行程・コース
天候
曇り(山頂方面は吹雪)
登山口へのアクセス
マイカー
その他:
カーナビには「観音沼森林公園」をセット。ただし、白河市方面から来る場合は、道の駅「しもごう」を過ぎてすぐの林道は、除雪されないため冬期通行禁止で、会津下郷まで降り回り込む必要があるため注意。観音沼森林公園駐車場は雪で埋もれているが、入口部分の一部区画が除雪されていて駐車(5台程度)できるようになっている。トイレは冬季封鎖。
この登山記録の行程
観音沼森林公園(07:03)・・・登山口(07:39)・・・観音山(08:50)・・・甲子旭岳手前で折り返し・・・観音山(10:41)(昼食~10:52)・・・登山口(12:15)・・・観音沼森林公園(12:39)
高低図
登山記録
行動記録・感想・メモ
花粉も本格化し、すっかり春モードになった巷。
でも、もう暫くは「雪山に浸っていたい」と冬季限定の観音山へ行ってきた。
観音山は標高1,640mの藪山。
日ごろ人を寄せ付けないが、冬になるとその実力を発揮し、頂に登れば裏那須や甲子旭岳等純白の峰々が一望できる素晴らしい山へと変貌する。そもそも「冬季限定」と聞いた段階で行かない訳にはいかない。
カッコいいことを言いながら、土曜日はすっかり花粉症にやられ、くしゃみ鼻水&発熱で寝込んでしまった。週末早々出鼻をくじかれてしまったが、なんとか体調を整えて、日曜日に決行すべく深夜3時に起床して車を走らせた。
東京に雪をもたらした寒波が茨城にも入り込んできたため、福島の県境手前から路面には徐々に積雪が増えていった。雪の重みで大きな枝が垂れ下がり、道路を半分以上封鎖している等、茨城にしてはなかなか珍しい光景が見られた。
7時少し前に懐かしの観音沼森林公園に到着。
除雪された駐車場スペースに車を停めて早速準備を整えるが、これから登る頂の方に目をやると、鉛色の雲が山全体に覆い被さるように迫り出しているのが見えた。
予報では「朝6時から晴れマークだったはずなのに」と心の中で舌打ちをした。絶景が楽しみだったのに、文字通り暗雲が立ち込めている。考えてみれば、前日の寒波が、そう簡単に抜けるはずはなかった。それでも午後には回復傾向であるためチャンスは十分にあるだろうと。晴れ間を期待して登ることにした。
凍った林道を転倒しないように注意しながら進み、除雪の終端でスノーシューを装備して山へと踏み込んでいく。
新たに積もった雪がフカフカで気持ちが良かった。
林の中を進み斜面に取り付く。無心でガシガシと登って行くが、思ったよりも急登で柔らかい雪に足がとられ、踏み込んでもズルズルっと直ぐに滑り落ちてしまった。
「やはりワカンにしておけばよかった?」と車に置いて来たワカンが頭に浮かんだ。
斜面を登り切り尾根へ出ると、後はひたすら真っすぐに高度を上げていく。
程なくしてキラキラと輝く樹氷ゾーンに突入した。
ガスっていて見渡せなかったが、晴れていればきっと360度の樹氷が楽しめたことだろう。
さらに高度を上げていくと、凍りついた部分に着雪が進み、枝の先まで真っ白になった樹々が目立つようになってきた。樹氷とはまた違った趣で、とても素敵だった。
8時50分、観音山の頂に到着。
エビのしっぽに覆われた「観音山」と書かれた標柱が雪の中に埋もれるように建っていた。
冒頭書いたように、晴れていれば裏那須の眺望が楽しめただろうに。ガスガスで何も見えなかった。予想はしていたが、こればっかりは仕方がない。
頂の先に目を凝らしてみたが、トレースがあるのはどうやらここまでのよう。
もともと観音山だけでは物足りなかったので、今日は更に奥へと進み、「甲子旭岳」経由で対面にある尾根を使って周遊する計画を考えていた。トレースが無くても全く気にはならないが、「地形が把握できない状態で進むのは正直辛い」。一瞬悩んだが、登っている間に晴れることもあるだろう。
実は、観音山よりも個人的には甲子旭岳を楽しみにしていた。
以前、裏那須を縦走した際に、鋭く尖った雪の甲子旭岳に見惚れ、それ以来いつか登ってみたいと強く思っていた。しかし、山頂付近が急峻なのでそう簡単に登れる山ではなく、アプローチするとしたらこの観音山からのルートが良いと聞いていた。故にこの機会を逃すのが惜しと思った。
観音山から一旦降り、再び高度を上げていく。
雪山としてのギア(難易度)が一段上がったようで、着雪量が圧倒的に増えてきた。周囲の樹々が、こんもりとちょっとしたスノーモンスターになっていた。
次から次へと現れるスノモンが、襲い掛かるように行く手を阻んで来る。その上、細かい氷の粒混じりの強風が吹きつけてくるようになった。容赦ない風に露出した髪の毛が一瞬で凍り付く、まさに極寒の世界だった。
視界が利かない中、GPSを頼りに登っていくが、スノモンの壁で構成された迷路にはまり込み、もはやどこを歩いてよいのやら分からなくなった。
困ったのは強烈な吹雪。
地面の形状や高低差が認識できず、あると思って踏み込んだ地面(雪面)がなく、バランスを崩して斜面を転げ落ちること3回。滑落ほどではなかったが、その度に全身打撲で雪まみれになりながら這い上がるのに苦労した。地図は頭に入っていたので、雪庇からは距離を取るよう注意して歩いていたが、地図では識別できない小さな崖がないとも限らない。また、頂に向かうほど傾斜が増すため、比例してリスクも高まる。これ以上登ると引き返せなくなる可能性もあると、ある程度登ったところで引き返すことを決意した。
ただし、そこからの下山も生半可ではなかった。毎度経験済みなので焦りはしないが、自分のトレースさえも一瞬で消し去っていく強風。慎重に地形を確認しながらなんとかGPSの軌跡を追従して観音山まで戻った。
観音山の手前まで戻ると、先ほどまでの強烈な吹雪は嘘のように止んでいた。あんなに苦労したのにまるで別世界のよう。
小腹が空いていたので、カップ麺を作って食べた。極寒の中のラーメンは何よりも美味しく、温かいスープで元気がみなぎった。
下山後、駐車場で装備を外しているといつの間にか頭上には青空が広がっていた。
振り返ってみると甲子旭岳方面も雲がどんどん切れていく。天気が好転するドラマティックな光景だが、「なにも下山してから晴れなくても良いじゃないか」と、ちょっと恨めしく思った。これは、「来年も改めてチャレンジだな!」と思った。














