行程・コース
天候
晴れ
登山口へのアクセス
マイカー
その他:
県立赤城公園おのこ駐車場(こちらは大きくトイレあり)、もしくはその50m程手前にある駒ヶ岳登山口駐車場を利用。それぞれ無料。今回は駒ヶ岳登山口駐車場を利用。冬季でも綺麗に除雪されていた。、
カーナビには「赤城公園ビジターセンター」をセット。駐車場はセンター手前のT字路を大沼の方へ折れて数100m程である。緯度経度情報は(36.548165 139.186333)。
この登山記録の行程
駒ヶ岳登山口駐車場(07:49)・・・駒ヶ岳大洞登山口(07:51)・・・駒ヶ岳(08:38)・・・大タルミ(08:49)・・・絶景スポット・日本一の関東平野(09:19)・・・黒檜山大神(09:23)・・・黒檜山絶景スポット(09:30)・・・黒檜山(09:45)(休憩~10:01)・・・猫岩・・・黒檜山登山口(10:34)・・・赤城神社(10:42)・・・駒ヶ岳登山口駐車場(11:57)・・・覚満淵(11:59)・・・赤城公園ビジターセンター・・・小沼(12:00)・・・小滝氷瀑(12:33)(休憩~12:38)・・・駒ヶ岳登山口駐車場(13:59)
高低図
登山記録
行動記録・感想・メモ
寒波と快晴の2枚カードが揃えば、週末登山はもう樹氷とおのずと決まってくる。であればと、冬ミッションリストのトップにあった「氷に包まれた赤城山」計画を発動することにした。
前日の土曜日に移動。
赤城山の登山口(大沼)付近は、とんでもなく冷え込むので、麓の道の駅で車中泊をした方が安全かとも思ったが、明け方に凍り付いたくねくね道を登っていくのは更に危険と判断して、駒ヶ岳登山口駐車場に泊まることにした。
夜の7時に駐車場へ到着したが、こんな場所で一夜を明かそうとするもの好きはさすがにおらず、車は一台もなかった。
到着した時点で、気温は0度を下回っていて、エンジンを切った途端に車中が冷蔵庫化した。早々に寝てしまおうと準備をしていた矢先、ポロっと右目のコンタクトが取れてしまった。頬についているのかと思い、そっと手で触るがない。襟元か服についているのか?と、慎重に確認するが、結局、着ていた服を全部脱いでも見当たらない。誤って踏みつけては最悪と、ここまで冷静さを装っていたが、視力を失った恐怖でどんどんパニックに陥っていく。
「跳ねてどこかへ飛んだのか?」
密封空間の狭い車内。必ずどこかにはあるはずと一生懸命探すが、ところ狭しと登山道具が置かれているため、正直、見つかる気がしなかった。
結局、1時間以上探しても見つからなかったので、諦めてとりあえず眠ることにした。日の出前に登山開始と計画していたが、コントタクト無しでは登山どころではない。「最悪は、このまま帰宅するしかない」と絶望の想いだった。
大寒波の影響もあって、赤城山の冷え込みは予想以上に半端なく、テントブーツを履いていてもなお、足の指先が痛くて目が覚めてしまうほどだった。
朝6時に起床。
予定では既に出発している時間であるが、とりあえず日の出を待つために、ゆっくりと朝食をとる。ヤマザキのサンドイッチパン(ランチパック)を買ってきたが、一口かじると「シャリッ」という音がしてびっくりした。具が完全に凍っている。喉が詰まったのでお茶で流し込もうとペットボトルを手にしたら、こちらも完全に氷化してパンパンに膨らんでいた。ここまで凍り付いたのも久しぶりだ。「シャリッ、シャリッ」音を立てながら、味のしないパンを食べる。正確に言うと食べた瞬間は味を感じないが、喉の奥で溶けてあとからじんわりと味がやって来た。もはやサンドイッチではなく不思議な食べ物になっていた。
食事を終えて、もう一度、寝袋に潜り込む。
まどろみながら、道具入れの鞄下にコンタクトを見つける夢を見た。
「はっ」と飛び起きると時計は7時手前。知らない間に眠り込んでしまっていたようだった。周囲はとっくに明るくなっていた。
起き上がり「もう踏みつけて割れているかもしれないな」と思いながら、まずは寝袋の周辺からコンタクトを探す。荷物を移動させながら少しずつ捜索範囲を広げていき、そしてついに最後に残った山道具が入った鞄をそーっと持ち上げてみた。本当は真っ先に鞄を確認したかったが、無かった時のショックが大きいと最後に残していた。でも、逆に最後の砦が崩れると、もはや立ち直れないと心臓はバクバクだった。。。
すると。な、なんと。夢で見た光景と同じく、鞄の下に光るコンタクトが転がっていた。
「あったー!!」
闇なる絶望から喜々の世界へ。この時の感情の起伏は当分忘れないだろう。
もう諦めて帰るつもりでいたが、両目にコンタクトを装着して完全復活すると、気分ももりもり盛り上がってきた。
予定よりも2時間以上遅れていたが、折角なので「今日のミッションは全部やり遂げよう!」と急いで着替え準備を整えた。
車の外に出ると、期待通りの快晴。その代わり、強烈な寒さが襲い掛かってきた。
アイゼンやスパッツを装着している僅かな間でさえ、無防備な指先が凍えて上手く動かないどころか痛みを感じるほどだった。
さて、今日のミッションは全部で4つ。
まずは一つ目、赤城山(黒檜山)の樹氷を堪能する。
黒檜山は赤城山の最高峰で、標高1,828m。一般的に赤城山と言うとこの山を指す。大沼を眼下に望む展望はとても素晴らしい。個人的には黒檜山登山口からではなく、駒ケ岳登山口から登り、ゆっくり縦走していくコースが特に気に入っている。
今回も同じコースを辿ることにした。
道路脇にある登山口の看板から山へと踏み込んでいく。しっかりとしたトレースが残っていた。緩やかな部分は入り口だけですぐに斜度が増していく。
一気に斜面を登ってくと、最後に鉄の階段が現れた。先日、ここで滑落事故があったと聞いているが、アイゼンの歯が金属製の階段に滑り歩くたびに嫌な音を立てていた。
登り切ると駒ケ岳の稜線に出た。
同時に視界は一気に開け、山の反対側の隅々までが見渡せるようになる。この開放感がたまらない。
登ってきた方を振り向くと、樹氷を纏い白くなった地蔵岳が見えた。山頂には大きな鉄塔(無線中継所)が建っている。
稜線に目を戻すと、青い空に向かって延びる白いスロープのような登山道。その登山道を囲むように、朝日を受けた樹氷がキラキラと光り輝いている。
そうそう、これが見たかった。
一つ目のミッション「樹氷」は駒ケ岳から黒檜山が特に見どころになっている。
ふと、標識の上に小さな雪だるまがちょこんと鎮座しているのに気が付いた。
雪だるまと言っても日本式の2つ玉でも、アメリカ式の3つ玉でもない。ぎょろりと大きな目玉を持つ達磨大使さんだった。
実はこれがミッション二つ目。
群馬の雪山には必ず出現するという雪だるま。普通の雪達磨ではなく、縁起だるま(高崎だるま)発祥の地である群馬ならではの「雪達磨」を探すべくやってきたが、こうも簡単に見つけることができるとは思っていなかった。偶然ではない証拠に、この後のコースでもいたるところにこの雪達磨を見ることができた。
一目惚れの雪達磨。是非、製造機を購入して、自分も立派な「ぐんまー」になりたいものだ。ちなみに、雪達磨製造機は、なんと高崎で売っている「だるま弁当」の容器そのものを使って作るのだという。近いうちに必ず手に入れよう! 笑
駒ケ岳を過ぎて、大ダルミで黒檜山を見上げる。
大ダルミから黒檜山の頂までがこの縦走路の中でもそこそこの急登で最後の頑張りどころになっている。
登っていくと山頂手前に「絶景ポイントまで60m」という標識があるので、メッセージに騙されたと思って、一度立ち寄ってもらいたい。今日も遠くに、霞みながらも筑波山がしっかり見えた。標識にも書いてあったが、関東平野の大きさがよく分かる。
絶景ポイントから数分も歩くと山頂へ到着する。最初に、小さな黒檜山大神の鳥居が出迎えてくれた。
山頂で立ち止まらず、そのまま奥へと進んで行く。
実は山頂の先にもう一つの絶景ポイントがある。足を延ばさなければ黒檜山へ登った意味がないと言っても過言ではない。
絶景ポイントに立つと、真っ先に目に入ってくるのが、富士山かと見紛うような成端な山容の山、純白を纏った浅間山。堂々として実にカッコいい。
右手に目線を移していくと浅間山に負けじと白い山塊は、谷川岳を中心とした山々。雲一つない頂を見ていると、今すぐにでも飛んでいきたくなってしまった。これはもう「谷川病」に感染してしまったに違いない。2類に分類される強力な感染力で、山屋には防ぐすべがない。危険なので一刻も早く出社を取りやめて、谷川岳へ行くしか治療方法はないと言われている。笑。
更に目線を移していくと、上州武尊山や日光白根も確認ができた。
うっとりするような景色を前に、暫し時を忘れて立ち尽くしていた。
いつまでも眺めていたかったが、後半のミッションも残っているので、ひとまず山頂まで戻って、軽く行動食を口に入れてひとまず黒檜山を下山することにした。持ってきたペットボトルは、まだ凍っていた。
コースは黒檜山登山口へとり山頂からダイレクトに降っていく。
かなりの急登だが、人気のコースでもあって登ってくる人の列が途切れない。本来であれば、自分も好んで急登を登りに選んでいるところであるが、ここに関しては大沼を見下ろして歩く風景が気に入っている。今回は、真っ白に凍った湖面という一味違った冬の風景が楽しめた。その湖面には無数の小さなテントが建っていた。赤城山名物の氷上ワカサギ釣りの風物だ。
黒檜山登山口から圧雪でテカテカになった舗装道路を歩き赤城神社まで移動。
そしていよいよ楽しみにしていた氷上歩き。大沼を歩いて横断してみる。
赤城神社の脇から道を外れ、そーっと氷の上へと第一歩を踏み出す。
数秒待って、氷の強度を確かめ、恐る恐る歩みを進める。
大勢の人がワカサギ釣りを楽しんでいることからも、安全な氷の厚さがあるものと信じているが、頭で理解していても線が入った氷を見ると「亀裂で割れてしまうんじゃないか」とついへっぴり腰になってしまう。
しかし、慣れてしまうとこんなに気持ちが良いものはない。「神渡り」ではないが、通常は歩けない湖面を自由に散策できる解放感はなかなか味わえないと感動した。振り向くと先ほど登った黒檜山が大きく聳えている。最高じゃないか。
そして、ミッション3つ目に挑む。
薄く雪が積もった湖面から、氷がむき出しになった部分を探して歩き、腰をかがめ注意深く観察すると「あった!」。
氷の中に無数の小さな気泡が見えた。
目視でやっと見えるくらいの小さな気泡の群。
これをマクロレンズで撮影すると、夜空に流れ落ちる流星群のような写真が撮れた。アイスバブルの芸術だ。
アイスバブルは、急激な温度低下により、水中の空気が氷に閉じ込められてできる気泡のこと。よほど寒い場所でない限り見られない現象だ。
ついさっきまでは歩くのさえビビっていたのに、氷上に寝転びながら夢中でアイスバブルを観察した。
沢山のアイスバブルを写真に収め、満足な気分で大沼をあとにした。
覚満淵で同じように湖面歩きを楽しんだ後、4つ目のミッションを果たしに小沼へと向かった。
小沼までは舗装道路を歩くコースとなるが、少しでも登山らしく歩きたかったので、赤城公園ビジターセンターから斜面を直登してみた。小さなスキー場になっているので、圧雪の部分は歩きやすかったが、トップの部分はトレースがなくてツボ足状態で歩いたので、舗装道路へたどり着いた時には無駄に大汗をかいてしまった。舗装道路を普通に歩いてきた方が早かったかも知れないが、トレースができたので、これで帰りはラクチンだろう。
小沼は、大沼よりも高所に位置している。舗装道路を登っていくと、地蔵岳と長七郎山に挟まれるように天空の湖が見えてきた。
湖面を歩いて対岸を真っすぐに目指していく。空がとにかく青くて気持ちが良い。
ここでもアイスバブルを探したが、着雪が多くむき出しになった氷の部分が少なくて、あまり良い条件のアイスバブルは見つけることができなかった。
最後となる4つ目のミッションは、小沼の先にある氷瀑を探索。
長七郎山とおとぎの森を抜けて、山を少し降ったところにある「小滝」という滝を目指す。
途中、前から来た小さな男の子に「山頂にヒヨコがいっぱいいるよ」とすれ違いざまに話しかけられた。「えっ?雪山にひよこ?」と突然の関連性のない言葉に驚いていると、後ろにいたお母さんが「頑張って沢山作ったんです」と笑いながら補足してくれたので、ようやく雪だるまのひよこバージョンを作ったのだと理解した。「うん、観てくるよ。」と返事を返したものの、歩き出してすぐに「あっ、長七郎山はコースに入っていなかったっけ」と思い出した。距離的にも足を延ばすことくらい訳はないが、コンタクト事件での2時間遅れがあるため、帰路を考えると残念ながら長七郎山は諦めざるを得ない。小さな男の子よ、嘘をついてしまってごめんなさい。。。
小滝の氷瀑は、崖の下にあった。回り込んでみると小滝の名前に反して、予想以上に大きかった。崖の斜面全体に映画館のスクリーンのように氷瀑が広がっていた。それでも水量が少なくてまだ完全には成長しきっていないようだった。いろいろと氷瀑を見ているが、これもまた面白いタイプだと思った。
これにて4つのミッションをクリアー。
氷瀑を愛でながら遅めの昼食をとって、ゆっくりと来た道を折り返した














































