初冬の韓国岳登山を楽しみ、霧島湯之谷山荘で極上のぬる湯に浸かる

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ひとり気ままに山と温泉を楽しむ温泉登山。登山前後に泊まりたい至福の温泉宿を紹介します。第35回は韓国岳と霧島温泉へ。

写真・文=月山もも

鹿児島県と宮崎県の県境にある霧島連山の最高峰、標高1700メートルの韓国岳は、火山らしい景色を日帰りで気軽に楽しめる人気の山です。

冬季は冠雪することもありますが、標高が同じぐらいの本州の山に比べると降る時期は遅く、12月でも雪は積もっていないことが多いです。快晴の空の下、初冬の韓国岳を歩いてきました。

 

大浪池登山口から登り、えびの高原に下山

鹿児島県の霧島温泉にある「丸尾」というバス停から「霧島連山周遊バス」に乗り「大浪池登山口」で下車して登山開始。

樹林帯の道を1時間ほど登ると大浪池に着きました。池の向こうに目指す韓国岳が見えます。

池の周りをぐるっと登山道が囲んでいるのですが、今回は向かって右側の道を、大浪池を眺めつつ歩くことにしました。

池の向こう側に着き、山頂に向かってさらに標高を上げると、間もなく森林限界となり視界が開けます。

山頂が近づいてくると、お隣の新燃岳とその向こうには高千穂峰の姿がはっきりと見えました。新燃岳のいかにも活火山らしい黒々とした姿は、美しいけれど恐ろしさもあり、かつては韓国岳から高千穂峰まで縦走できたなんて想像できないほどです。

山頂ではたくさんの登山客が休憩しており、山頂碑の前では順番待ちの列ができていました。少し休んでから下山開始します。

元来た道ではなく、宮崎県のえびの高原に下りる道を歩きます。下りる途中に、今も噴気をあげていて近寄ることはできない硫黄山を、遠くから眺めることができました。

火山らしい景色を楽しみながらえびの高原に下り、霧島連山周遊バスに乗って霧島温泉に戻ります。

 

湯治用の部屋は自炊室や洗濯機も利用可能

霧島温泉の丸尾バス停から20分ほど歩いた場所にある「霧島湯之谷山荘」に本日は宿泊します。これまで何度も泊まっている、お気に入りの温泉宿です。

1人で宿泊できるのは湯治用の部屋ですが、客室内には冷凍庫付きの大きめの冷蔵庫やテレビ、ポットなど設備も整っており、浴衣やタオル類や歯ブラシなどもしっかりあります。

私は2食付きで宿泊しましたが、湯治棟には共同の自炊室や洗濯機もありますので、食材を買ってきて料理もできますし、洗濯もできるので便利です。

 

雰囲気も湯も抜群の内湯と貸切露天風呂あり

浴室は、夜通し入浴可能な男女別の内湯と、予約制の貸切露天風呂があります。

霧島湯之谷山荘に何度も泊まっているのは、なんといってもこの内湯が、他の宿では見たことがないようなすばらしい浴室だからです。

木造の昔ながらの浴室で、浴槽が3つ並んでいますが、実は3つともお湯の温度が異なります。1番小さな正方形の浴槽は炭酸泉の人肌のぬる湯、奥にある浴槽は42度ほどの熱めの硫黄泉。そして真ん中の浴槽は2つの源泉が混じりあって39度ほどの長湯するのにちょうどいい温度になっているのです。

この3つの浴槽に代わる代わるに浸かっていると、気持ちよくてあっという間に時間が経ってしまい、気がつくと2時間ぐらい過ぎていたり……ということも。

昔ながらの浴室ですが、シャワー付きの洗い場はしっかりあり、脱衣所にはドライヤーも設置してあるので安心です。

予約制の貸切露天風呂は、チェックイン時に希望時刻を伝えて予約します。

スリッパをサンダルに履き替えて外に出て進んでいった先には、青みがかったお湯に満たされた露天風呂が待っています。

露天風呂のお湯は熱めの適温です。内湯だけでも大満足なのですが、やはり露天風呂に入りたい気持ちもあるので、独占状態で露天風呂を楽しめるのはうれしいですね。

 

鹿児島名物鳥刺しをつまみに日本酒を飲む

食事は朝夕共に食事処でいただきます。

お酒は、ビール、酎ハイ、日本酒、焼酎など。鹿児島なので芋焼酎を飲みたいところではあるのですが、実は焼酎があまり得意でないので、日本酒をぬる燗でいただきます。

鹿児島名物の鳥刺しは新鮮でお酒によく合い、豚肉の味噌焼きも甘めの味付けでおいしい。

海老、椎茸、豚肉、きのこなど具材豊富な寄せ鍋もいただいて、お腹いっぱいになりました。

 

朝食も同じ席で。たっぷりの野菜サラダに焼き魚、さつま揚げ。素泊まりで自炊もできる宿ですが、私はやっぱり宿で食事をいただくのが好きです。

朝食後は、チェックアウトの時間ぎりぎりまで大好きな内湯に浸かります。すばらしいぬる湯にめいっぱい浸かったおかげか、昨日の登山の疲れもすっかり癒えたようです。

 

*紹介した食事、サービスの情報は2022年9月取材時の内容です。
 

霧島湯之谷山荘

料金:1泊2食付き/1室1名利用13,350円~ ※プラン、時期によって変動
住所:霧島市牧園町高千穂4970
電話:0995-78-2852
HP:https://www.yunotanisanso.com/

プロフィール

月山もも

山と温泉を愛する女一人旅ブロガー。山麓の温泉宿を一人で巡るうちに「歩いてしか行けない温泉宿」に憧れを抱き、2011年から登山を始める。ゆるハイクから雪山登山まで、テントも一人で担ぐ単独登山女子。 ブログ「山と温泉のきろく」https://www.yamaonsen.com/に、温泉と登山のすばらしさについて綴っている。山と温泉に魅せられる人を増やすことが、人生のよろこび。著書に『ひとり酒、ひとり温泉、ひとり山』(KADOKAWA)。

ひとり温泉登山

山と温泉を愛する月山ももさんによる月1連載。登山前後に入りたい極上の温泉宿をご紹介します。

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