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奇岩の名峰 晩秋の霊山

霊山( 東北)

パーティ: 1人 (Yamakaeru さん )

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行程・コース

天候

晴れ

登山口へのアクセス

マイカー
その他: カーナビには「霊山こどもの村」もしくは「紅彩館」をセット。今回、こどもの村の駐車場を使わせて頂いたが、登山用の駐車場は、こどもの村から歩いて更に10分。紅彩館の先にある。広いが人気の山なので満車になりやすいため早めの到着をお勧めする。整備されたトイレあり。

この登山記録の行程

こどもの国駐車場(11:56)・・・登山口(12:05)・・・鍛冶小屋岩(12:24)・・・宝寿台(12:27)・・・見下し岩(12:38)・・・日暮岩(12:43)・・・弁天岩(12:56)・・・大山祇神社跡(13:01)・・・弘法の突貫岩・・・五百羅漢岩(13:10)・・・無線中継跡(13:15)・・・望洋台(13:22)・・・猿跳岩・蟻の戸渡り(13:24)・・・三角点(13:31)・・・学問岩・最高峰・東物見岩(13:36)・・・仙人水(13:41)・・・二ツ岩(13:47)・・・霊山城跡(13:56)・・・西物見岩(14:00)(昼食~14:17)・・・国司館跡・・・護摩壇(14:22)・・・天狗の相撲場(14:34)・・・甲岩(14:41)・・・仙人水(14:45)・・・天狗の相撲場・・・宝寿台(15:05)・・・登山口・・・こどもの国駐車場(15:32)

コース

総距離
約9.4km
累積標高差
上り約914m
下り約913m

高低図

GPX ダウンロード KML ダウンロード

登山記録

行動記録・感想・メモ

大好きな山の一つで滋賀県にある「霊仙(りょうぜん)」と、同じ読みをする山が福島県の伊達市にある。漢字は異なりこちらは「霊山」と書く。
遠くから見ても明らかに周囲とは異なる山容をした霊山。
秋に訪れるとゴツゴツした黒褐色の凝灰角礫岩が赤く染まったモミジと対照的で美しく、僅か標高825mの小さい山ながら、中国の水墨画に登場しそうなスケール感を有している。
慈覚大師によって開山され、釈迦が修行したインドの霊鷲山にちなんで「霊山」と名付けられたとか。今は焼失して何も残っていないが、かつては山頂に霊山寺が建っており、三千六百坊を擁していたという。天台宗布教の東北での拠点として、その規模の大きさから「北の比叡山」とも言われていた歴史ある場所だ。
この山に最初に訪れたのは10年前の2011年。
福島第一発電所の事故直後で、いつもは家族連れで賑わうはずの中腹にある「こどもの国」からも、一切の笑い声が消えて閑散としていた。しかし、世界を揺るがすような悲惨な事故直後でも、黙して聳えている霊山がただ美しく。負けてはいられないと、自然と涙がこぼれたのを覚えている。その時にいつかあの頂に立とう、と心に誓った。

仙台での用事を済ませ、車で戻る途中に足を延ばして念願の霊山へ。
近づくにつれ見覚えのある風景が、当時の記憶を呼び覚ます。こどもの国の入口がとても懐かしかった。
時間は、12時。登山としては遅い出発だが、低い山なのでサクッと登って来よう。
本当は、登山口駐車場を利用すべきところ、敢えてこどもの国の駐車場を利用させて頂く。
10分ほど歩いて登山口駐車場へ。
大きな駐車場だったが、紅葉シーズンもあってか、ほぼ満車だった。下山されてくる方々に、挨拶をしながら登山道を登っていく。
ちなみに、登山届けのポスト横に、霊山観光マップが置かれていた。霊山の見どころが分かりやすくマップ化されているので超お勧めだ。
「鍛冶小屋岩」を過ぎて、「宝寿台」へ立ち寄る。
垂直の階段で巨大な岩を登る最初の見どころ。霊山には奇岩がいっぱいあり、このようなアグレッシブなポイントが盛沢山。奇岩ハンターにとって最高の山だ。
滑らないように慎重に階段を登ると、岩の上部には四畳半より少し広めの空間があり、数人の方が絶景を楽しみながら食事をされていた。岩の端まで行くと、こどもの国や登山入口の駐車場がよく見渡せた。絶景、絶景。嬉しくてついやけてしまう。
宝寿台のお隣にも大きな岩があったので、ついでにこちらの頂にも立ってみる。ルート外と思われるが、礫岩なので簡単に登ることができた。「良い子はマネしないで」であるが、悪い子は、宝寿台以上に絶景が待っているのでぜひ挑戦されたし。ただし、自己責任で。。。 :)
「見下し岩」からルートを分岐して「日暮岩」から「弁天岩」を通って「大山祇神社跡」へ。大山祇神社跡には、巨岩の下に小さな祠が祀られていた。
「弘法の突貫岩」や「五百羅漢岩」を抜けて稜線へ出る。
そのまま三角点へ向かおうかとも思ったが、無線の文字が目に留まり、少し降って「無線中継跡」に寄ってみる。
笹をかき分け進むと、中継所らしい建物が見えてきた。
上部のアンテナは壊れてしまったのか、撤去されたのかは定かではないが、四角の白い建物の上に、鉄骨の土台だけが残っていた。
金網のフェンスに囲まれていたが、入口の扉はなくロープが張られているだけ。当然、入ってはいけないのだろうが、ここは興味が勝りそっとロープを跨ぐ。
建物の中は、完全な廃屋。壁で3つに仕切られていた。がらんとした部屋の中央にベットの骨格だろうか、四角い骨組みが置かれていた。剥がれ落ちた壁。なんとなくバイオハザードのゲームに出てきそうな光景だった。
入口の壁に垂直梯子が取り付けられていた。赤茶けてボロボロに錆びていた。一番下のステップ等は完全に折れて外れている。
試しにゆっくりと二段目のステップに足をかけてみる。徐々に体重をかけながら「これならいけそうだ」と慎重に登ってみる。ドキドキ。危険かもというより、「何があるのか」という好奇心が強い。
階段を登り切って屋上へ出る。
荒れ果てていて、いつ抜け落ちてもおかしくない感じ。思ったほど眺望はなかったが、廃屋というシチュエーションにテンションが上がった。まさかこんなところで探検ができるとは思ってもみなかった。
再びコースに戻り「望洋台」へ。名前の通り、遠くに海岸線が見えた。
この周辺にも面白いポイントが密集していて、空中回廊のような階段を渡って、飛び出した岩へ渡るスリル満点の「猿跳岩」や、ナイフの刃のような「蟻の戸渡り」など、歩いているだけで楽しくなる。
「三角点」に到着。標高805m。しかし、霊山の最高峰(標高825m)はもう少し先にある。どうして別にしたのだろうか。
「学問岩」から「最高峰」と「東物見岩」へ。
そのまま「霊山城跡」へ向かおうと思ったが、「仙人水」と「二ツ岩」にそれぞれ立ち寄ってみる。仙人水は美味しい水が飲めるのかと期待していたが、湧き水というよりは単なる水たまりという少々残念な場所だった。一方、二ツ岩は東物見岩からも見えていたが、森の中から2つの大きな岩がニョキっと聳えていた。試しに低い方によじ登ってみたが、素晴らしい眺望が楽しめた。
東物見岩から霊山城跡へと延びる道は、林の中を散歩しているかのような穏やかなコースだった。林を抜けると、突然、広い空間が出る。「ここが霊山城跡か」。
思っていたよりも広々としていた。手前には、大きな石碑と祠が設置されていた。
奥の方へ行ってみると断崖の下に広がる森が一望できた。ちょうど紅葉した森が絨毯のようだった。
遠くに大きな山塊が見えた。左から安達太良山、会津磐梯山に西吾妻山。右手側には、ひときわ高く蔵王も見えた。手が届くほど近いことに感動した。
「西物見岩」で安達太良山を眺めながら遅めの昼食をとる。陽射しはあるが、空っ風が肌寒く、「もう冬なんだなぁ」とあらためて思った。
「国司館跡」から「護摩壇」へと向かう。
断崖絶壁の側面を削るように道が延びている。護摩壇からの絶景も見応えがあるが、特に「親不知子不知」の付近は「下の廊下」を思わせるようなコースで、歩いているだけでワクワクする。ちなみに「親不知子不知」というと新潟県の糸魚川にある日本海の断崖絶壁を思い出す。波の引くタイミングを計って渡ろうとした親子が波にさらわれて散りじりになったところから名付けられた。ここでもそんな逸話があったのだろうか??
コースも終盤。「天狗の相撲場」へやってきた。猿跳岩と同じように、飛び出した岩の上に空中回廊の梯子がかかっていた。相撲場とは絶妙のネーミングで、まさに岩の上が真っ平な土俵のようなになっていた。相撲に押し負けたら、遥か下まで真っ逆さま。「天狗じゃない限り即死亡だな」と笑えた。
天狗の相撲場からは、先ほど歩いてきた護摩壇方面が見えた。切り立った岩が建ち並び、とても日本とは思えないような景観。こんな見事な岩山を見たのは妙義山以来だ。
「甲岩」へ行くのにコースから外れたついでで、もう一度、仙人水へ行ってみる。ちょっとした遊び心で、せっかくなら全てのコースをできる限り歩きつくそうと、国司館跡までの未踏ルートを歩き、ぐるっと天狗の相撲場まで周遊してきた。
遊び過ぎたこともあり、予定時間を過ぎてしまったので、最後にもう一度だけ宝寿台とそのお隣の岩に登り、雄大な景色を胸に刻んでから下山する。
個人的に大好きな、奇岩で有名な「金勝アルプス@滋賀県」を、「山全体がテーマパーク」と表現したことがあるが、霊山も負けず劣らずの見どころ満載の山だった。しかも、福島の妙義山と呼んでもおかしくない荒々しい岩が織りなす風景は、まるで絵画のようで素晴らしかった。
10年経って、ようやくここに立てたこと。福島の復興が確実に進んでいることを肌で感じ、嬉しく思った。
下山後、もう一つ立ち寄りたいところがあったので、足を延ばしてみる。
目的は「山津見神社」。霊山とも縁のある神社だ。
以前、狼(大神)を祀っていて、狛犬の代わりにしている両神山と三峯神社を紹介したことがあるが、実はここ山津見神社も狼を祀っていて、ちゃんと狛犬の代わりに狼が鎮座している。しかも。両神山より凛々しい。笑。神社の天井には237枚もの狼の絵が描かれ埋め尽くされていることでも有名だ。
福島第一発電所の事故により、神社のある飯館村にも避難指示が出たが、由緒ある神社を守るために、神主は避難をせずに残って神社を守られていたが、ある時、残念なことにボヤによって全焼してしまった。「避難指示」の状況下でなければ消防車も普通に到着して、ボヤのうちに消火できたに違いないと言われている。それは言っても仕方のないことだが、これも福島第一発電所に絡む隠れたストーリーの一つだ。
最近、その天上に描かれた狼の絵が、有志によって復元されたとニュースで知って、訪れてみたいと思っていた。
実際に行ってみるとまさに圧巻で、天上いっぱいに吠える狼やじゃれ合う二頭の狼など、いろんな絵が飾られていた。拝観料が必要かと思っていたが、普通にお参りできるので、ぜひもっと多くの人に訪れてもらいたいものだ。

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  • あの時と変わらず美しかったです。
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登った山

霊山

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霊山 福島県

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最適日数
日帰り
コースタイプ
周回
歩行時間
2時間55分
難易度
コース定数
12
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