氷の花を探して早朝の高尾山散歩、 「京王高尾山温泉/極楽湯」で温泉と名物グルメ満喫

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1年を通じて多くの人で賑わう高尾山。冬の楽しみのひとつが、美しい氷の花。早朝の山散歩を楽しんだら、駅前の温泉、そして高尾名物のうまいもので体を温めて帰りたい。

写真・文=西野淑子

 

「シモバシラ」という草花がある。夏の終わりから秋の初めに白い花を咲かせ、冬は枯れてしまうのだが、枯れた茎に残った水分が冬の寒さで凍って茎を突き破ると、草の根元にまるで花のように白い氷のオブジェが現れる。

高尾山では、山頂周辺の5号路や、もみじ台の北側の巻き道にシモバシラが多く見られ、「氷の花の観賞スポット」となっている。見られる時期は例年12月半ばから2月にかけて。状態のよい氷が見られるのは1月上旬までだという。

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冬に見られるシモバシラのオブジェ(写真=pixta)

氷の花を見に行こう。12月半ば、早朝の高尾山に足を運んだ。

高曇りで、ケーブルカー山頂駅の広場からは北側の山々がよく見えた。赤城山や日光連山もくっきりと眺められて同行者たちから歓声が上がる。歩き始めると、ところどころで名残の紅葉が眺められた。秋から冬に向かう境目の時期だ。

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高尾山ケーブルカー山頂駅からの眺め。大岳山、御前山が眺められた

山頂に立ち、もみじ台の北側の巻き道をゆっくりと、登山道の脇に目を配りながら歩く。しかし見つかる気配がまったくない。花が枯れたシモバシラがあちこちに見られるが、どれもまだ茎や葉が枯れ始めたぐらいの状態。そうだ、今年は秋が暖かくて紅葉が進むのも遅かった。氷の花を見るには早過ぎたのか。

残念だったと思いつつ、3号路をゆっくりと下る。人のほとんどいない高尾山は新鮮で、深い森の中にいる気分を満喫できた。

モデルコース:高尾山

 

コースタイム:ケーブルカー山頂駅(1号路経由:50分)高尾山(5号路経由:30分)高尾山(3号路経由:40分)ケーブルカー山頂駅  計2時間 

アクセス:京王線高尾山口駅から徒歩5分、高尾山ケーブルカーで約5分、山頂駅下車。

温泉で温まり、高尾山名物をあれこれ味わう

ケーブルカーに乗って下り、高尾山口駅に到着して同行者たちと別れた。

朝早くてだいぶ気温が低かったのと、氷の花を見つけようと粘って歩いたので、すっかり体が冷えきってしまった。

…今日は温泉に入って帰ろう。幸いにして高尾山口駅には、駅に隣接して日帰り入浴施設「京王高尾山温泉/極楽湯」がある。トンネルで線路の下をくぐるとすぐに和風の建物が出迎えてくれる。

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京王高尾山温泉/極楽湯

大浴場と露天風呂。露天風呂は座り湯や炭酸泉、岩風呂がある。

炭酸泉でじわりと体を温める。寒くて固まっていた体がほぐれていくようで心地よい。さらに熱めの「あつ湯岩風呂」へ。いい感じに全身が温まった。

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極楽湯の露天風呂

風呂から上がり、お食事処へ。広い店内はお座敷とテーブル席があり、明るい雰囲気。お座敷の奥の席に陣取ると、窓の外には京王線のホームが見えた。電車が見えるのがなんだか嬉しい。

とりあえずビールと、「高尾名物」のキャッチに惹かれて高尾峰尾の冷奴を注文。

温泉に入る前は「今日は寒いからビールは無理」と思っていたのに、体が温まれば飲みたいと思うのが現金で笑える。八王子の老舗豆腐店の豆腐は、すっきりした味わいで豆の風味も感じられる。ビールが進む。

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温泉上がりにはやっぱりビール

高尾名物とろろそばで締めようかと思ってメニューを見ると「まぐろ山掛け丼」が。こちらにも「高尾名物とろろ」のキャッチコピーがあり、思わず注文してしまう。つくづく「名物」の言葉に弱いのだ。

ビールと冷奴でだいぶお腹が落ち着いていたので、ミニサイズを頼んだ。

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まぐろ山掛け丼。高尾名物のとろろがたっぷりかかった一品

さっと醤油をかけ、わさびを混ぜて一口。とろろの風味がふんわりと口に広がる。ぶつ切りのまぐろの食感もいい。するすると食べ進める。

高尾山のとろろそばは、高尾山に登り薬王院に参拝した人たちの疲れを取るために、滋養のあるとろろと消化のよいそばを「とろろそば」として供したのが始まりだという。疲れていてもすんなり食べられて栄養価も高いとろろと、まぐろの組み合わせもよいなぁと思う。

いい感じにお腹がふくれた。お腹いっぱい。ごちそうさま。

今シーズン中にもう一度、氷の花を見にこなくては。下山したらまた温泉で温まって帰ろう。

今度はそばを食べて帰るのもよさそうだ。

店名:京王高尾山温泉/極楽湯

高尾山口駅に隣接する、地下約1000mから湧き出る温泉の日帰入浴施設。大浴場、露天風呂を備え、肌触りのよいアルカリ性単純温泉を満喫できる。お食事処、ほぐし処も併設。

電話:042-663-4126

住所:東京都八王子市高尾町2229-7

アクセス:京王線高尾山口駅となり

サイト: https://www.gokurakuyu.ne.jp/index.html

プロフィール

西野 淑子(登山ガイド・フリーライター)

初心者向け登山ガイドブックや山岳雑誌などで取材・執筆を行なうフリーライターで、登山ガイドの資格を持つ。関東近郊を中心に低山歩きからアルパインクライミングまで楽しむオールラウンダー。気の合う仲間と山を歩き、下山後においしいものでお腹と心を満たすことに無上の喜びを感じている。

下山メシのよろこび

登山後、すなわち下山後の楽しみの一つが、山麓にあるグルメ。ご当地の名物料理もあれば、鄙びた駅前に立つ小さな食堂で出す普通の料理まで、その楽しみは幅広い。 登山ガイド・フリーライターの西野淑子が下山後に味わった数々のとっておきのお楽しみを紹介する。

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