• このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 参考になった

日本千山 715/1357

トヨニ岳( 北海道)

パーティ: 1人 (1357 さん )

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 参考になった

行程・コース

天候

曇り

登山口へのアクセス

マイカー

この登山記録の行程

翠明橋公園/泊(22:00/4:50)~下二俣(5:05)三俣(800m/8:20)二俣(970m/9:00)北峰(10:40)トヨニ岳(11:30)二俣(14:20)下二俣(15:30)

コース

総距離
約15.7km
累積標高差
上り約1,264m
下り約1,263m

高低図

GPX ダウンロード KML ダウンロード

登山記録

行動記録・感想・メモ

初回 2008.8.12 北勝橋から左俣二俣へ降り左俣を遡行するも、最後の滝(10m余)で滑落し、退却する。

 左股で滑落して負傷した体力の回復もいま少しで、精神的な自信も取り戻せないが、「今回を逃すと、来年までチャンスが無くなる」と、トヨニ岳の沢登りに再挑戦する。距離と時間が短い左俣を遡行したいのだが、前回墜落した滝で前進に窮する可能性が大で、「ワンランク上の右俣を遡行する方が登頂の可能性が大きい」と判断する。ガイドブックや記録を見ると、一周して帰るためには12~14時間の行動を覚悟しなければならないようだ。
 橋を渡りゲートの横から林道に入る。草が生え、車の形跡はほとんど無い。15分ほど行くと背の高いイタドリが生い茂って川原へ追い遣られる。
 川幅は広く、流れは浅い。大きい魚が泳いでいるのに気付いて「凄い岩魚だ!」と興奮する。よく観察するとスマートでゆっくりした泳ぎは岩魚とは思えないが、鮭にしては小さい。浅瀬に追詰めて捕まえると50cm強あり、鮭でも岩魚でもなく「サクラマスか?」等と想像する。獲って帰りたいが、これから12時間は歩かなければならず、「遡行に専念しよう」とリリースする。
 流れが右カーブして喉のように狭まり「いよいよ函だ」と気持ちを引締めて近付くと、右岸の笹平に踏跡が通じている。この上流から川原は無くなり、岩床となった谷の両岸をへずったり流れの中を歩いたりして遡行する。記録にある通り、この上流から次々と滝が現れる。幾つかを直登し、2つを右から巻く。巻道の取付点はあまりはっきりしないが、ルートを探して観察すると自ずと判明して前進に窮することは無い。
 左へ折れて行くと、釜の在る小さい滝の先で垂直の5m滝が行手を阻む。両岸とも急で高巻くことが出来ないので20mほど引返し、「どちらを行くんだろう」と観察する。左岸に取付いて高巻き、枝沢を横断し、少し登って小尾根を越えて滝上へ出る。たくさんの滝に出合うが、山頂まで7~9時間を要するので写真を撮る時間を惜しんで先を急ぐ。
 800m三俣に着く。右はルンゼに近いV字谷、中俣は50mほどの滝で出合い、落口直下の数mが垂直に見える。左俣は貧弱だ。地図を見ると山頂へ突上げているのは中俣と思われる。右俣と中俣の間はスリップすると川原まで墜落してしまう急な岩壁だが、草や潅木を頼りに慎重に40mほど登って樹林の中に入り、ホッとしながらトラバースして中股大滝の落口の上へ出る。
 上部は徐々に傾斜が増すが困難な滝は無く、やがて雲の中に入る。1,360mで水が涸れ、布靴に履き替えて源頭の沢形を忠実に詰め、小さい二俣をより山頂近くまで続いていると思われる左へ入ると、間も無く沢形が消滅して薮漕ぎが始まる。行詰まって引き返し、手前の右から高巻く
 残る標高差は100m程となって山頂を手中にしたも同然だ。「辛抱して薮を漕げば念願のトヨニ岳に登れる」と気力を奮い立たせ、「獣道か或いは踏跡か」と思われる程のものが微かに認められる急な斜面の薮の薄い所を狙って登る。雲が濃密になり、水滴を含む薮を漕いで右から上がってくる明瞭な尾根の上に出る。薄いが間違いなく踏跡が在り、5分で山頂に着く。
 「12時前に北峰に着ければ御の字だ」と思っていたが、1時間以上も短縮出来たのは岩登りの経験が生きたと言えよう(前回の左俣では、役に立たなかったが!)。小さな山頂にはテント1張り分のスペースの他には何も無い。「懐中電灯を使わなくても済みそうだ」と気が軽くなり、食事を取って一息入れる。
 尾根の上の踏跡を南峰へ向かう。視界は10m以下で、『蝙蝠の姿に似た独特の山容』を目にすることが出来ないのが残念だ。一本道なので迷う心配は無いが、潅木と這松の間に付けられた踏跡は歩き難く足が捗らない。赤布や退色した布切れが無ければ見過ごすような小突起の南峰に着いて、這松の陰で休憩する。
 踏跡を真東へ下ってテント場となる小鞍部に出ると、盛大な笹薮の中に一筋の踏跡が南へ向かっている。急降下して笹薮から抜け出し、草原を下って源頭へ出る。赤褐色の荒れた沢を前回墜落した滝の上まで下ると、流れが連続するようになる。一本立てて沢靴に履き替え、エイト環を腰に着ける。
 落口から1m程下の左岸側に打ってあるハーケンには真新しいシュリンゲが付いている。アプザイレンしながら観察すると、右岸のクラックを落口下3mまで登って左岸へ移れば、ホールドが豊富なので滝上へ抜けられそうだ。「水が涸れて乾いていればトラバースは可能だろうが、本命は右岸のシャワークライムだ」と、下から見た前回と同じ結論に達する。
 チョックストン滝の残置シュリンゲも新しくなっており、この2ヶ月間に下降したパーティーがいる事を物語っている。アプザイレンを4回やり、岩床をしばらく下って平凡な沢を行く。3度目となる490m二俣までは意外と長く、明るいうちに帰着出来るのが確実となった今、歩調を落とす。
二俣の下流で再びアメマスに出合う。婚姻色はテレビの映像よりもずっと鮮やかに見え、初めて本物にお目に掛かった幸運を喜ぶ。

続きを読む

フォトギャラリー:5枚

装備・携行品

みんなのコメント

ログインして登山記録にコメントや質問を残しましょう

登った山

トヨニ岳

トヨニ岳

1,493m

関連する登山記録

登山計画を立てる