行程・コース
天候
晴れ
登山口へのアクセス
マイカー
その他:
黒潮町下田の口から県道42号を南下、田野浦で土佐清水の道路標識を見てそれに従う。四万十市の四万十大橋を渡ると国道321号(サニーロード)を南下。土佐清水市大岐で大岐中益野(なかましの)林道に右折。再び321号に出ると東に折れ、下益野の落窪バス停付近に、バスの邪魔にならないよう駐車する。
公共交通機関利用者は土佐くろしお鉄道宿毛線終着駅の宿毛駅から高知西南交通のバスの便あり。四万十市からの便の有無についてはバス会社に問合せを。
この登山記録の行程
落窪バス停12:14・・・沢の出合12:20頃・・・途中で九輪の滝・東滝への到達を断念・・・再度沢の出合12:47・・・九輪の滝・西滝13:03・・・高度計高度140mほどの地点で休止13:23~13:38・・・最上部の右岸に渡る13:54・・・九輪森で休止14:21~14:38・・・往路の「八九ケ」の境界目出し標14:53・・・沢の出合15:24・・・落窪バス停15:28
高低図
登山記録
行動記録・感想・メモ
足摺岬を擁す四国最南端の市町村、土佐清水市の尾浦半島と千尋岬との中間ほどの落窪海岸から約1.2km内陸部に、ネット検索しても一件しかヒットしない超マイナー峰・九輪森(くりんのもり・294.3m)がある。整備された登山道があれば1時間程度で登れるハイキング山になるのだが、集落からのコースは上部で廃道となっている。
マイナー峰は展望がないのが常であり、しかも高速を使って行く四国最南端の市にあるスーパー低山等、本来であればわざわざ出向こうとはしないのだが(無名峰登山ガイドブック製作期間を除く)、ルート上に滝があることから食指を伸ばしたくなったのである。尤も滝から上流にルートがあるということは「予想」に過ぎなかった。国有林施業図で滝の上流、標高160m台の箇所から山頂まで民有林との境界線が引かれていたことから、造林作業者が利用する踏み跡がついているのではないかと思ったのである。
この山、植生は植林とシダ類、雑木という普通の南国の山なのだが、コース起点のバス停近くの落窪海岸にあるような層状チャートが複数、コース沿いに見られる。これは放散虫などの殻等が海底に堆積して層になったもので、湾曲しているものも多く、それはバウムクーヘンを切った側面のようになっている。
滝は二ヶ所、それぞれ違う谷にあり、総称して「九輪の滝」或いは「落窪の滝」と言い、西の谷に懸かるものを「西滝」、東の谷のものを「東滝」と言う。ネットで九輪森について綴った者(四国一のピークハンター)は、東滝の谷をつめて登ったものと推察されるが、地形図の等高線を見ても分かる通り、急峻であり、そのサイトではザイルを使用した写真が掲載されていた。
それに比べて西滝の谷は比較的緩やかで、登り詰めた先の鞍部には地形図では荒地マークが記載されている。国有林の境界線のことを知らないピークハンターでも、普通はこの谷を詰めて登ろうとするのではないだろうか。
[コース]
落窪バス停から個人宅上の津波避難所に到る車道を歩くが、この道路は地形図には記載されていない。
その個人宅は空き家のように見えるが、その家の下から奥に雑草の生えた林道が続いているので、これを辿る。樹林帯に入ると路面の雑草は消えるが、すぐ終点の車の転回場に達する。ここから奥は路面が石ころだらけだが、森林鉄道廃線跡のように幅員は広い。
道に沿って黒い取水パイプが走っているが、パイプが二手に分かれる場所が谷の出合で、東滝方向に涸れ沢(本流)を渡渉して遡る踏み跡が続いている。まず東滝を往復しようとしたのだが、しばらく遡っても沢に一向に水流が現れない。
ようやく水流が現れたと思ったら、道が土砂崩れを起こして倒木群によって塞がれている。これを迂回するには急斜面を這い上がる必要があるが、これ以上体力を消費すると九輪森登頂に支障を来すようになり、且つ、もし東滝まで登れたとしても水量は極めて少ないことが予想されるため、見応えはないと思い、断念して引き返した。
西滝へは本道の途中から右に逸れて沢へと下りる。この谷も水流は殆どなく、滝もちょろちょろ程度。しかし滝が懸かる岩盤は広く、長雨時等は二条になって落下する迫力ある瀑布となることだろう。落差は10数メートルほど。下部は岩石が折り重なっているため、滝壺もあまり形成されてなかったように記憶している。
本道は滝の西の絶壁をへつるように付けられており、滝の天辺を真横から間近に見ることができる。
道沿いには炭焼き窯跡が点在しているが、川床を見るとコンクリート枠で囲った箇所があり、沢の水を炭焼き過程や飲み水に使用していたことが想像される。
途中で左岸に移るが、両岸に道が付いている。九輪森に登頂するには左岸の道を遡る必要があるが、荒れた箇所では右岸の道や川床を歩いても良い。
上流に進むに連れ、踏み跡は不明瞭になるが、最終的にはまた右岸に移るため、適当に歩き易い所を登っていれば良い。
コースの左手下に「八九ケ」と刻字された森林管理署の石造の境界目出し標が現れると、そこから境界の刈り分け道が斜面に上がっているはずだが、一見するととても登れるような傾斜ではなく、刈り分け跡も確認できなかった。そこで沢沿いの踏み跡を終点まで辿ることにした。
上部に来ると「これは人の踏み跡ではなく、獣道ではないのか」と不安に苛まれるが、踏み跡が消えかかった地点で右岸に渡り直す比較的明瞭な踏み跡が現れた。これを辿るとすぐ更に明瞭な峠道のような山道に出た。これを辿ると低い石積みが次々と谷に現れるようになる。谷の土砂崩れを防止するためか。
「やっと鞍部に出たか」と思った所には一段と長い石積みがあったが、そこに上がると鞍部はまだ先だった。鞍部の真ん中には一本の大木が立っていたが、ここから九輪森への道はなかった。ここから山頂までの尾根幅は非常に広く、ただの斜面のように見える。復路もこれを下山するならば、頻繁にコースサインテープを付けながら登らないと道に迷ってしまう。
何度も後ろを振り向いて帰路のことも考え、地形を目に焼き付けながら登る。
再び境界目出し標が現れると、すぐ三角点が出迎えてくれた。ここにも大木がある。展望はないが落ち葉に覆われた広い山頂で、アラレ交じりの吹く風は冷たいが、潮風ということもあり、心地よさも感じられる。
山頂から南に延びる尾根が境界目出し標の続く境界線で、こちらはハイキングコースのようなきれいな道になっているため、これを下山することにした。しかしそれも束の間、向きが西向きに変わると途中で「本当にこの斜面を下ることができるのか」というほどの急勾配になる。私のような踝付近の靭帯に爆弾を抱えている者は、慎重に下らないと取り返しのつかないことになる。
踝を気にしながらジグザグに下り、往路の目出し標に帰り着いた。
下山後はバス停前の落窪海岸に下り、化石漣痕やチャート等を見学した。化石漣痕とは太古の水流や波による水中の堆積物が地層表面に残っているもののこと。言わば「波の化石」でもある。土佐清水市では現在、日本ジオパーク指定を目指して活動しているが、この海岸の案内板ももっと充実したものにする必要があるだろう。そしてできることなら九輪の滝への道も整備して貰いたい。
フォトギャラリー:15枚
装備・携行品
| シャツ | アンダーウェア | ダウン・化繊綿ウェア | ロングパンツ | 靴下 | レインウェア |
| 登山靴 | バックパック | スパッツ・ゲイター | 水筒・テルモス | ヘッドランプ | 帽子 |
| グローブ | 地図 | コンパス | ノート・筆記用具 | 腕時計 | カメラ |
| ナイフ | 行動食 |














