行程・コース
天候
DAY1 晴
DAY2 曇
登山口へのアクセス
バス
その他:
2025年GWを利用して尾瀬を歩いた。
東京から新幹線とバスを乗り継ぎ、さらに専用シャトルで4時間以上かけて鳩待峠にたどり着く。ここから尾瀬ヶ原を経て、湿原の奥にある竜宮小屋までの一泊行程とした。春のはじまりを迎えた尾瀬はなお深い雪に包まれていた。
この登山記録の行程
Start(10:44)・・・鳩待峠(10:45)・・・山ノ鼻(11:37)・・・山ノ鼻(12:19)・・・牛首(12:51)・・・牛首分岐(尾瀬ヶ原三又)(13:02)・・・竜宮十字路(13:43)・・・竜宮十字路(07:13)・・・牛首分岐(尾瀬ヶ原三又)(07:56)・・・牛首(08:10)・・・山ノ鼻(08:57)・・・鳩待峠(10:12)・・・鳩待峠(10:12)
高低図
登山記録
フォトギャラリー:76枚
峠から山ノ鼻、尾瀬ヶ原に至るまでの道のりはすべて残雪。木道のほどんどは雪に埋もれ踏み跡頼りに歩く。
初日は快晴。雪面は陽光を反射し、まぶしいほどに輝いていた。燧ヶ岳が鋭く天を指し、振り返れば至仏山が堂々たる姿を見せる。白と青の世界にただ身を置くだけで心は洗われる。静謐のなかに潜む力強さが歩く者の五感を揺さぶる。
湿原を横断してたどり着いた竜宮小屋では、温かい布団と食事が迎えてくれた。到着後は小屋で購入したビールや持参した酒を飲み疲れを癒した。夕刻、まだ日があるうちに水芭蕉を探して湿原を歩いた。雪解けの進んだ場所には白い苞が顔を出し春の訪れを静かに告げていた。
翌朝、天気は一変。霧が尾瀬ヶ原を覆い、雪原は白と灰の世界へと様変わりした。視界は限られ、風景はすべてが輪郭を失ってゆく。音のない世界を歩くその時間は、不思議と心を鎮めるものがあった。
竜宮十字路を再び通過する際、耳を澄ませば水の流れる音がする。見れば、湿原の水が地中に吸い込まれてゆく。その様はまさに「竜宮現象」──尾瀬ヶ原に降り積もった雪解け水が地下に沈む、土地の特異性を象徴する現象だ。霧のなか、その音と動きはどこか幻想的ですらあった。
尾瀬はただの風景ではない。見る者の感受性に応じて、無言で多くを語ってくる。晴れと霧、静けさと厳しさ。すべてを受け入れながら歩き続けたこの二日間はただの行程ではなく、対話であった。