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日本千山 673/1357

音遠別岳( 北海道)

パーティ: 2人 (1357 さん 、ほか1名)

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行程・コース

天候

晴後曇

登山口へのアクセス

マイカー

この登山記録の行程

林道終点(5:15)二俣(5:35)分岐(485m/7:30)鞍部(615m/8:15)デポ(13:45)遠音別岳(12:05~25)デポ(13:45)源頭(485m/15:40)林道(17:20)

コース

総距離
約14.1km
累積標高差
上り約1,199m
下り約1,199m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

 緑栄橋を渡ってしばらく走り、林道終点の小広場にテントを張る(14:00)。目指す尾根に取付くには本流を渡らなければならないので、上手く対岸へ渡れるか如何か偵察に行く。右岸の傾斜は急で、スリップして流れに落ちないよう注意が必要だ。雪面は既に凍結が始まっており、明早朝の行動を思って出来るだけ深いトレールを作りながら進むと、二俣の直ぐ上流で雪面が閉じて左岸へ容易に渡ることが出来る。直射日光で腐った急斜面を登って尾根の上までトレールを付ける。
 明日は中山さんの61歳の誕生日で、ワインを抜いて前祝をやり、好い気分になって横になる。しかし、3~4人用のテントに4人は狭く、窮屈な格好で熟睡出来ない夜を過ごす。

 ブナの大木などが生えた尾根の傾斜は緩く、樹間が広くて帰りの滑降が楽しみにしながら、快晴の天気の下、「ウッシッシッ!」と喜びながら登って行く。最初の目標P375m手前で1本目を立てる頃、三角帽子のような遠音別岳山頂が淡いピンクに染まる。
 這松が露出している部分が意外と多く、「何処を如何登ったら、這松漕ぎを最小に出来るだろうか」と注意深く観察する。尾根がP706mに突当る付近は大谷川右俣源頭の広く明るい雪原となっている。西側斜面をトラバースしてP746m手前の鞍部へ上がり、P746mの西斜面を巻いて標高705mの鞍部へと進む。
 標高750~850mの間には幅500m以上の大雪面が広がるが、その最上部を這松が覆って途切れることが無く、「何処を目指して登ろうか?」とルート採りが悩ましい。雪面の中央やや左を目指して程好い角度で登って台地の端に着く。這松が視界を占めるが、100m程先には狭い雪原が筋状に残っており、頂上雪壁の裾の標高1,000m付近までスキーで登れそうだ。
 雪面が途切れた所で大休止してスキーをデポする(標高1,000m)。這松の上をトラバースして左手の雪原へ出て藪との境界を進み、標高差150mの雪の大斜面を直登すると上部はいっそう傾斜が増す。「スリップすると止まらないかも知れない」と考えて最急傾斜部の雪壁を避けて右手の這松の斜面に入り、緊張を解しながら一息入れる。
稜線沿いはいくらか傾斜が緩いが、右側は急な崖になっており、西風が強いのでバランスを崩さないように注意が要る。見上げる稜線は雪庇が出て迫力があり、最奥の三角点を目指して傾斜の落ちた頂稜を行くと、シュカブラと雪の下には這松が隠れていて時々踏み抜き、ガクッと膝を折る。
 7時間のアルバイトの後に到達した山頂に腰を下ろし、満ち足りた時を過ごす。雲海の上に海別岳が聳え、右方には斜里岳も姿を現している。雲海の下には黒い樹林が覗き、一幅の絵を見るような眺めだ。山頂へのもう1つのルートである太い北西尾根が傾斜を持って下っており、羅臼峠から知西別岳を経るルートは長く鋭く、相当に手強そうだ。その奥には羅臼岳から硫黄岳へ純白の尾根が続いている。
 オホーツク海は雲海の下で見えないが、根室海峡は昨日来の西風によって吹き寄せられた流氷でびっしりと埋まり、黒く見える開水面はほとんど見当たらない。流氷と空を限る雲の峰が国後島の地形を想像させ、左端には雪山が頂を覗かせている。
スキーデポに戻り、シールを外して滑降する。台地の上は凍結が緩まず固い雪によく滑り、「もっと雪が多くて、這松が隠れていれば楽しく滑れるのに」と無いものねだりをする。板を脱いで這松帯を横断し、大斜面の上に出てスキーを着ける。陽射しでクラストが融けて好いコンディションになっており、大胆にターンして潅木の疎林へ滑り込み、P746mの北西鞍部へ降りる。
往路沿いに滑ってP706mとの鞍部を目指すと、気持ち好い樹間の滑降に気を奪われて方向確認を怠り、鞍部を通り過ぎて東斜面へ入り込んでしまう。引き返して登路の尾根分岐点を目指すと、オホーツク海からの滝雲が次第に広がって目標としたP546mが霞み、幾つも在る小ピークと紛らわしい。今度は下り過ぎてしまい、P706mから西方へ派生している猫の尻尾みたいな小さな尾根を30mほど登り返す破目になる。橘井さんがGPSで確認して間違いを指摘したので大きなミスにならないで済んだ次第だ。
 シールを外してP706mの西斜面を滑って往路に通った尾根の分岐に達し、「この先は迷う所は無い」と緊張を解く。様子の判った登路の尾根を下る方が確実なのだが、時間が遅いし下り一方の沢の方が楽に思え、迷った末に大谷川右俣へ滑り込む。時間が遅くなったので表面がクラストし始めており快適とは言えないが、緩い勾配をゆっくり滑って行くと、疲れてはいるが体の負担にはならない。数箇所で雪面が割れて流れが顔を出している沢身を滑降して二俣出合まで下る。
しかし、最後の最後に流れに入らざるを得なくなり、靴のまま岩床の上を歩いて靴下まで濡らしてしまう。左岸の雪面に上がってシールを着け、右岸へ渡って往路のトレールに戻り、凍結した雪面を歩いて車に戻る。
 標津町で温泉に入り、中山さんの旧友宅の離れに泊めてもらう幸運に恵まれ、ぐったりと眠る。

 

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装備・携行品

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登った山

遠音別岳

遠音別岳

1,330m

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