花に会いに春の低山へでかけよう!
なんでも記録してしまおう

 デジタルカメラを利用して、まずは見たものを片っ端から撮ってみよう。

 デジカメであれば、目の前にあるものを瞬時に記録でき、しかもフィルムのカメラと違って枚数を気にせずに撮れる。また、撮影日や時刻もデータとして記録されるうえに、PCに取りこめるなど、帰ってからの整理や保存も楽チンだ。

 最近は携帯電話のカメラ機能も高性能になり、デジカメ同様に活用できる機種も多いので、こちらの利用価値も高い。

花の撮影で真価を発揮

 フィルムカメラより圧倒的に近づいて撮れるのもデジカメの特長。しかも、液晶で確認しながら撮れるのでピンぼけなどの失敗も少ない。

 機種によって最短撮影距離に差があるが、寄れるものなら花粉まで確認できるほど大きく撮れるものもある。

 ルーペで見る以上に花の細部までわかり、しかも、花の上にかがみこむなど無理な姿勢をしなくても再生画像を確認できたり、画像を記録できたりするなど、デジカメならではのメリットは多い。

花にピントが合わないときは

 ピンぼけの原因の多くは、カメラの最短撮影距離を超えて近づいているケースと、フォーカス(ピント合わせ)がうまくいかないケースの、ふたつが考えられる。

 最短撮影距離については、カメラのマニュアルなどで確認して、家で練習しておけば失敗を減らせるだろう。

 一方フォーカスについては、最近のカメラではフォーカスが顔認識などに初期設定され、撮りたい花と違うところへ勝手にフォーカスを合わせられてしまうことも多い。この場合は、「中央固定」などのモードに設定して使うと、失敗を防げる。

 また、カメラのレンズの前にルーペを重ねると、より近寄れる。この裏ワザは携帯電話のカメラ機能にも有効だ。

手ブレによる失敗に注意

 手ブレは、周囲が暗くてシャッタースピードが遅くなってしまうシチュエーションで起こりやすくなる。手ブレ補正の機能を搭載したカメラも多いが、補正にも限度がある。特に樹林内など薄暗いところでは、手ブレしてしまうケースが多い。

 手ブレを防ぐには、1つがシャッタースピードを稼ぐために高感度モードで撮る、もう1つが手ブレしにくいようにカメラを固定することだ。

 固定する方法としては、支える手やひじを地面や柵、木などに押し当てて安定させるなどの工夫がある。

 なお、ストロボで明るくする方法もあるが、マクロではストロボがうまく調光できないこともある。補助光としてヘッドランプを使うのも手だ。

花のアップばかり撮らない

 デジカメのマクロ撮影は面白いが、花の接写ばかりでは、あとで図鑑と照らしあわせるときに判断しにくくなる。葉や茎、全体の姿などの特徴がわかるように、少し引いて、広い範囲や全体がわかる写真や、角度を変えた写真も撮っておこう。

 さらに生育場所の環境がわかる写真も撮っておくとよい。デジカメであれば枚数を気にせず撮れるので、さまざまな距離からの写真を撮っておこう。

 また、写真を撮るだけでなく、撮る前に特徴を観察したり、メモしたりしておくことも花を知るうえで役に立つ。

石丸 哲也(いしまる てつや)

東京に生まれ育つ。オールラウンドな登山を経て、山岳ライター、登山・ツアーの講師など幅広く活動している。著書に『ヤマケイアルペンガイド 関東周辺 週末の山登り ベストコース160』『ヤマケイ新書 東京発 半日ゆるゆる登山』『関東百名山』(すべて山と溪谷社)などがある。