• このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 参考になった

宙船のような荒船山

荒船山(経塚山)、艫岩、御岳山、ローソク岩( 関東)

パーティ: 1人 (Yamakaeru さん )

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 参考になった

行程・コース

天候

曇り

登山口へのアクセス

マイカー
その他: 内山峠(うちやまとうげ)駐車場を利用。正式名称「荒船山登山道路入口荒船駐車場」。20台程度の無料駐車場。簡易トイレあり。GoogleMap等座標で検索可能であれば(36.222368 138.616004)をセット。登山口は駐車場の奥にある。

この登山記録の行程

内山峠駐車場(06:27)・・・鋏岩修験道場跡(06:58)・・・一杯水(07:14)・・・艫岩(07:32)・・・荒船山(経塚山)(08:24)(休憩~08:43)・・・名もなきピーク(09:01)・・・星尾峠(09:25)・・・御岳山(09:52)・・・ローソク岩(10:03)・・・御岳山(10:37)・・・星尾峠(10:51)・・・艫岩(11:21)(休憩~11:30)・・・一杯水・・・鋏岩修験道場跡(12:00)・・・内山峠駐車場(12:24)

コース

総距離
約14.6km
累積標高差
上り約1,655m
下り約1,668m

高低図

GPX ダウンロード KML ダウンロード

登山記録

行動記録・感想・メモ

群馬遠征の1日目「浅間隠山&鼻曲山」を終えて、装備を片付けながら明日の山(次の目的地)を考える。もともと雪山へ行くつもりだったので、雪山装備も積んであるため選択肢は広いが、浅間隠山の頂から見た景色を振り返り、「やはり明日は『荒船山』にしよう」と心に決めた。
となれば「拠点は下仁田にしよう!」と車をスタートさせたが、ふと「せっかくここまで来たなら『水沢うどん』を食べねば」とバナナマン的映像が頭をよぎり、車を停めてネットを検索する。下仁田とは反対方向になってしまうが、今からであればお昼の営業時間にもなんとか間に合いそうだったので、ハンドルを切り直して急ぎ向かうことにした。これも時間に捉われない気ままな旅の良いところだ。
水沢うどんと言えば、兼ねてから行きたかったお店(田丸屋)があったが、残念ながら閉店時間が15時と他店よりも早かったため、カーナビの計算ではギリ間に合わなかったため、近くの「岩戸屋」というお店に向かうことにした。
道路沿いの目立った場所に立地していることもあってか、15時を過ぎていたにも関わらず岩戸屋は沢山のお客さんで賑わっていた。早速、中に入って「冷たいザルうどん大盛り」を注文。念願の本場で食べる水沢うどん。そう、この場合、本場で食べるということが何より大事だった。運ばれてきたうどんは、ザルいっぱいに盛り付けされていて、腰がしっかりしていてのど越し良く、お店のお姉さんがお勧めしてくれた「ごまダレ」との相性が抜群に美味だった。
水沢うどんを堪能し気持ちもお腹も満たして、明日の「荒船山」登山に向けて、拠点となる道の駅「しもにた」へ移動した。
水沢うどんのためにだいぶ遠回りをしてしまったので、道の駅に到着したのは夕暮れの18時だった。お店がちょうど閉まってしまったので、中の様子は見ることができなかったが、芝生を円形に囲んだ木造の建物で構成された道の駅で、小さいながらも綺麗な外観に一目で気に入ってしまった。お気に入り拠点として覚えておくことにしよう。
車の中でビールを片手に途中のスーパーで買い込んだ弁当を食べていると、パトランプを点けたパトカーがやってきた。
赤く回っているパトランプを見るだけで気分の良いものではないが、なんと自分の隣に停車をするではないか。一瞬「ドキッ」として、反射的にビールを隠してしまった。別に飲酒運転をしている訳ではないので問題はないはずだが、あまり褒められるシチュエーションではないことだけは確かだ。その後、警察官が降りてきて、バインダーに挟んだメモに何かを記録しながら周囲を観察している。「えっ、何なに?」「ここ車中泊禁止?」と様々な思考が飛び交い、「何か注意されるのでは」とヒヤヒヤしたが、ターゲットは自分ではなく、隣に停まっていた車2台が接触事故を起こしたようで、その調査をしていたようだった。状況を理解して安心はしたが、夕食という至福の時間はすっかり台無しになり、ビールと弁当がちっと美味しくなかったのは言うまでもなかった。
寝入りばな一人暴走族のようなバイクが走り回り若干うるさかったが、前日の寝不足だもあり、それ以外はぐっすりと眠ることが出来た。寝袋にくるまずとも眠れる良い季節になったものだ。
4時10分に起床。
身支度を整えながら、駐車場の脇でお湯を沸かしポットに詰めてから登山口となる内山峠へ向かう。
途中、鹿2頭が道端で草を食んでいるのを見かけた。昨日は、猿に出会い、今日は鹿。毎日お出迎えがあって嬉しい。
内山峠駐車場に到着すると、先行者の車が2台停まっていた。
6時20分、登山開始。
登山口は駐車場のすぐ奥にある。
登山口のところに看板が設置されていて遭難者情報が掲示されていた。「小学生2年生の男性」とある。小さな男の子が戻って来ないというシチュエーション。遭難した当人の不安さもさることながら、心配するご家族のことなど想像すると、心がいたたまれなくなった。
暫く水平移動で、尾根を回り込むようにトラバースで進んでいく。
今日は終日曇り。昨日よりも少し肌寒さを感じた。
尾根を越えたところで、前方に特徴的な山容の荒船山が見えて来た。まさにテーブルマウンテン。台地の一部がそのまま空に向かって隆起したようで、不自然なまでに長方形の山容をしていた。周囲の山々から頭一つ分せり出したその姿は大海原に浮かぶ軍艦のように見えた。
「いざ、軍艦に攻めいらん!」とばかりに歩き出す。なんだか冒険っぽくて楽しくなってきた。
軽くアップダウンを繰り返して、7時6分、荒船山の壁にたどり着いた。
登り口のところに「一杯水」という水場があり、岩の隙間に差し込まれた塩ビのパイプから水が勢いよく流れ出していた。昔の人も必ずここで水を飲んでから登ったという。
足場の悪いところにあったが、一旦降ってからよじ登り、両手いっぱいに掬って飲んでみた。思っていたよりも冷たく、まろやかでとても美味しかった。
水分補給で元気百倍。
壁のような斜面を九十九折りに登り、軍艦の甲板部に到着。
遠くから眺めた通り、ほぼ真っ平の上部は、公園の林を散策しているような山の上とは思えないような風景が広がっていた。
遊歩道のようなに整った道に、導かれるままに歩いていく。
9時30分、林の中に東屋が見えてきた。
その先に開けた空間が見える。それが荒船山一番の絶景ポイント「艫岩(ともいわ)」。
八畳ほどの展望スペース。その向こうは柵一つない断崖絶壁のとんでもない場所だった。
まず最初に雪を冠した浅間山が目に飛び込んで来たため、絶景に気を取られつい前に前にと踏み出しそうになる。しかし、1歩間違えればあっという間に数100メートル真っ逆さま。事実、滑落事故が絶えない場所らしい。
ギリギリの場所に立ち、真下を覗き込んでみたが、遥か下まで遮るものがなく、背筋がぞわぞわとした。ちなみに「艫(とも)」とは、船尾の平らな部分を指す言葉。まさに、荒船山という軍艦のエッジに相当する場所だ。
もう少しゆっくりと絶景を楽しんでいたかったが、どのみち戻ってくることになるため、人が少ないうちに頂へ向かおうと行動を再開する。
艫岩が荒船山の船尾ならば、さしずめ頂は船首にある操舵室か。荒船山は平らな山容に一ヶ所だけ尖ったところが見えるが、そこが荒船山の頂にあたり、別名「経塚山」と呼ばれている。
向かう途中、2m程の高さの石碑を見かけた。
「皇朝最古修武之地」と書かれているが、漢字が難しくて読み方が分からない。看板にあった解説を要約すると、「信州では寒さが厳しく海もないため、野菜・魚以外は殺生してはならないという天照大神の言いつけを守っていては生きてはいけない。そこで『猿と鹿のみ食べても良いか』と天照大御神に尋ねたところ『ならぬ』との返事だったため、絶望した人々は関東に領地を広げようと戦の準備を始めた。また、それを知った関東勢(香取神宮と鹿島神宮)が、向迎え撃つべく信州境に集合した。争いに恐れおののいた天照大神は急いで仲裁に入るよう部下(孫の神様)に命じた。」という話らしい。まぁ、大概、天照大神が悪いだろう!という話だ。笑
ようやく船首に着いたようで、鋭いピークが聳えているのが見えた。
大した高さではなかったが、意外に急斜面で息が切れた。
8時19分、頂に到着。
眺望はあまりない樹々に囲まれた小さな頂で、祠とその隣に木製の標識が設置されていた。そして、奥にある木に「クレヨンしんちゃん(しんのすけ)」の絵と「1,422メートルだぞ」と書かれた有名なプレートがぶら下がっていた。
時間は早かったが小腹が空いたので、しんちゃんの近くに腰を下ろして持ってきたかんぴょう巻きとカップラーメンを頂いた。
食後、行動を再開しようと立ち上がったが、登ってきた反対側に別な道が延びていることに気が付いた。「この方向に登山ルートなんかあったかな?」と思い行ってみることにした。数メートルで激下りになったので即引き返そうと思ったが、ひょっとしたら展望の良い場所があるのかも知れないと、なんとなく勢いで下の方まで降ってしまった。結局、展望台のような場所はなく、地図にはなかったが登山ルートの一つのようで更に麓に向かって延びていた。さすがに最後まで降る訳にはいかなかったので、目の前に見えていたピークまで切りよく足を延ばしてから戻ることにした。
戻る途中、遠くにそり立つ大きな岩のシルエットが見えた。特徴的な形。きっと名のある岩に違いない。
頂へ向かって斜面を登り返そうとした時、頂を迂回するように延びているトラバースルートを見つけた。地図にはない破線ルートだったが、方向的に星尾峠へ繋がっていることは明らかだった。そして、その先にある稜線を目で追っていくと、先ほど見た「そそり立つ大きな岩」へとたどり着く。目測する限り歩けない距離ではない。予定はしていなかったが、帰りの時間も十分にあるので、「これは行くしかない」と破線ルートへ踏み込んだ。
人があまり入り込まないようで、道はかなり荒れていた。崩れかかった個所もあり、不慣れな方にはあまりお勧めはできないが、かすかな踏み跡とピンクテープが所々にあったため道に迷うことはなかった。
斜面に今日初めて花らしい花を見つけた。春先には珍しい紫色をした花。ランプシェードのような形をしている。近寄ってまじまじと見てみると「ハシリドコロ」だった。愛らしい花だが有毒植物として有名で、食べると錯乱状態になり走り回ることから「ハシリドコロ」という変わった名前が付いている。久しぶりに見た気がする。
9時19分、星尾峠に到着。標識に「兜岩1.9km」と書かれていた。
「往復約4km、行けるな」と判断。
おおよそ目測と合っていたこともあり、心の準備はできていたのでそのまま岩へ向かって歩き出す。この時、勝手にそそり立つ岩を「兜岩」と勘違いしていたが、戻ってきてから知ったが、目指していた岩は「ローソク岩」と言う名称で別物。勘違いした「兜岩」は、ローソク岩から更に数100メートル進んだところにある「兜岩山」を指していたものと思われた。結果的にローソク岩にはたどり着いたが、兜岩山の存在に気が付かず帰ってきてしまった。せっかくそこまで足を運んだなら立ち寄りたかったのに残念だった。もう少し分かりやすく親切なマップが設置されていれば良かったのにと思う。
ちなみに、ローソク岩までの道のりは意外に長く感じたが、見どころもあって楽しかった。荒船山自体は簡単なコースなので、ロングを楽しみたい時はローソク岩や兜岩山まで足を延ばすことをお勧めする。
帰路、艫岩で休憩時間を設け、コーヒーを淹れながらまったりと浅間山を愛で、その後、12時20分に下山した。
天気は今一つだったが、実に楽しい登山だった。
追記:
下山後、これも兼ねてより気になっていた「荒船風穴」へ行ってきた。正直、琵琶湖にある「河内の風穴」のようにどんな巨大な洞窟があるのだろうと、ケイビングをやっていた頃の癖で興味を抱いていたが、荒船風穴は全く想像と異なり、風穴から出る冷たい風を活用して造られた「蚕種貯蔵所跡」という歴史的に価値のある世界遺産だった。恥ずかしい勘違いだったが、おかげでとても勉強になった。

続きを読む

フォトギャラリー:24枚

すべての写真を見る

装備・携行品

みんなのコメント

ログインして登山記録にコメントや質問を残しましょう

登った山

荒船山

荒船山

1,422m

よく似たコース

荒船山 群馬県 長野県

荒船不動から独特の山容の荒船山を往復 日帰り

最適日数
日帰り
コースタイプ
往復
歩行時間
4時間20分
難易度
★★
コース定数
17
荒船山 群馬県 長野県

内山峠から、荒波を行く船のような特異な山容の荒船山往復 日帰り 

最適日数
日帰り
コースタイプ
往復
歩行時間
5時間25分
難易度
★★
コース定数
23
登山計画を立てる