行程・コース
天候
初日:快晴、2日目:晴れ、3日目:曇り後晴れ
利用した登山口
登山口へのアクセス
タクシー
その他:
往路:茅野駅→タクシーで渋の湯手前(平日はバスの運行なし。林道工事のため渋ノ湯手前、約1kmで通行止め。)
復路:美濃戸口→茅野駅(午前・午後共、1便のみ)
この登山記録の行程
【1日目】
渋ノ湯手前(09:45)・・・渋ノ湯(10:05)[休憩 60分]・・・八方台分岐(12:04)[休憩 11分]・・・唐沢鉱泉分岐(12:43)[休憩 5分]・・・黒百合平(13:55)
【2日目】
黒百合平(07:20)・・・中山峠(07:29)・・・東天狗(09:08)[休憩 2分]・・・根石岳(10:00)・・・箕冠山(10:29)[休憩 10分]・・・夏沢峠(11:32)[休憩 18分]・・・硫黄岳(13:20)[休憩 8分]・・・赤岩ノ頭(13:52)[休憩 8分]・・・赤岳鉱泉(15:14)
【3日目】
赤岳鉱泉(06:45)・・・堰堤広場(07:16)・・・美濃戸(07:43)[休憩 5分]・・・美濃戸口(08:25)
高低図
標準タイム比較グラフ
登山記録
行動記録・感想・メモ
コミック「山と食欲と私」8巻に「厳冬期八ヶ岳編」という回がある。
今回の山行は、その経路及び時期を忠実にたどって見ることにした。いわゆる聖地巡礼である。
ただし、物語では主人公の鮎美ちゃん他、友人夫婦との3人グループであったのに対し、単独行であり、同物語で主人公グループと途中で行動を共にした、単独行の男性である「有波嘉さん」になったつもりで、御用納め前の年末最後の火曜日に茅野駅に降り立った。
茅野駅発の渋ノ湯行きのバスは休日のみであり、年末年始は29日から翌年3日までの運行であるため、タクシーを使った。タクシー乗り場の手前の階段でしばらく時間をつぶし、登山者が降りてきて渋ノ湯へ行く様なら同乗して運賃を安く上げようと期待したが、10分待ってもタクシー乗り場へ降りてくる登山者はなかった。そもそも、あずさを降りた時から登山者は少なく、おそらくは平日でもやっている北横へのバス乗り場へ向かったのだろう。
タクシーは3台程待っていたため、すぐに乗車し、渋ノ湯へ向かった。
事前の情報では渋ノ湯手前で林道工事を行っているため、一般車両は辰野館の駐車場を使えとのことであったが、タクシーなら渋ノ湯まで行けるかと期待していたが、タクシーも手前で停められ、渋ノ湯までの登りの林道を1km程歩いた。渋ノ湯駐車場のトイレ前で装備等の準備をしたが、誰も来ない。1人下山してきた人がいたのみであった。川を渡る橋の手前の奧蓼科登山補導所の登山届け入れに登山届けを投函し、上空に八ヶ岳の碧い空が広がる森へ入山した。
黒百合ヒュッテまでの道は、今年の3月に来た時よりも遙かに雪が少なく、足場材で汲まれた桟道が露出している箇所が多かった。当然、埋もれている様に見える箇所でも桟道を外すと史抜きは必至であり、雑に歩くと骨折もあり得るだろう。黒百合ヒュッテに到着するまでに出会ったのは下山者が4名のみであった。
黒百合ヒュッテに到着して手続を終えると既に14時を過ぎていたため、楽しみにしていたビーフシチューが食べられなかった。汗をかかないスローペースで登ってきたので仕方ない。持参したサーモスのお湯でコーヒーを煎れて、行動食のようかんを食べて空腹を沈めて過ごす。
この日の宿泊客は自分を入れて2名とテント泊の人が1名と、貸し切り状態であった。
翌28日も快晴。今回は早出はせず、「山と食欲と私」と同じく朝食後に出発した。中山峠へのトレースはしっかり着いており、雪も少ないので歩きやすかった。中山峠から霧氷の着いた灌木越しに東西の天狗岳が見え始めた頃から風が強まってきた。前回は巻いた天狗の鼻だったが、今回は登ってみる。天狗の鼻の上部は風雪に吹きさらされて岩と氷のミックスになっており、高度感もあって非常にスリリングだ。下りも慎重にアイゼンの前爪を使って下降し、東天狗岳に登頂した。この頃になると既に爆風状態で、今朝のてんくらの予報では3000mで20~25mとあって、かなりキツい。昼過ぎに硫黄岳を登頂する頃には予報の範囲でマックスになっているだろう。(黒百合ヒュッテは楽天モバイルの4Gドコモ回線は全く支障なくつながった。)
東天狗から根石岳方面への下り始めのハシゴは吹き付けた雪に埋もれていたので、踏み抜かない様に注意して下った。白砂新道分岐までの斜面も風裏になっている場所なので雪が飛ばされずに積もっており、八ヶ岳らしいさらさらのパウダースノーなので、下にある浮き石などが分かりづらくて歩きにくかった。ここで桜平から登ってきたという登山者に会った。
根石岳への斜面の風が当たる面は雪が締まっていてアイゼンがよく効いた。根石岳登頂時も爆風で、そろそろ行動食を摂りたかったが、吹き曝しで凍傷になる可能性もあるので飴ぐらいしか食べられない。
根石岳から下った根石岳山荘のある鞍部は、吹き飛ばされた雪が舞って吹雪の様であった。その雪が簑冠山への裾野に堆積して股下くらいまでの深さがあったので、軽くラッセルして簑冠山の森に入ると、雪は足首くらいで歩きやすくなった。
風に遮られた簑冠山の分岐で、ようやくザックを下ろして休憩ができた。持ってきた200Kcal程あるプロテインバー系の行動食は-5℃の気温の中でも多少は固かったがボリボリと食べられたが、パサついて食感が非常に悪い。
簑冠山から夏沢峠までの樹林帯は風が弱くて歩きやすかったが、ダラダラと単調で、これまでの緊張感の糸が切れて逆に辛く感じる。
夏沢峠に到着すると、本沢温泉から硫黄岳に登ってきたという登山者2名が休憩していた。このまま本沢温泉へ戻るといって下山した。
ここから硫黄岳へのコースは、樹林帯を抜け森林限界を超えると風を避ける場所はないので、プロテインバーを2本食べてから出発する。
森林限界を超えた硫黄岳の北斜面は岩が露出し、間に雪が凍ってこびりついているいやらしい状態だった。アイゼンの爪が岩にこすれる耳障りな音が爆風の中でもやけに聞こえ、時々向きを変える風にバランスを崩して転倒しない様に慎重に登る。(このため、2週間前に研ぎ上げたアイゼンの歯が、チクリとしない位、丸くなった。)
10月に本沢温泉からこの斜面を登った時は、リスみたいに行動食の柿ピーをモグモグし続けながらだったので、低血糖になることなく駆け足を交えながら上がれるくらいに元気だったが、今回は想定以上に体力を使ったのと、行動食の間隔が空いたためか、低血糖でクラクラしてきた。後ろから上がってきた登山者にグイグイ抜き去られた。
唯一風が避けられたケルンの影でブドウ糖の錠剤を囓って糖分補給をし、硫黄岳に登頂。視界内には誰もいない。風が強いので北アルプスを始めとする周囲の山々がよく見えたが、長時間滞在できる環境ではないので南側の斜面から赤岩ノ頭に下降した。2月に来た時は、風裏になる南側斜面の雪が深かったため、北側斜面を使っている。
赤岩ノ頭の分岐まで降りるとこれまでの爆風が嘘の様にピタッと止んだ。赤岩ノ頭の分岐から森の中へ入り赤岳鉱泉を目指す。途中、2名の登山者が登ってきたが既に14時過ぎ。テント泊の登山者が夕焼けの写真でも撮りに行くのであろうか?
赤岳鉱泉は、昨日の黒百合と違ってかなりの混雑だった。登山系Youtuberの藤本氏が小屋前でたばこを吸っており、本人を見ると慎重180cmを越える長身のイケオジだった。
その後、受付を済ませ大部屋へ。棚の布団はほとんど埋まっており、2月に来た時は夜中寒くて何度も目覚めたが、人が多いためそこまでは寒くなかった。(有波下嘉さんは大部屋だが、鮎美ちゃんのパーティーは個室の「いわうめ」)
また、これまで何回か赤岳鉱泉に泊まり夕食を食べてきたが、今回初めてステーキ以外の夕食であった。メニューはホッケの干物を焼いたものと醤油ベースの鶏鍋だった。
翌朝、朝食前に出発準備を済ませ、食後15分くらいで出発した。早出したのは10月に赤岳鉱泉から美濃戸口に下った際、八ヶ岳山荘で風呂と下山飯の山賊焼き定食を食べたかったが、到着したのが11時20分発のバスが出る直前であったため、さすがに午後まで待つのは辛かったので下山飯が食べられなかったからだ。
今回は、スタート早々から駆け足を交え、美濃戸でも食欲に負けずにノンストップ、途中のショートカットコースを駆使して、バスの時間に大きく余裕を持って美濃戸口に到着できた。
八ヶ岳山荘では風呂掃除の直前だったが、「汚いけどどうぞ」と風呂を開けてもらい、3日ぶりの風呂を堪能し、第1の目的は達成。第2の目的であった山賊焼きも堪能できた。
今回の山行は爆風下で行動食や水分が上手に取れず、低血糖を熾すことはあったが、ほぼ計画通りに達成できた。
それにしても不思議なのは、黒百合ヒュッテも赤岳鉱泉も、漫画の本は一杯あるのに、それぞれの山小屋が描かれている「山と食欲と私」が置いてなかった事。何でだろう?
フォトギャラリー:36枚
装備・携行品
| シャツ | アンダーウェア | ダウン・化繊綿ウェア | ロングパンツ | 靴下 | 登山靴 |
| バックパック | スタッフバック | スパッツ・ゲイター | 水筒・テルモス | ヘッドランプ | タオル |
| 帽子 | グローブ | サングラス | 着替え | 地図 | コンパス |
| ノート・筆記用具 | 腕時計 | カメラ | 登山計画書(控え) | ナイフ | 修理用具 |
| ツエルト | ホイッスル | 医療品 | ロールペーパー | 非常食 | 行動食 |
| テーピングテープ | 軽アイゼン | トレッキングポール | GPS機器 | シュラフカバー | ストーブ |
| 燃料 | ライター | カップ | クッカー | カトラリー | アウターウェア |
| オーバーパンツ | バラクラバ | オーバーグローブ | 雪山用登山靴 | アイゼン | ピッケル |
| ゴーグル | ヘルメット | ||||
| 【その他】
装備重量:約12kg(お茶0.75L) 食料:1日昼食@行動食、夕食@黒百合ヒュッテで小屋飯 2日朝食@黒百合ヒュッテで小屋飯、昼食@行動食、夕食@赤岳鉱泉で小屋飯 3日朝食@赤岳鉱泉で小屋飯、昼食@八ヶ岳山荘で山賊焼き定食 非常食:行動食残り 水:暖かいお茶0.75L(行動時)、小屋到着後は経口補水液を摂る、 (使用量/保有量@初日:0.3L/0.75L、2日目:0.5L/0.75L) ガス使用量:0g(調理回数0回) 気温:日中:-4~-5℃程度、夜:-12℃ その他:ウォームアップシーツ 日出/日没:06:45/16:51 エスケープ:行動可能な場合、その時点で最も近い渋ノ湯または美濃戸口へ下山する。 |
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