紅葉の山へ

秋の始まりは山の上から…紅葉見頃カレンダー

鮮やかな紅葉は、樹木の冬支度だ。紅葉の仕組みは、樹木が冬に備えて葉のエネルギーを幹に送る働きに伴い葉の色が変わる、というもので、気温が低くなり太陽の光が弱まってくると始まる。そのため、気温が低い山では都心よりも1ヵ月以上も早く秋を迎える。

東京都心にある上野公園でイチョウやケヤキの紅葉が始まるのは、例年11月中旬から12月上旬だが、北海道の大雪山では9月上旬からすでに紅葉が始まっている。9月下旬には東北など本州北部の山、アルプスなどの標高が高い山の稜線で紅葉が始まる。徐々に麓へと下りていき、11月には高尾山などの低山で見頃を迎える。

桜と同じく、一カ所での紅葉の見ごろは短いが、地域や標高を変えれば長く楽しめる。紅葉を求めて、あちこち巡り歩くのも、秋の山の楽しみだろう。

以下の紅葉見頃カレンダーも、計画の参考にして欲しい。各山の紹介は、地域別・紅葉の山ガイドへ。

紅葉する木、時期、色は木によって変わる。
山に植生する木を知れば、紅葉はもっと楽しい!

紅葉といっても、すべての樹木や草木が色付くわけではない。一般的には、落葉樹の樹木が赤や黄色、オレンジなどに染まる。

紅葉する樹木で最も有名なのはカエデ。5つ手の葉が赤く色づく姿はお馴染みだ。同様に赤やオレンジに色づく樹木といえば、ナナカマド、ツツジ系の樹木、ミズナラ、ケヤキ、ヤマザクラなどがある。

また、黄色に色づく(黄葉)ものも、山岳地では多い。代表的なものはブナで、ブナの原生林のある山は山全体が黄色になる。ほかにもダケカンバ、カツラ、トチノキなどは黄色に染まり、山肌を彩る。

日本の山に多く植生するブナの葉は、黄色〜オレンジ色に染まる
(写真:あいさん さん、白神山地)

そして紅葉のフィナーレを飾るのがカラマツだ。他の樹木の紅葉が終わる頃に黄金色に色づくので、少し遅い時期にも楽しめるのが特徴だ。

紅葉の終盤を飾るのがカラマツ。雪景色とともに楽しめることもある
(写真:テツ さん、前穂高)

紅葉の名所、涸沢を真っ赤に染めるのがナナカマドの紅葉
(写真:ヤマクラ さん

また、高山では草紅葉も見逃せない。ウラシマツツジやチングルマ(正確には樹木)やコバイケイソウなどの高山植物や、キンコウカのような湿原の草の色付きは見事で、樹木の紅葉より一足早く始まる。山の稜線を赤や黄色に染めたり、湿原をオレンジ色に染めたりするので、こちらもチェックしておきたい。

尾瀬の草紅葉の様子。晴れた日に湿原の草が風に揺られると、黄金色に輝くように見える
(写真:とし さん