Text by 石丸哲也
高尾山のベストシーズンはいつ?と聞かれると、回答に窮してしまうほど。実は高尾山は春夏秋冬いつでもベストシーズンなのである。そこで、季節ごと(月ごと)の見どころや主な観光スポットについて紹介していこう。
※平均気温は気象庁データをもとに算出した参考値
高尾山の山懐に抱かれた薬王院は初詣の人気スポット。ケーブルカーが大晦日から終夜運行され、旧年から新年にかけての2年詣をする人もたくさんいる。山頂では初日を迎える迎光祭がとりおこなわれ、薬王院の僧侶が読経する声が響く。 植生では、シソ科の草本シモバシラの枯れた茎に氷の結晶が形づくる「氷華」が例年中旬ごろまで見ることができる。 下旬には高尾山の20軒あまりのそば店で「高尾山の冬そばキャンペーン」が始まる。
シソ科の草本シモバシラの茎に現れる「氷華」
3日、薬王院節分会が行われる。例年、下旬ごろに裏高尾の高尾梅郷梅林でウメが開花する。「冬そばキャンペーン」は継続中。
上旬の週末に、高尾梅郷梅まつりが行われる。中旬ごろからはヤマネコノメやヤマルリソウが開花。続いて木の芽がふくらみ、ダンコウバイやキブシ、スミレ類なども咲き出し、ウグイスのさえずりも聞こえてきくる。 第2日曜には、薬王院火渡り祭が行われます。「冬そばキャンペーン」は月末まで行われている。
高尾梅郷梅まつりが開催。雪の降る日もあるので、寒さ対策は万全に!
春の花のピークを迎える。アオイスミレ、エイザンスミレ、タカオスミレなどのスミレ類を始めとする野草、サクラなど花木が美しい時期である。 例年、サクラのごろは清滝付近で上旬、山頂付近で中旬となる。サクラが終わるころから新緑が鮮やかになり、上旬~下旬に「高尾山若葉まつり」が開催される。 週末などには伝統芸能上演などのイベントが開催されている。上旬からは高尾山・陣馬山スタンプハイクがスタート。第3日曜には、薬王院春季大祭が行われる。
春の花が咲き、一斉に山は色づく。写真はスミレ
オオルリ、キビタキなど夏鳥が飛来する。中旬ごろまで新緑みずみずしく、ゴールデンウィークはやはり人出が多く混雑する。 花は野草がシャガ、チゴユリなど、樹木がホオノキ、ミズキ、ヤマツツジなどが見頃となる。8日には、薬王院仏舎利塔で花まつりが開催。また、中旬の土曜に野鳥の声を聞く会、下旬の土曜に山野草に親しむ会が開催される。高尾山・陣馬山春のスタンプハイクが上旬から下旬まで行われている。
ミツバツツジ
木々の緑が濃くなり、ホトトギスやツツドリの鳴き声がこだまする。上旬は6号路で野生ランのセッコクが開花。下旬には梅雨に入り曇りや雨の日増えるが、雨に濡れた木々や霧は趣き深い情景を浮かびあがらせている。
野生ランのセッコク
上旬から、ケーブルカー高尾山駅上に標高500mのビアガーデン「高尾山ビアマウント」が開業する。 例年、20日ごろに梅雨明けし、夏休みを迎えると共に家族連れのハイカーが一挙に増える。 花はあまり目立たない季節だが、サワギク、ギンリョウソウ、ヤマホタルブクロ、オカトラノオ、ヤマアジサイなどが咲く。 大型のチョウ、アサギマダラが舞い、山を彩っている。夏休み中は「ケーブルカー・小学生夏休みこども学習」が開催される。
ヤマアジサイ
深緑の森に、キジョラン、タマアジサイ、ヤマホトトギス、オオバギボウシなどが咲く。6号路ではイワタバコやサワギクも咲き目を楽しませてくれる。「高尾山ビアマウント」は引き続き営業中。
ヤマホトトギスの花
ミズヒキなど秋の野草が咲き出す頃。中旬の土曜には「カンタンの声を聞く会」が行われる。 下旬にはシラヤマギク、ノコンギクなどの野菊、アズマヤマアザミなどのアザミ、オクモミジハグマなど秋の花がいろいろ咲き始める。 「高尾山ビアマウント」は月末まで営業している。
シラヤマギク
涼しく、天候が安定する季節に入り、ハイキング適期を迎える。上旬から高尾山・陣馬山秋のスタンプハイクが。10月17日には、薬王院秋季大祭が行われる。
山頂のサクラなどは紅葉が始まり、例年では中~下旬が見ごろになる。下旬の連休が最も人出の多い日に。下旬は高尾駅前のイチョウ並木の黄葉も見頃を迎える。 上旬~下旬には高尾山もみじまつりが開催され、週末などには伝統芸能や音楽演奏、特産品直売などが行われる。また、上旬には秋の山野草に親しむ会が開催される。
紅葉と仏舎利塔
山麓では上旬ごろまで名残の紅葉が見られる。落葉後もガマズミやイイギリの赤い実が美しく彩る。ベニマシコ、イカルなどの冬鳥も飛来。例年、下旬の冷えこむ日はシモバシラの氷華を見ることができる(1月参照)。19日には、薬王院で納札供養柴燈大護摩供養が開催。冬至前後の5日間は、山頂で富士山の山頂付近に日が沈む「ダイヤモンド富士」が見られ、カメラマンでにぎわっている。大晦日はケーブルカーが終夜運行し、夜間から2年詣の参拝客が訪れる。
下旬の冷え込んだ朝は、霜で山は銀色に美しく輝く