奥多摩むかし道で晩秋の里山歩き、 奥多摩駅舎内の「ポートおくたま」で一息

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里山の暮らしや文化をかいま見ながらのんびり散策が楽しめる「奥多摩むかし道」。下山後は電車を待ちながらがっつりご飯、あるいは軽く一杯。奥多摩駅には素敵な下山メシスポットがあるのだ。

写真・文=西野淑子

 

ガイドブック取材の下見を兼ねて、奥多摩むかし道を歩いた。

奥多摩湖の湖畔から奥多摩駅へ、旧青梅街道をたどる、10km弱のルート。

道中には虫歯地蔵や耳神様など、かつての民間信仰をうかがわせる史跡が点在する。高台から青々とした水をたたえた奥多摩湖を見渡したり、樹林越しに多摩川の美しい渓谷を眺めたり、山村の生活が息づく集落の中を歩いたり。

変化に富んだ景観が楽しめるのが魅力だ。

写真の説明

道中は多摩川の清流の眺めがいい

しだくら橋からは、色づき始めた木々とゆったりと流れる川が眺められた。紅葉もいいが芽吹きの時期も素敵だろう。

大半が舗装道路歩きではあるが、木々に覆われ、ところどころで渓谷が見える道は心地よく、季節を替えて何度でも訪れたくなる。

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奥多摩むかし道の散策路

モデルコース:奥多摩むかし道

 

コースタイム:水根バス停(1時間45分)しだくら橋(40分)不動の滝上(30分)槐木集落(30分)奥多摩駅  計3時間25分 

アクセス:JR青梅線奥多摩駅からバス15分、水根バス停下車。

待ち時間なく味わえる、やさしい味わいのドライカレー

昼過ぎに奥多摩駅に到着。遅めのお昼ご飯にしよう。

駅舎で帰りの電車の時間を調べたら、改札手前、右手の階段を登る。駅舎の2階がカフェやショップの複合施設になっているのだ。

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駅舎の2階に食事処がある

入ってすぐのカウンターが食事とクラフトビールのカフェ、奥のカウンターがコーヒーショップ。

食事のメニューはカレーと牛丼。カレーはドライカレーと普通のカレー、チーズカレーもある。

今回は「本格スパイスを使用」のキャッチコピーにひかれて、ドライカレーをオーダーした。

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カウンター席からは電車が見える

店内はガラス張りで広々としている。テーブル席とカウンター席があり、カウンター席からはガラス窓越しに駅のホームが眺められて、なんだかいい感じ。

カウンター席に座り、ノンアルコールビールを飲みながら待つことしばし、ドライカレーが登場。

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やさしい味わいのドライカレー(800円)

「辛くないので、お好みでカイエンペッパーをふりかけて召し上がってください」と、小瓶も供される。まずは何もかけずにご飯とともに一口。

…ああたしかに辛くない。野菜の甘み、肉のうまみがじんわりと口に広がる。まろやかでやさしい味わいだ。

少しカイエンペッパーをふりかけて食べてみると、おお、一気にカレーらしくなった。辛さによって肉のうまみがさらに引き立つような気もする。

ああでも野菜の甘みを感じるペッパーなしも好きだ。「子どもでも食べられるように辛さを加えていない」と聞いたけど、大人だってこの味わいを好む人は多いはずだ。

ちょっとカイエンペッパーをかけたり、かけていないところを味わったりしながら、あっという間に食べ終えた。

ご飯の量も多過ぎず少な過ぎず、いい感じにお腹がいっぱい。幸せ。

食器を返却しながら、お店の方においしかった食事のお礼を伝える。

「この店は電車の待ち時間に利用される方が多いので、カレーや牛丼などすぐに提供できるフードメニューを揃えているんです。でも、カレーも牛丼も丁寧に手作り、味にはこだわりを持っています」

なるほど。メニューが少ないなと思ったけど、すぐに提供できる自信作のみのラインナップなのか。今回はドライカレーにしたけど、他のお客さんが食べていたダブルチーズカレーもいい匂いでおいしそうだった。

この店で味わえるクラフトビールは、奥多摩駅前のクラフトビール専門店「VERTERE」のもの。常時4種類を揃えている。

写真の説明

入り口に掛けられた看板が目印

次回、プライベートで訪れるときはビールを飲み比べてみよう。気心の知れた山仲間と、山の話をしながら。飲み過ぎで電車に乗り遅れないように注意して。

店名:ポートおくたま

食事とクラフトビールを提供するSOBATARO CAFE、本格自家焙煎コーヒーが人気のGotta Coffee、中古アウトドアショップや奥多摩のお土産コーナーからなる複合ショップ。

電話:0428-85-8630

住所:東京都西多摩郡奥多摩町氷川210 JR奥多摩駅2F

アクセス:JR奥多摩駅下車すぐ

サイト: https://www.okutama.ne.jp/

プロフィール

西野 淑子(登山ガイド・フリーライター)

初心者向け登山ガイドブックや山岳雑誌などで取材・執筆を行なうフリーライターで、登山ガイドの資格を持つ。関東近郊を中心に低山歩きからアルパインクライミングまで楽しむオールラウンダー。気の合う仲間と山を歩き、下山後においしいものでお腹と心を満たすことに無上の喜びを感じている。

下山メシのよろこび

登山後、すなわち下山後の楽しみの一つが、山麓にあるグルメ。ご当地の名物料理もあれば、鄙びた駅前に立つ小さな食堂で出す普通の料理まで、その楽しみは幅広い。 登山ガイド・フリーライターの西野淑子が下山後に味わった数々のとっておきのお楽しみを紹介する。

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