南アルプス (山梨県 静岡県)
標高 3,026m
農鳥岳の名は、この山の東面の谷に現れる雪形に由来している。6月中旬に、首を南に向けた白鳥の姿が甲府盆地から望見される。これを見て農家では田植えを始めた。 この山には、鳳凰三山の農牛とともに次のような伝説が残っている。 茅ヶ岳のふもと、穂坂辺りは早魃の常習地帯で、村人は鳳凰山に登って雨乞いをした。山神は気の毒に思い、黒牛、白鳥を遣わせ、池を掘らせた。夜中に仕事をし、白鳥が暁を告げると山に帰ることを日課としていた。ある朝、時を告げることを忘れてしまった。白鳥はさっと飛び立ったが、牛は進退極まり、石にされてしまった。それから古巣の鳳凰山には春になると黒牛の、農鳥岳には白鳥の雪形が現れるようになった、とのことである。 本峰は農鳥岳と西農鳥岳(3050m)の2峰に分かれる。西農鳥岳から、農鳥岳の上にのぞく富士山は印象的。また、大井川の谷を隔てて、仙塩尾根の頂点に立つ塩見岳の姿も捨てがたい。 白峰三山縦走の場合、間ノ岳から2時間で西農鳥岳。奈良田温泉から大門沢コースを登るとなると、9時間強で農鳥岳の頂に立てる。