の方がずっとはっきりしているので踏み込むと、全く高度を上げないで尾根の小鞍部に出てしまう。
 「山頂は南の方だろう」と見当を付けて行くと道標が現れ、一登りして智者山に着く。南面が開けて駿河湾が金色に輝いており、落葉樹に囲まれた明るい山頂で一息入れていると、男性が現れて元気に挨拶を寄越す。ほぼ同じ頃に千頭を出発したらしい。
 天狗石山へは緩やかな尾根歩きで、山頂への最後の登りは直進する道(10分)と右から回り込む道(15分)に分かれている。直進して頂稜に上がって右へ折れると直ぐに山頂で、ベンチで休んでいると智者山頂で出会った人が右のルートから上がって来る。
 彼は、「一番近い、湖上駅に降りる」と言い、自分が「猿見石山を越えて奥泉駅に降りる心算だ」と言うと、「先週、猿見石から天狗石へ登った」と言う。天狗石山まで登って時間と体力ありそうだったら猿見石山へ廻ろうと考えていたので、彼の話を聞いて、「道はちゃんと在りそうだ。よし、猿見石山に行こう」と決断する。
 山頂西北端の展望所から、270度の方向へ踏跡の無い斜面を下る。直ぐに赤布に導かれるようになり、踏跡らしきものも現れる。杉の幹の赤ペンキやピンクや赤のテープを追って「下りは良いなあ」と良いテンポで下ると、尾根が次第に南に偏してくる(標高1,170m)。
 コンパスにヒビが入って油が漏れて無くなってしまい、針の動きが不安定で方向が定まらず役に立たないので高度計の磁石機能に頼って歩いていたのだが、猿見石山は天狗石山から北西に伸びる尾根を歩くので315度(北西)を目指すべきなのに、270度(西)の方向に下っていた訳で、「北西の角度を間違えるなんて、酷い間違いをしたもんだ」と呆れる。尾根や斜面には境界杭の位置を示すものもあって山テープと混同し易く、「踏跡が乱れてはっきりしないのに、目印の意味を見極めないで安易に下ったからだ」と後悔する。
目指す北西尾根に戻るべくザックから小型のコンパスを取出して高度計と2個で方角を確認し、高度を落とさないようにしながら左方へトラバースする。沢状地形を横断して尾根の背に出ると、小山が幾つも見える複雑な地形が前方に現れる。必死に地形図を睨み、「北西尾根のp1,160とp1,180、p1,190、p1,200が続く辺りだろう」と見当を付け、ふかふかの斜面を数十m登り返してからトラバースして1本北寄りの尾根の上に出ると期待した通りに踏跡があり、赤布も見付けて安堵し、ザックを放り出して仰向けになる。
 縦走路に出てヤレヤレと安心するものの、細尾根の岩稜になったり鉄の橋が現れたり急登に見舞われたりして疲労し、天狗石山頂では「このまま下ったら、大分電車を待つことになる」と思う程余裕があったのが、猿見石山頂では「急がないと16:06の電車に乗れず、17:50のバスまで待つ破目になる」と焦るほどだ(道迷いによるロスタイムは精々30分)。
 パンと熱い紅茶を口に放り込み、休む間もなく下降に移って精一杯急ぐ。赤布が良い間隔で続いて道も判り易く、林道まで一息で下ると予想外に早い時間で、「16時の電車に間違いなく乗れる」と日溜りの茅戸にどっかりと腰を下ろして膝の筋肉を労わる。
 電車(3両/ジーゼル機関車)には予想外に乗客(観光客やハイカー)があり、マスクをしていなかったのを見咎めて、「これを着けて下さい」と駅員がマスクを寄越す。電車は千頭までの7㎞余を30分掛けてゆっくりと走り、心地好い振動に身を委ねて外の景色を眺めながら今日の山行の余韻を楽しむ。
千頭駅はイルミネーションで飾られて観光客で賑わっており、駐車場は満車に近い車で溢れている。山々に抱かれて日本で2番目に星空が綺麗な「川根本町」の、周囲には民家の灯りもなく煌めく星々が澄んだ夜空を飾る夜の「奥大井湖上駅」へ、土日に千頭から「星空列車」と銘打って走ると言う。
 疲れに突き動かされて、「3日目の登山口までは距離も短いから、ここに連泊して、明朝、明るくなってから走ろう」と決め、車を1ミリも動かさないで「奥大井音戯の郷」で2泊目の夜を過ごす。夕食は日本酒と摘み、非常用のヤキソバと紅茶、行動食のパンで済まし、18時過ぎにはシュラフに潜り込んで体を横たえる。

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装備・携行品

みんなのコメント

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  • 1357さん、ごぶさたしております

    精力的に登られているご様子、眩しく拝見しました。
    色々片付けば、また山にも行けるのになあと夢想しています

登った山

猿見石山

猿見石山

1,116m

天狗石山

天狗石山

1,366m

よく似たコース

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