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行程・コース

天候

快晴、微風、気温32度

登山口へのアクセス

マイカー
その他: 志津野営場駐車場に駐車、志津野営場から入山

この登山記録の行程

志津野営場(10:38)…姥沢小屋(12:12)…雄宝清水(12:27)…リフト分岐(13:00〜13:20)…牛首(14:38)…救難現場(15:37)

コース

総距離
約7.5km
累積標高差
上り約1,063m
下り約46m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

今回の山行ほど、山の難しさと自分の愚かさを教えられたものはない。
過去の山行においては『体力さえあれば』で、行程20km超えの強行登山も難なくこなしてきたが、今回緩斜面の8kmほどの道のりで途中断念、山頂まで届かなかった無念さと、周囲にかけたご迷惑を教訓として、今後の登山に生かせるよう自分なりに改善策を検討してみた。
1 経緯
 8月11日 連日の不眠の夜勤を終え、疲労困憊の中、翌日の出羽三山山行に備え、昼食後から21時頃まで就寝するが、昼間帯は周囲の雑踏もあり、幾度と目を覚まし、熟睡はできず、疲労はかなり残っている状態であった。21時から夕食を摂り、出発準備をする。
 8月12日 午前1時、車に荷物を載せ、出発する。高速道路を利用するが、夜間でもあり、若干速度を落とし気味で走行する。トイレ休憩程度しか取らず。
 午前5時頃、途中コンビニに立ち寄り、朝食を摂る。
 午前7時、羽黒山に到着参拝、無料駐車場と御本殿の往復で約2時間滞在する。この時点では気温上昇は感じられず、涼しさを覚えたが、往復の行程では荷物は無いものの、結構な汗をかいている。
 午前9時、羽黒山を出発、喉の渇きを覚えたため、コーラ500mlを飲みつつ登山口である志津野営場まで車を走らせ移動を開始する。快晴であり、日差しは強く、気温の上昇を体感する。途中コンビニに立ち寄り、昼食のおにぎり2個と行動食の5個入りアンパンを購入する。また、管理棟に立ち寄り、志津野営場の駐車場利用の許可を受ける。
 午前10時半、志津野営場に到着、出発準備をし、午前10時38分出発する。
駐車場のアスファルトは陽炎が立ち上がり、日差しと無風状態と併せ、焼けるような暑さであり、とても体感温度では32度とは思えない状況であった。保有水量3リットル。
行動時は、ほぼ無休憩であり、熱中症対策として塩分補給タブレットと水分の摂取を歩きながら頻繁に行う。
 午後0時12分、姥沢小屋到着、リフトは使用せず、登山道をそのまま進む。日差しは変わりなく強く、かなりの暑さを覚える。無風状態。
 午後0時27分、雄宝清水に到着、ペットボトルで1本半の水分補給を行う。

※姥沢小屋からの所要時間15分、コースタイムでは25分、この時点で、かなりのオーバーペースであることに気付くべきだった。 

 午後0時37分、ブナのしずく(水場)に到着、ここでも ペットボトルで1本の水分補給を行う。この時点ではまだ、体に異変はない。
 午後1時、リフト分岐で足に筋肉の強張りのような違和感を感じ、休憩を兼ねて昼食を摂る。熱中症予防を考慮し、頻繁に塩分タブレットと水分補給を行っているので、熱中症を思いつくことはこの時点ではなかった。

※雄宝清水からの所要時間33分、コースタイム1時間、とんでもないハイペースであった。

 午後1時20分、休憩を終え、出発するが、足の違和感は抜けず、次第に太ももに痙攣が発症しはじめる。牛首までの間、50メートルほど歩くたびに、座り込み痙攣の緩和を図る。
山頂も間近かに見えており、「山頂まで行けば後は下りのみ、佛生池小屋に午後5時までにたどり着けば疲れも回復する。」と考え、足を進めた。
 午後2時38分、牛首分岐に到着、この時点では20メートルほど歩くたびに、座り込み痙攣の緩和を図っている状況になる。この時点でリフト上駅までの撤退を考えたが、山頂も更に間近かに見えており、休み休み行けば到達すると、自分の足を過信した。
 午後3時、牛首と月山山頂の中間辺り、1790メートル地点で両足の太ももと併せて脹脛までが完全に筋肉膠着状態となり、膝及び足首を曲げる事も伸ばす事も不可能であり、動けない状態になった。この時点で、遭難を確信した。
水の保有量を確認したところ、ハイドレーションは空、ペットボトル2本も空、で保有量0であった。幸いしたのは気温が下がり、涼しさを覚える状況であった事である。
天候は快晴、風は微風、視界は10キロ以上、救難ヘリの飛行条件は整っているが、まだ周囲には登山者が大勢歩いていた。
 午後3時34分 佛生池小屋に宿泊キャンセル及びこれから救難要請することを連絡する。
 午後3時37分、周囲の登山者が居なくなったのを確認し、119番に遭難救難を要請する。
3回救急センターとのやり取りがあり、内容については次のとおり。負傷の状況、出血の有無、意識の確認、通信系の確保、保有装備(総重量を含む。)、気象状況、ヘリのダウンウォッシュによる周囲への影響(周囲の登山者の有無)、同行者の有無、ヘリの運航情報等
 午後4時、月山リフト上駅の最終運行情報のアナウンスが流れる。
 午後4時30分、救難ヘリ到着、ピックアップ完了、搬送開始 ヘリの窓から朝日連峰の綺麗な雄姿が見え、何故か寂しさがこみ上げてきた。
 午後5時頃、山形県立中央病院搬送完了、引き渡し
 午後7時20分、処置治療を終え、退院

2 病院搬送において
  血液検査及びレントゲン検査が行われたが、診断の結果、熱中症(熱痙攣)と判明した。熱痙攣とは熱中症に類し、体内に水分はあるものの、筋肉中のミネラル分が発汗により極端に欠乏し、筋肉中のミネラル分が稀薄した状態となり、筋肉としての機能が損なわれる症状との事です。
  緊急治療室のベットに運ばれ、靴を脱がされた時に、水滴(汗)が流れ落ちた。靴の中は汗でずぶ濡れ状態であり、想像以上の汗をかいていたことに驚いた。
  水分は多分、5リットルは摂取しており、塩分タブレットも大量に摂っていたが、発汗によるミネラル流出の方が勝っていたものと思われる。
  処置については、点滴3本、筋肉緩和の投薬

3 装備(服装)について
  今回、ファイントラックのスキンメッシュを上から、ロングスリーブ、タイツ、5本指クルーと装着し、全身、足の指先までドライ感をキープしていたことから、特に靴の中の濡れの異状を感じ得なかったと想像する。

4 反省要素
(1) 計画段階
    無謀とは感じていたが、時間的猶予もなく、自己の体力や過去の実績から可能と 過信   
(2) 体調管理
   ・ 完全な寝不足状態
   ・ 車の無休憩による長時間運行からの疲労
(3) 登山実行中
   ・ 無休憩のため発汗状態及び体調の確認の未実施  
   ・ ハイドレーションによる歩きながらの水分補給を行えば、無休憩でも行けると過信
   ・ 気温に対する配慮の皆無
   ・ 熱中症対策の軽視
   ・ 行動時程は持っていたが、緩斜面で距離もなく、ペース配分を無視した軽率な行動

5 再発防止策
(1) 計画段階
   ・ 無謀と感じる計画は絶対に立てない。また、計画が無謀となる山を選ばない。
(2) 体調管理
   ・ 4時間以上の移動を伴う場合は、移動に1日を充て、当日は十分な睡眠をとる。
   ・ 体に疲れを感じた場合は、中止を考慮する。
(3) 登山実行中
   ・ 基準として50分行動、10分休憩のサイクルに心がける。但し、気温状況を考慮し、高温である場合は時間を短縮し、25分行動、5分休憩を基準とする。
   ・ 休憩時は、荷物を降ろし、全身の発汗状態及び体調の確認を確実に実施する。また、水分及び塩分補給並びに行動食を摂り、熱中症対策に万全を期す。
   ・ 携行する水は、ペットボトルにおいてはスポーツドリンク又は経口補水液とし、1リットルは確保する。ハイドレーションの水は水場等で補給を行い極力満水状態を確保する。
   ・ 休憩時は行動時程を確実に確認し、ペース配分の確認、修正を実施する。

6 その他
  今回は、携帯電話の通話エリア内であったため、事に対処可能であった。山域によっては、不通のエリアもあり、その掌握等も必要であると考える。

7 最後に
  今回お世話になった、119番の救急センターの対応者、山形県消防防災航空隊のスタッフ及び山形県立中央病院の緊急治療室のスタッフの方々には、本当に感謝いたします。また、急なキャンセルを致しました佛生池小屋の皆さまには、本当にご迷惑をお掛け致しました。今後、前項の再発防止策を確実に実行し、山に恋した者として、同種事故再発の防止に努める所存です。

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装備・携行品

シャツ アンダーウェア ダウン・化繊綿ウェア ロングパンツ 靴下 レインウェア
登山靴 バックパック スタッフバック スパッツ・ゲイター 水筒・テルモス ヘッドランプ
タオル 帽子 グローブ サングラス 着替え 地図
コンパス ノート・筆記用具 腕時計 カメラ 登山計画書(控え) ナイフ
修理用具 ツエルト 健康保険証 ホイッスル 医療品 虫除け
熊鈴・ベアスプレー ロールペーパー 行動食 テーピングテープ トレッキングポール GPS機器
ライター カップ
【その他】 AMラジオ、携帯トイレ、癇癪鉄砲

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