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厳冬期の女峰山にあと一歩届かず

小丸山、赤薙山、赤薙奥社跡、一里ヶ曽根独標( 関東)

パーティ: 1人 (Yamakaeru さん )

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行程・コース

天候

晴れ、のち雪

登山口へのアクセス

マイカー
その他: 霧降高原キスゲ平園地の駐車場を利用。24時間開放で無料。第1~第3駐車場あり全部で約170台。第3駐車場は少し離れているため第1かその下にある第2が良いが、日の出ポイントでもあるので早朝から観光客が沢山来るため、早めの到着をお勧めする。トイレはレストハウスが使用できるが、早朝は閉鎖されているため注意。

この登山記録の行程

霧降高原キスゲ平園地(06:27)・・・小丸山(07:10)・・・赤薙山(07:55)・・・赤薙奥社跡(08:39)・・・一里ヶ曽根独標(09:55)・・・女峰山手前(12:00)(昼食~12:20)・・・一里ヶ曽根独標・・・赤薙奥社跡(14:31)・・・赤薙山(15:12)・・・小丸山(15:51)・・・霧降高原キスゲ平園地(16:30)

コース

総距離
約11.7km
累積標高差
上り約1,377m
下り約1,378m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

以前、雪遊び程度に霧降高原から赤薙山へ登った際に、女峰山に向かって延びていく美しい尾根と稜線のラインを見て、いつか登ってみたいと願っていた。
そんな折、ポッカリと開いた週末のスケジュール。これはもう行くしかないと荷物を車に詰め込んで、その日のうちに日光入りをした。
折角だったので、下今市にあるTV番組「バナナマンのせっかくグルメ」で紹介された「喜多方ラーメン達磨~だるま~」に立ち寄った。夜の部の開店時間17:30ピッタリに時間を合わせて、お店に入る。注文は、番組で詳細されたものと同じメニューの「塩肉盛りそば」。1,150円と少しお高めだが、洗練された上品な味で色眼鏡なく美味しいと思った。こうなると他のメニューも気になってくる。面白いことに「裏メニュー」と書かれた別メニューもあって、写真入りで紹介されていた夜の部限定の「牛ホルモン焼そば」がめちゃくちゃ美味しそうに載っていた。津gは絶対それを注文してみようと思った。日光に来る楽しみが一つ増えてラッキーだった。
ラーメンでお腹を満たした後は、いつもの道の駅「日光」で車中泊をして、早朝6時に霧降高原へ向かう。到着した時には、既に日の出を見る観光客の車で第一駐車場は満車だった。第二駐車場に車を停めて、6時半に歩き始める。東の空が真っ赤に染まり始めていく中、太陽と競争するかのように斜面を登って行く。右手には、霧降高原名物の「小丸山」まで続く1445段の階段。別名「天空回廊」があり、途中に設置されている展望台では多くの観光客が生まれ出る朝日に歓声をあげていた。それを横目に必死に登って行く。歩き初めてすぐには、小丸山までの急登はまるで壁のようで半端なくシンドイ。
小丸山まで来ると斜度は一旦緩やかになり、ゆっくり尾根伝いに高度を上げていく。歩いていくと、どんどん街並みが遠ざかっていくのが見える。空に向かって登っている感じがたまらなくいい。
暫くすると樹林帯に突入する。ここからはトレースを追いながら樹林帯を縫うように登って行く。よく締まった雪にアイゼンの歯が良く刺さり歩きやすかった。例年より圧倒的に雪が少なく、以前登った時の半分もないのではと思った。
「赤薙山」に到着。見慣れた鳥居とお堂があった。そのお堂の横からは、男体山を望むことができる。独立峰ならではの惚れ惚れする山容で、今日は、雪のドレスアップで一段と美しく見えた。
更に、アップダウンを繰り返しながら、「赤薙奥社跡」まで進む。そこから先は、いよいよ未踏のエリアとなる。赤薙奥社跡で折り返す人が多いのか、トレースが一気に不鮮明となり、踏み抜きも多くなった。
暫くして、前方から一人の若い男性が戻ってきた。
挨拶をするとこの先にある「一里ヶ曽根独標」で完全にトレースが消えていて、「自分のスキルではこの先は進めないと判断し、撤退してきました」と言っていた。
ちょうど1週間前に、登頂した記録がアップされていたので、大丈夫だろうとタカをくくっていたが、その反面、それ以降それに続く記録が無かったので密かに心配していたが、まさに嫌な予感は敵中だった。
それでも、微かなトレースくらいあるだろうと望みを持っていたが、実際に一里ヶ曽根独標へたどり着くと、ふかふかの真っ白な完全な雪原になっていた。
一里ヶ曽根独標から進むべき方向を眺めると、手前に大きなピークが立ちはだかっていた。
一旦、大きく降ってからそのピークへ向かって登り返す。更に稜線が左へと続き、その先にひと際鋭く尖ったピークが見えた。でも、女峰山の頂はその奥にあって、まだ相当の距離があることが分かる。これから先が、女峰山への工程で最もハードなエリアと言っても過言ではない。
「うーん、トレースなしか。。。」
午後に入ると、確か天候も悪化傾向にあったはず。今も雲がどんどんせり出してきて、行く手に覆いかぶさっている。
「行っても雲の中かもしれない」とも思ったが、ここまで来て引き返すのも勿体ないと、アイゼンからワカンに装備を切り替えて最初の一歩を踏み出す。その足が、途端に深く雪の中に沈み込んだ。予想していた以上に新雪が積もっているようで、「これはタフな山歩きになりそうだ」と覚悟した。
雪を蹴散らしながら転げるように降り、今度は登り返しで斜面を登って行く。斜面と向き合うと、雪の高さが腰以上になって、歩きづらいことこの上なかった。
雪と戦いながらアップダウンを繰り返しながら、なんとか鋭く尖ったピークが見える手前のところまでやって来た。
これまでのピークとは比べ物にならないほど鋭く高く聳えている。
「あそこまでは無理かな」と心が折れかけたが、その時、一瞬、霧が晴れて青空が見えた。
深い青の中に突き刺さるように聳える真っ白なピーク。見た瞬間に心が鷲掴みだった。
「どうしても登りたい。」
しかし、ここから先は時間との戦いとなる。崩れる傾向にある天候と、日の入りまでの時間を考慮すると、デットラインは12:00。そう決めたら自然と力が湧いてきた。
「できるところまで行ってみよう。」
ただ、覚悟していたが、鋭く尖ったピークに向かう斜面は半端なく手ごわかった。壁を登っているようで、雪が崩れるたびに身体ごと引き戻されてしまう。枝が行く手を阻み、更にイライラが募る。
唯一、心の支えだったのが、後続でやってきたスノーシューを履いた若い方の存在。追い上げてきたので途中で道を譲ったが、ワカンよりも浮力が高く軽々と斜面を登って行く。スノーシューの性能もあるが、体力がみなぎっているようで素晴らしかった。少し前なら先行を譲るなんて悔しくて仕方が無かったが、誰もない空間の中で雪の壁に向き合っている同志がもう一人いるということがとても心強かった。
気持ちを奮い立たせ、ついにピークに到着。青空がいつも以上に近く感じた。
目の前には女峰山の頂が聳えている。ついに視野に捉えた。
しかし、腕時計を見ると丁度「12:00」。デットラインの時間だった。
正直、苦労してやってきた分、「ここまで来たなら行きたい!」という気持ちも強かったが、おそらくラッセルに係るペースを考慮すると、往復で2時間近くは余裕を見ておく必要があるだろう。日が暮れても歩ける自信はあったが、ここで無理をしても仕方がないので、自分で決めた通り「今日の頂はここだ!」と潔く折り返すことを決意した。
途中でスノーシューの青年が戻ってきた。話を聞くとやはり彼も安全をとって途中で引き返したとのこと。お互い正しい判断だったと思う。女峰山までたどり着くことはできなかったが、彼がいたことにより後悔のない場所までチャレンジすることができた。「元気を有難う」と、心の中で彼に感謝した。
ちなみに、今回のルートで一番緊張したのは、ゴール手前の「1445段の階段」。階段を使おうと、手前の小丸山でワカン装備を解除したが、階段がガチガチに凍っていてバランスを崩すと頭から転げ落ちそうになり、最後の一段まで気が抜けなかった。
「山屋だったら階段使わず斜面を歩け!」と言うことか。

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登った山

赤薙山

赤薙山

2,010m

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