雲海に浮かぶ穂高連峰（3日目）

小屋泊

槍ヶ岳、大喰岳、中岳、南岳、長谷川ピーク、北穂高岳、北穂高岳南峰、涸沢岳（北アルプス・御嶽山）

2024.08.11（日）～2024.08.14（水）

パーティ： 4人 (Yamakaeru さん、ほか3名)

Yamakaeruさん

行程・コース

天候

1日目：晴れ、2日目：晴れのち雨、3日目：雨のち曇り

登山口へのアクセス

マイカー
その他：県有公共駐車場（P3）。新穂高センター（奥飛騨温泉郷観光案内所、綺麗なトイレあり）の正面にあり、笠ヶ岳や槍ヶ岳の起点としてもっとも便利な駐車場。しかし、盛期のみ開設で、16時になると閉鎖されるため、下山が遅れると出庫できなくなるため要注意。1泊1,200円×3日分（HPには1,000円と書かれていたが値上がりした模様）。

この登山記録の行程

1日目：新穂高センター（03：00）・・・穂高平小屋（03：50）・・・チビ谷（05：24）・・・滝谷避難小屋（05：50）・・・藤木レリーフ（06：01）・・・槍平小屋（06：48）・・・千丈沢分岐（08：52）・・・千丈沢乗越（09：44）・・・槍ヶ岳（12：08）・・・槍岳山荘（13：28）
2日目：槍岳山荘（03：59）・・・飛騨乗越（04：08）・・・大喰岳（04：38）・・・中岳（05：22）・・・南岳（06：38）・・・南岳小屋（06：45）・・・大キレット・・・最低鞍部（08：04）・・・長谷川ピーク（08：36）・・・A沢のコル（08：58）・・・北穂高小屋（10：40）（休憩～11：10）・・・北穂高岳（11：27）・・・北穂高岳南峰（11：48）・・・涸沢岳（14：02）・・・穂高岳山荘（14：15）
3日目：穂高岳山荘（05：20）・・・荷継沢・荷継小屋跡（07：27）・・・白出沢口（09：20）・・・滝谷避難小屋（10：03）・・・新穂高センター（10：49）

コース

総距離: 約10.3km

累積標高差: 上り約487m; 下り約2,386m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

あまりの快適さに起こされるまで気が付かず爆睡していた。
スマホで時間を確認すると3時30分だった。
顔を洗いに洗面所へ行くと、外からは前夜と変わらず雨の音がしていた。
「やはり予報通りか」
残念ではあったが、最初から雨が降っている方がむしろ諦めがつく。
計画では4時出発を考えていたが、仲間が集まったところで出発を1時間遅らせるよう提案した。「今日のエスケープルート（白出沢コース）は破線の危険ルート。明るくなるまで待つべきだ」という先輩からの指摘もあり、全員一致で合意した。
入口近くのテーブルで、行動食として貰った山小屋の弁当を広げる。昨晩の夕食も豪華だったが、お弁当も超豪華で、サバの塩焼きやアユの甘露煮など山の上とは思えない贅沢な食材が詰められていた。
贅沢過ぎて出発前に食べてしまうのは勿体ないと思ったが、雨が降っていてはこの先食べる余裕もないだろう。親切なことに山小屋のスタッフが熱いお茶を入れてくれたので、割り箸を割って、早速、もりもりと口に運ぶ。胃の調子もだいぶ復活したようで、とても美味しかった。
明るくなるのを待ってレインウエアを着込み出発をする。
「さらば穂高岳山荘。さらば奥穂岳。そして、ジャンダルムよ！近いうちにまた！」
白出沢コースは、山小屋正面に向かって右側のところから降っていく。個人的にも初めて使うルートとなるが、実際に見て「こんなところ降れるのか？」と驚いてしまった。
急峻な斜面にゴロゴロとした岩が敷き詰められたように広がっている。それは遥か下の方まで続いていて最後は霧に隠れていて見えない。まるで地獄に向かって降るようなルートだと思った。新穂高温泉までの標高差は約1,900mなので、それを一気に降るルートとしては、あながち間違った表現ではないだろう。
「気を引き締めて！」と一歩を踏み出した瞬間、いきなりの浮石でバランスを崩してしまいそうになった。ただでさえ濡れた岩が滑りやすく危険だというのに、浮石にも細心の注意が必要となると、緊張感MAXの状態を維持しながら降っていかなければならず、相当骨が折れると覚悟をした。後に先輩の一人が「単独だったら絶対に選んでいなかった道だった！」と言ったのも頷けた。
その後も浮石を避けながら慎重に進んでいく。そのうち徐々に目が馴れて、冷静な足運びができるようになってきた。
気が付くと延々と続いた斜面も、ようやく終わりに近づいたようで、いくぶん緩やかになってきた。
上からでは霧で隠れて見えなかったが、下の方には樹林帯が見えてきた。樹林帯に入ってしまえば、きっと少しは歩きやすくなるだろう。
いつしか雨が止んでいたので、休憩を兼ねてレインウエアを脱いだ。
濡れた服でじめっとしていたが、レインウエアから解放されて爽快だった。
岩エリアを抜けて樹林帯に突入。
思った通り歩きやすくなったと喜んだが、それもつかの間だった。
森が途切れて視界が広がったところに大きな崖が現れた。崖には長い鎖が垂れ下がっていて、その先には濁流となった沢があった。
雨の中の長い鎖場を降る。
以前、医王山（石川県）で更に危険な垂直下降を雨の中でやったことがあるが、それを彷彿とさせるシチュエーションだった。失敗したらケガでは済まないと、全員に緊張が走った。しかし、この鎖場を皮切りに沢沿いに降っていくことになるが「下の廊下」よろしく危険個所が次から次へと現れた。晴れていれば造作もない場所も濡れているだけで難易度が上がり、思った以上に時間がかかってしまった。
危険個所を終えると、あとはひたすら森を抜けていく。しかし、緊張感が薄れたためか、その森が異常に長く感じた。
とどめは下山後の林道。1日目にも歩いているので分かってはいたが、あまりの長さに途中で座り込んでしまいたくなった。
頭の中で「温泉に浸かっている自分」を思い浮かべひたすら無心で歩く。新穂高の温泉が見えた時には、あまりの嬉しさに小躍りをしてしまった。
かくして、計画変更はあったが、2泊3日の冒険は無事終了することができた。
下山後は、林道歩きで心の支えになっていた、いつもの「ひがくの湯」に立ち寄り露天風呂でサッパリしたのは言うまでもない。ついでに温泉に併設された「登山者食堂」で山屋カレーをたらふく食べて大満足で新穂高をあとにした。
「山屋カレー最高！」「穂高最高！」

1日目の記録：
https://www.yamakei-online.com/cl_record/detail.php?id=303859&preview_flg=1
2日目の記録：
https://www.yamakei-online.com/cl_record/detail.php?id=303860&preview_flg=1
3日目の記録：
https://www.yamakei-online.com/cl_record/detail.php?id=303861&preview_flg=1