脚に負担をかけない歩き方をマスターしよう!-基本編-

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

プロ山岳アスリートとして数々の世界大会で活躍する小川壮太さん。そんな小川さんが膝痛になりにくい&疲れにくい歩き方を伝授。これを実践するだけで登山の快適度が格段にレベルアップする!

文=大関直樹

まずは平地での姿勢を見直すことから始めよう

登山者に悩みを聞いてみると、数多くの人が口にするのが、下山時の膝の痛みだ。一歩踏み出すごとに痛みを感じて、登山を続けられるのか不安になってしまうという人も少なくない。

膝痛の原因は膝の関節内の痛みか、膝の関節外の痛みに大別できる。膝の関節外の痛みとは、膝周りの筋肉の炎症が原因であり、下山時に痛みが出る人の大半はこの筋肉の炎症によって引き起こされている。膝痛の原因が膝周りの筋肉にある場合は、歩き方を改善すれば再発を防げる可能性が高い。

プロ山岳アスリートとして活躍する小川壮太さんは、登山時の歩き方の基本について、次のように語る。

「重い荷物を背負って山を歩いていると、姿勢の崩れや間違った体の動きが、筋肉や腱、骨格に負担をかけてしまいます。まずは、平地で正しい歩き方を身につけて、それをベースにして傾斜のある道の歩き方に応用していきましょう!」

小さな筋肉にずっと負荷がかかる状態では、その部位が炎症を起こしやすくなる。重要なのは、大きな筋肉、具体的にはお尻の筋肉(大臀筋)をうまく使うことだ。小川さんが実践している、膝痛&筋肉痛になりにくい歩き方を紹介しよう。キーワードとなるのは「骨盤主導」と「二軸歩行」だ。

動画で確認したい人はこちらから

 

1. 基本姿勢は、頭/肩/腰/くるぶしが一直線になるイメージで

体の軸が一直線になる姿勢が基本となる

まずは、体の力を抜いてリラックスした状態で立ってみよう。頭、肩、腰、くるぶしを結んだ軸が一直線になるように意識をすることが大切だ。その姿勢のまま脚を前に進めることが基本だが、重い荷物を背負っていると背中が丸まったり、鳩のように首を振ったりして歩きがちだ。

「そこで、首の後ろにある盛り上がった骨(第七頸椎)をスッと持ち上げるようにしてみましょう。自然に胸が開いて一直線の軸をイメージしやすくなると思います。体の軸をまっすぐにしようと無理に力まず、リラックスするのもポイントです」

2. 歩くときは、脚の筋肉よりも骨盤をメインに使う

実際に体を前に進めるときに、大切なのは体のどの部分をメインに使うかだ。歩くときは、膝から下を蹴るように動かしがちだが、それはNGだと小川さんは言う。脚ではなく腰をメインに動かすように心がけよう。

膝から持ち上げるのではなく、腰(骨盤)を持ち上げるイメージで

「骨盤の尖った部分を前に持ち上げるようにして前に進みましょう。すると、お尻の筋肉(大臀筋)や太ももの裏側の筋肉(ハムストリングス)といった大きな筋肉を使うので、膝周りの小さな筋肉に負担がかかりにくくなります」

3. 2本の軸をイメージして、その上に足をなぞらせていく

さらにバランスよく歩くためには、骨盤の幅に広げた2本の軸をイメージして、そこに足をなぞらせていくとコントロールがしやすくなる。

骨盤の幅からまっすぐ伸びるレールに足を置くイメージ

「2本の軸の幅が狭くなると、重い荷物を背負っているときなどにバランスを崩して転倒の原因になったりします。足元のバランスを整えるためにも、自分の骨盤の広さを常に意識してください。膝と爪先の方向をまっすぐに揃えることも大切です」

ここまでのおさらい

  1. 頭からくるぶしまでは、一直線になるような姿勢からスタート
  2. 骨盤を上下に持ち上げ、骨盤から前に出す
  3. 骨盤の幅の2本の線の上を歩くイメージで
NEXT 正しい歩行姿勢で歩いてみよう
1 2 3

動画で学ぶ、登山のABC

登山をもっと楽しく、もっと安全に。山を登るために必要なノウハウを、動画付きでわかりやすく解説します。

編集部おすすめ記事