Tweet | ![]() |
夏の間、たくさんの日光を浴びた草木たちは、気温の冷え込みによって葉の色が変化する、それが紅葉だ。最低気温が10℃以下になると紅葉は一気に進むと言われる。
真っ赤に染まるカエデ類の木々、鮮やかな赤色に染まるナナカマド、黄色に染まるブナやダケカンバ、黄金に輝くカラマツなどに加え、針葉樹の緑が混ざりあって山肌を彩る様子は、山が最も色鮮やかな瞬間と言えるだろう。
そんな紅葉には、当たり年と外れ年があるのをご存知だろうか? 紅葉は、夏の間の天候など気象条件によって、木々の色づきに大きく違いが出る。
ちなみに、最高の紅葉の条件と言われているのが、右表の5つの条件だ。これらが揃うと、美しい紅葉が期待できる。
紅葉は、背景や時間によって、その表情を大きく変える
(写真:Tomoaki さん、紅葉写真コンテスト2019最優秀賞)
気になる2020年の紅葉はどうだろうか?
7月いっぱい続いた長い梅雨は、大いに影響を与えそうだ。一方、8月に入ってからは、晴れの日が続いていて、日照時間は十分だ。逆に降雨量が少ないのが気になるほどだ。
また、8月下旬現在、台風がまったく訪れていないのは、美しい紅葉には良い条件と言えるだろう。
2019年は、9〜10月にかけて、大型の台風が次々と襲来したために、その後の紅葉に大きな影響を与えてしまった。今年は、紅葉シーズンに安定した天候が続くことを祈りたい。
ドウダンツツジやナナカマドなどで全山が紅葉する栗駒山
(写真:無職暇人 さん)
紅葉といっても、すべての樹木や草木が色付くわけではない。一般的には、落葉樹の樹木が赤や黄色、オレンジなどに染まる。
紅葉する樹木で最も有名なのはカエデ。5つ手の葉が赤く色づく姿はお馴染みだ。同様に赤やオレンジに色づく樹木といえば、ナナカマド、ツツジ系の樹木、ミズナラ、ケヤキ、ヤマザクラなどがある。
また、黄色に色づく(黄葉)ものも、山岳地では多い。代表的なものはブナで、ブナの原生林のある山は山全体が黄色になる。ほかにもダケカンバ、カツラ、トチノキなどは黄色に染まり、山肌を彩る。
日本の山に多く植生するブナの葉は、黄色〜オレンジ色に染まる
(写真:あいさん さん、白神山地)
そして紅葉のフィナーレを飾るのがカラマツだ。他の樹木の紅葉が終わる頃に黄金色に色づくので、少し遅い時期にも楽しめるのが特徴だ。
紅葉の終盤を飾るのがカラマツ。雪景色とともに楽しめることもある
(写真:テツ さん、前穂高)
紅葉の名所、涸沢を真っ赤に染めるのがナナカマドの紅葉
(写真:ヤマクラ さん)
また、高山では草紅葉も見逃せない。ウラシマツツジやチングルマ(正確には樹木)やコバイケイソウなどの高山植物や、キンコウカのような湿原の草の色付きは見事で、樹木の紅葉より一足早く始まる。山の稜線を赤や黄色に染めたり、湿原をオレンジ色に染めたりするので、こちらもチェックしておきたい。
尾瀬の草紅葉の様子。晴れた日に湿原の草が風に揺られると、黄金色に輝くように見える
(写真:とし さん)