トレッキングポールの正解は「軽さ」だけではない ブラックダイヤモンド/パーシュートFLZ|高橋庄太郎の山MONO語りVol.106

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山岳・アウトドアライター、高橋庄太郎さんが、最新山道具を使ってレポートする連載。さまざまな角度からアウトドアグッズを確認し、その使用感と特徴を余すことなくレポート! 今回のアイテムは、ブラックダイヤモンドの「パーシュートFLZ」です。

文・写真=高橋庄太郎


本来ならば二本足歩行の人間をまるで四本足歩行のように変え、歩行力を大幅にアップさせるのが、トレッキングポールだ。ときには足ではなく二本の“手”のようにも機能し、大地の突起をつかんで安定感を増してくれる。転倒の防止にも大きく寄与し、脚力には自信がある人でも怪我を避けるためにも積極的に利用したい。

まずは特徴を確認

ここで取り上げるブラックダイヤモンド「パーシュートFLZ」は昨年発売された準新作。Z型に3本に折れ、収納時はコンパクトになる折り畳み式だ。

細身で軽量、持ったときの重量バランスがよいのが、大きなポイントである。

シャフトのメイン素材はアルミ合金。

ポールの接合部分の加工精度は高く、つないだときにはほとんど隙間が生まれない。

そのために、伸ばして使用する際も強度が損なわれないのが長所だ。

長く伸ばすとシャフト内に収まっていたボタンが現われ、自動的にロックされる。

現在のトレッキングポールでは一般的な仕様ではあるが、これはやはり便利だ。

以下は全体を伸ばしたときの姿である。

上と下で長さが異なるのがわかるだろうか?

パーシュートFLZは使用する人の体や山の傾斜などに合わせ、長さの調整が可能である。

上の写真の丸いプリントでもわかるように、110~125cmと15cmの幅で調整できる。

この「110~125cm」というのは、2つのサイズ(長さ)展開があるパーシュートFLZのなかで“S/M”のものだ。

“M/L”であればサイズ調整の幅は「125~140cm」となる。僕は身長177cm程度だが、トレッキングポールをあまり長くして使うことがないため、テストにはS/Mサイズで充分であり、M/Lサイズでは持て余していただろう。よほど身長が高い人でなければ、多くの日本人はS/Mでよさそうである。

3本のシャフトをロックした後は、“フリックロックプラス”というレバーを使ったシステムで長さを調整する。

親指を軽くかけるだけでロックが解除されて締め付けが緩み、実に簡単に操作できるのがいい。

このフリックロックプラスは長く使っているうちに緩むこともある。そのために締め付け具合を変える超小型レンチが付属し、これはシャフトを抜くと現われる。

工具を別に用意する必要はないので、非常に便利だ。

細かい部分だが、気が利いているディテールである。

ストラップは、肌に触れる裏面(赤い部分)が汗の吸収性がいいメッシュ製。

黒い表面は強度が高く、伸縮性も抑えられているので、歩行中に体重をかけても伸びず、安定している。

このストラップは上向きに力をかけるとロックが解除されて長さが変えられ、反対に下向きの力が加わると、しっかりとロックされる。

歩行中、体重がかかるストラップには基本的に下向きの力しかかからないため、緩むことはない。

シャフトの先端には、土の中へ過度に刺さらないようと、小さめのバスケットがつけられている。このバスケットは取り外し可能だ。

雪の上で使う際には、トレッキングポールの浮力を高める付属の大型バスケットにチェンジできる。

この大型バスケットの使い心地に関しては、後述する。

また、先端の金属チップも自分で交換可能だ。

付属しているチップの先端は樹脂製。金属のチップよりも地面を傷めにくい素材だ。

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プロフィール

高橋 庄太郎

宮城県仙台市出身。山岳・アウトドアライター。 山、海、川を旅し、山岳・アウトドア専門誌で執筆。特に好きなのは、ソロで行う長距離&長期間の山の縦走、海や川のカヤック・ツーリングなど。こだわりは「できるだけ日帰りではなく、一泊だけでもテントで眠る」。『テント泊登山の基本テクニック』(山と溪谷社)、『トレッキング実践学』(peacs)ほか著書多数。
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高橋庄太郎の山MONO語り

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