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不思議の森_芦生杉の巨木を求めて(小野村割岳~佐々里峠~品谷山~品谷峠~四郎五郎峠~ダンノ峠で周遊)

小野村割岳、品谷山( 東海・北陸・近畿)

パーティ: 1人 (Yamakaeru さん )

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行程・コース

天候

晴れ

登山口へのアクセス

マイカー
その他: 広河原下之町を目指す。ナビであれば「京都広河原スキー場」が目印。滋賀方面からだと広河原下之町はその手前。マップコードであれば「479616451*18」付近。田んぼ脇の空き地に駐車させていただく。

この登山記録の行程

広河原下之町・田んぼ脇空き地(07:26)・・・早稲谷川沿い林道・・・・小野村割岳コース登山口(08:35)・・・小野村割岳・山頂(931.7m)(08:47)・・・雷杉(09:49)・・・巨大芦生杉(10:04)・・・雷杉・・・佐々里峠(11:10)・・・ダンノ峠への分岐(11:39)(昼食~12:29)・・・品谷山・山頂(881m)(12:40)・・・品谷峠・・・廃村八丁・・・四郎五郎峠(14:19)・・・同志社大学自然環境研究室(14:23)・・・ダンノ峠(14:42)・・・広河原下之町・田んぼ脇空き地(15:28)

コース

総距離
約20.1km
累積標高差
上り約1,633m
下り約1,633m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

GWにぽっかりと開いた時間が出来たので、兼ねてから興味津々で計画を練っていた「芦生杉!巨木・変木ツアー」を決行することにした。目的地は京都北山。高島トレイルのゴールである三国岳や天狗岳の近くにある小野村割岳という山を起点に芦生杉を求めてぐるりと周遊する。
小野村割岳へは通常、佐々里峠の登山口(数台分の駐車場あり)からピストンするのが一般的なようだが、出来るだけ自由に歩きたいと佐々里峠手前の広河原下之町付近から周遊するコースを設定した。
地図を頼りに広河原下之町まで車を走らせ、現地で手ごろな田んぼ脇の空き地を見つけ駐車させてもらう。県道から外れ、早稲谷川沿いに林道を登っていく。途中、民家の塀がきに無造作に生えている青い花を見つけて、「まさか」と目が点になった。目を奪うほど美しい青のドレスを纏った特徴的な花はどう見てもミヤマオダマキでは?!。白馬岳などの一部の山岳地帯でしか見ることが出来ない貴重な花。いつの日かお目にかかりたいと願っていた花が、なぜこんな所に???軽くパニックになりながらも半信半疑で取り敢えず写真に収めておく。帰って調べてみたところ、どうやら種が流通していて、自宅でも比較的簡単に栽培が可能なのだとか。未だ本物かどうか分からないが、出会えてうれしい反面、少し夢が壊されたような気分でもある。
民家を過ぎると林道は徐々に荒れ出し、砂利がゴロゴロ、雑草をかき分け進むような場所が増えてきた。
山の斜面に最初の巨木を見つける。普通の山であればこれでも十分「主」と呼べるサイズ。いくつもの幹が重なり合っている。これが芦生杉(あしゅうすぎ)の特徴で、根元付近から枝が何本も分かれて支幹として育ち、一本の巨大な杉を形成する。支幹が例え古くなって枯れても、他の支幹がそれに替わっていくため、長い年月をかけどんどん巨木へと成長を続ける不思議な杉だ。今日は芦生杉の巨木・変木をたくさん見つけると言うミッション。まずは一本目。
林道は蛇行するように山の斜面を登っていく。このまま山頂まで着いてしまうのでは?と思った頃、突然、終端を迎え、やっと登山道らしい道が始まる。沢沿いに、数本、大きな杉を見かけた。沢から尾根沿いに移り、山頂に向かって歩いていく。思っていた以上にちゃんとした登山道で道に迷うことはない。歩くにつれ、巨木と変木があちこちに見られるようになってきた。よく見ると支幹の集合体に、時折、ブナなど他の樹木も混じっている。多分、成長の過程で種類を問わず近くのものを取り込む性質があるのではないだろうか。面白いものでは、杉の上に覆いかぶさるようにブナが生えていて、その根っこが杉の幹を突き抜けて地面に向かって伸びていた変木があった。映画「寄生獣」で、宇宙からの生命体に乗っ取られると身体が化け物のように変化してしまうと言う話があったが、まさしく寄生獣ならぬ「寄生樹」。しかも、周囲を見渡すと1本や2本のレベルではなくあちこちに当たり前のようにそう言った巨木・変木が見られる。それもこの山に入った瞬間ともなれば、自然の不思議を通り越して何だかんだSFチックですらある。
小野村割岳の山頂に着く。遠くまで山々が広がっているのが見える。とても自然豊かな場所であることが分かる。
ここからは稜線歩きは、大きなアップ・ダウンもなく実に楽しいコースとなる。しかも、目的の芦生杉だけではなく、ブナ林も豊富で緑に囲まれながら散歩するように山歩きが楽しめる超お勧めの場所だ。早朝、雨が降っていたせいか、ブナの新緑が一段と増して瑞々しく感じる。
もういくつ巨木・変木を数えただろうか。既に今日のミッションは十分に達成している。そんな中、一際、大きな杉が現れた。雷杉だ。逆光だが、そのスケール感は半端ない。シルエットが天にそびえ立っている。根元には人が通れるぐらいの大きな穴が空いていた。反対に回って見ると、穴の内側の一部が黒く炭になっていた。ひょっとして雷杉とは雷に打たれたことから由来するのだろうか。
雷杉から一旦コースを外れ、支尾根沿いにもう一つの目的地へと向かう。今日最大の巨木「巨大芦生杉」に挨拶するためだ。途中、「これはでかい!」と感嘆をあげたくなるような巨木が何本も出現するが、地図で確認するとまだまだ目的地手前。なんとレベルの高い山か。逆に「巨大芦生杉」とはいったいどれほどの大きさなのかと期待感も膨らむ。
ついに目的地に到着。斜面を少し下ったところに、森の主「巨大芦生杉」が静かに佇んでいた。大きすぎてスケールが呑み込めない程の圧倒的な大きさ。屋久島の縄文杉クラスに匹敵するのではとさえ思う。大人何人だったらあの幹を一周できるだろうか。いや、幹の太さよりも、むしろ上に行くほど大きくアンバランスに何本も広がって生えている杉が凄い。一体どうやったら重力に反してこんなに不思議な樹が出来上がるのだろうか。これの樹だけでも、この山に訪れる価値ありだ。森の主に尊敬と畏敬の念を送り、そっと表面にタッチしてその場を後にする。
雷杉に戻り、再び稜線歩きを再開する。徐々に、コースは降り勾配となり、斜面に沿って降りるようになったら、もう佐々里峠も間近か。峠には車数台程の駐車スペースがあった。
少し休憩して道の反対側に渡る。お昼にはまだ時間が早いので、そのまま次の山、品谷山を目指す。尾根沿いに登って行くが、先程までの植生とはまるで異なり、登り口は鬱蒼とした森になっている。小野村割岳では数え切れないほどあった芦生杉もこちらの山ではあまり見られなくなった。山一つ隔てただけなのに実に不思議だ。
品谷山とダンノ峠の分岐点でちょうどお昼時になったので休憩にあわせて昼食をとる。気が付けば雲が出てきたのか、若干、気温も下がり心持ち肌寒くなってきた。品谷山へは行かずダンノ峠を抜けて鍋谷山方面を目指そうかとも思ったが、品谷山から廃村八丁方面へ降りてダンノ峠からスタート地点へ戻るコースで歩くことにした。
真っすぐに進み品谷山に到着。山頂は思ったよりはパッとしなかった。そのまま尾根沿いに歩き、途中から直角に左へと折れて、廃村八丁方面を目指す。これまでは比較的、登山道も目印もしっかりしていたのに、徐々に荒れ出し道が分かり辛くなってきた。特に沢と合流した付近からは何度も沢を渡ったり戻ったりを繰り返し、道が崩れてないところもありと不安になる場所も多々あった。
廃村八丁まで降ってきたところで、三角形の変わった建物を見つけた。最初、インディアン・テントかと思ったが、そうではなく小さな小屋のよう。人がいて何やら作業をしていた。色々と気になったが、お邪魔になりそうな雰囲気だったので会釈だけして立ち去る。
ここからは、別な沢に沿って品谷山を回り込むように歩く。緩やかな登り。綺麗な沢の流れを楽しんでいたのもつかの間。先ほどの降りよりも道が荒れている。ずり落ちそうな急斜面をよじ登ったり、ぐらつく岩を踏み台に沢を飛び越えたりと気が抜けない場所ばかり。その代り地図に名前は載ってないが、なかなか立派な滝もいくつか見ることが出来た。
あるところで沢が滝へと変わり一瞬道がなくなったと焦ったが、よく見たら手前に獣道のような微かな踏み跡が九十九折状に斜面を登っていた。こんな所を登れるのか?と思いつつも他に術が無いので、恐るおそる登ってみる。上の方にはロープが設置されていたので一応登山道には間違いないようだ。ずり落ちそうな斜面と戦うこと10分。なんとか斜面の上に出る。鬱蒼とした感じの森から解放され、斜面の反対側にはブナ林の優しい緑が広がっていた。
斜面の反対側に降りる。こんな山間に公園かと思うほどに整ったブナ林が広がっていた。こんな所でキャンプできたら最高だろう。と、ブナ林の中に一本の木道を見つけた。その先には別荘のような建物がある。でも、こんな山の中に別荘でもあるまいと興味津々で近づいてみる。果たして、入口の看板に同志社大学自然環境研究室とあった。一体何を研究しているのだろうか。でも、よく考えるとこの近辺には京都大学が所有している研究目的の森もある。そういう意味ではこの近辺はやはり学術的に貴重な森なのかも知れない。
ブナの森を抜けるとダンノ峠。左に折れるとお昼ご飯を食べた品谷山へ繋がる。右に折れると今回はパスしたが、ソトバ山や鍋谷山へと繋がる。今日は真っ直ぐ峠を越えて広河原菅原町の部落へと降りて、車道からスタート地点の広河原下之町へと戻る。
今回、ぐるりと里山を周遊。巨木・変木から始まり、滝巡りにブナの森など変化に富んだとても面白い行程だった。

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装備・携行品

みんなのコメント

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  • 寄生樹・・・寄り添っていたら、いつの間にか主になってた、もしくは、支えてあげてたら、いつの間にか乗っ取られてた。人間世界を表したようですね。

  • おーっ、なんと哲学的なことを。

  • 芦生・百里ケ岳方面は未踏破なので紅葉の頃に歩きたいです。杉の巨木がすごいですね。

  • レオさんの好きそうなブナ林もいっぱいあったので、いつでもご案内しますよ。

  • 屋久島の写真を見てるみたいです、
    近くにこんな所があるの知りませんでした。

  • Kuronekoさん、本当に巨木と変木であふれた不思議な森です。またブナ林も豊富でとてもいいところです。佐々里峠からだとアクセスし易いですよ。

登った山

小野村割岳

小野村割岳

932m

品谷山

品谷山

881m

桑谷山

桑谷山

925m

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