「サスティナブル」に ミレーが取り組んだら 「和紙」になった/ミレー「WASHI+SHIRT LS」
『山と溪谷』の巻頭記事「YAMAKEI HEADLINE PICK UP GEAR」では、毎号、旬な登山装備を紹介している。
2021年6月号で紹介した、ミレーの「WASHI+SHIRT」は、和紙繊維とポリエステルの混紡素材が使われたサスティナブルなシャツ。ミレーがこのシャツに込めた思いに迫ってみよう。
写真=永易量行
文=池田菜津美

近年、海外では「サスティナブル」な製品作りが盛んになりつつある。サスティナブルとは「持続可能な」という意味で、リサイクル素材の活用や長く使える製品の提案、環境に配慮した製造工程など、その方法は多岐にわたる。
ミレーの日本企画として誕生した「WASHI+SHIRT」も同様の考えから生まれた製品だ。見た目には普通のシャツだが、和紙繊維とポリエステルの混紡素材が使われている。この和紙繊維は、成長の早いマニラ麻を和紙に加工・裁断し、コヨリをかけて糸にしたもの。綿や麻よりも耐久性に優れているのが特徴だ。これを先染めの織物「播州織」によって仕上げた。また、和紙の中にある微細な空洞が保湿・消臭するため、登山ウェアとして必要充分な機能を持ち合わせている。
サスティナブルな製品として発表するからにはと下げ札(商品タグ)にもこだわり、FSC認証(適切に管理された森林の生産品であることの認証)を受けた紙でつくった。こうした取り組みを広げていきたいという決意の表われでもある。
この「WASHI+SHIRT」はほんの始まり。和紙の混紡率を上げ、より環境に優しい製品を開発中で、今後は自然由来の素材を使った製品や、長く使える製品など、サスティナブルな製品のラインナップを増やしていく予定だ。
製品の性能だけではなく、製造工程や背景なども、もの選びの指標になりつつある。愛着を持って長く使えるものを。ものが溢れる時代だからこそ、自分の手元に置くものを吟味したい。

シャリ感のある生地で夏でもさわやか
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YAMAKEI HEADLINE「今月のギア」
雑誌『山と溪谷』の巻頭記事「YAMAKEI HEADLINE」の連動企画です。