岩手県
北上山地
かたばやま おだけ
片羽山
1,312m
片羽山は、三角点のある雄岳と南の雌岳の双子峰で、登山の対象となるのは雄岳だ。
『遠野物語』三十二話によると「白い鹿を追って千晩こもった山を仙磐山、追われた鹿が片肢折れて逃げた山が片羽山」とある。ところが地元では、片葉山と記し、鵜住居(うのすまい)街道の早栃では、石祠に弁天三柱の右に片葉山、左に仙葉山と刻み込まれている。いずれにしても葉で共通点があるので、この山の山名考のキーポイントになりそうだ。
登山口へのアプローチは、遠野市内からは286号経由、赤羽根交差点で35号に入り笛吹峠へと向かう。笛吹峠は、カタバミの葉そっくりな片羽山を東に、絶好の展望台といえよう。笛吹峠から大槌方面へ5kmほど下ると青色に塗られている青ノ木橋を渡切った先の右側の川に沿った未舗装の小路に入る。数分で鳥居と駐車スペース(5台程度)がある登山口に至る(登山口、登山道、山頂には水場やトイレはないので注意)。
登山道はこの鳥居をくぐって進む。道幅は広く、足元は柔らかで歩き易い。2合目付近からは、左手に新山高原の風力発電風車群を展望できる。4合目までは幅広の作業道で、美しいダケカンバの林の中を歩く。
4合目からは山道になり道幅が狭くなる。ここから6合目付近までは、キジやカモシカなどが生息する地帯である。6合目上に出ると雄岳が見えてくる。ここから少し下った後に勾配が増し、7合目から8合目の間がこのコース最大の急登となる。木の根が張っており、石も露出している場所もあるので、足元には注意が必要である。
9合目手前からは緩斜面となり、右手に六角牛山が見えてくる。大石を登りきると膝ほどの灌木帯となり、見通しが良くなってくる。振り返ると笛吹峠も眼下に望める。この付近は海が近く、風が強く吹くので注意を要する時もある。
山頂は図根点・雲南で二等三角点、主三角点がある。山頂は360度のパノラマが楽しめる。遠く早池峰山を中心に薬師岳、北は遠く青松葉山が眺められる。東側には太平洋、釜石大観音も望める。また、南側に見える雌岳は美しく、山肌の緑が目にしみる。静かな山行を望まれる登山者には、人気が高まっている。登りは約2時間半、下りは約1時間40分。
頂手前の東側の小路を行くと漁業の神の祠があるので、こちらも訪れておきたい。また、雄岳と雌岳の間には薄くトレースがあるが、興味本位で訪れるのは危険だ。経験のある上級者が付き添う場合のみ可能で、十分な体力と経験が必要である。
(文・オシラ)
2023年8月改定(山と溪谷オンライン編集部)
- 正式名称
- 片羽山・雄岳
- 山域
- 北上山地
- 都道府県
- 岩手県
- 標高
- 1,312m
- 2万5千図
- 陸中大橋・能舟木
- 更新日
DATA
片羽山のコース
片羽山周辺の天気予報
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