行程・コース
天候
雨
登山口へのアクセス
マイカー
その他:
カーナビに「雨飾高原キャンプ場」をセット。突き当りのキャンプ場横にある第1駐車場(無料)は40台駐車可。綺麗なトイレと無料休憩所あり。靴の洗い場もあってありがたい。また、第一駐車場の手前200mほどのところに第二駐車場もある。
この登山記録の行程
雨飾高原キャンプ場(05:49)・・・荒菅沢(07:00)・・・笹平分岐(07:55)・・・雨飾山(08:21)・・・笹平分岐・・・荒菅沢(09:57)・・・雨飾高原キャンプ場(10:57)
高低図
登山記録
行動記録・感想・メモ
久しぶりに山仲間と合流。
ここ最近、異常な梅雨の悪天候により、九州等各地では大変なことになっている。おかげで、企画していたテント泊も雨と一緒にお流れとなった。そもそも当初は、穂高の縦走を企画していたのに、こちらは憎き新型コロナウイルスの影響で泣く泣く中止。今年は山登りとしてかつてない不運な年だ。
せめて1日でも、山仲間と時間を共にしたいと日帰り登山を計画。
目的地は兼ねてよりリーダーが一押しの雨飾山(あまかざりやま)。雨を飾る山。雨の日に登るに相応しい名前だ。干ばつの際に、山頂で雨乞いの祈願をしたことから名付けられたという。
雨飾山は、言わずと知れた百名山の一つ。長野県北部の小谷村と新潟県糸魚川市の境に位置する標高1,963mの山で、双耳峰の山容が特徴。ただ、双耳峰といっても筑波山の女体山・男体山のようにハッキリしたものではなく、小さなピークがちょこちょこっと並んでいるだけ。そのちょこちょこから「猫の耳」と呼ばれている。たまたま山頂でGETしたヤマスタのスタンプが猫マークだったことから「なぜ故に猫?」と調べたところ、そのような由来を知った。なんにでも興味を持ってみるものだ。
と言うことで、夜通し雨の高速を飛ばして雨飾高原キャンプ場にやってきた。
道中、激しくフロントを叩く雨に「なんとか止んでくれないか」と願っていたが、ついに途切れることはなかった。
30分ほど仮眠をして出発。前回の裏那須に続き、レインウエアを着こんでのスタートだ。
無料休憩所の脇に、携帯トイレの自動販売機が設置されていた。雨飾山にはトイレがないため携帯トイレの持参を呼び掛けている。磐梯山でも見た記憶があるが、自然保護として意識づけ的にもよいアイディアだと思う。しかも、小屋の近くにはちゃんと回収BOXも用意されていて利用しやすい。
雨飾山には大きく2つのコースが代表されるが、今回使ったのは登りやすさと景観から最もポピュラーとされる長野県側から登る「雨飾高原キャンプ場コース」。コースタイムは約4時間。
何度か雨飾高原キャンプ場コースを登っている隊長とは、気分を変えて新潟県側から登る「雨飾温泉(雨飾山荘)コース」にしようかと相談していたが、急登の連続で悪天候には向かないとの判断から、雨飾高原キャンプ場コースとなった。とは言え、雨飾高原キャンプ場コースが決して楽ちんな訳ではない。優しく出迎えてくれるのは最初のスタート時点のみ。木道で水平方向に約1km移動したのち、本格的な登山道へと入っていく。
雨に濡れた美しいブナ林が続く。どれも大樹で見事なブナ林だ。360度に鮮やかな緑が広がっていて、そこに佇むだけでも爽快感だった。
このルートには、400m毎に銀色の案内標識が11枚設置されている。歩くたびに「2/11、3/11」というように数字が増えていく。体感で距離を測っている自分にとっては少々有難迷惑であるが、「これをモチベーションに『あと〇〇だ!頑張ろう!』と思う人と『うへーまだ〇〇もある!』と思う人で、きっと山への適用度が二分されるな」などと考えながら登る。
簡易トイレ専用のトイレBOXが見えた。ドアを開けると丸く穴の開いた椅子が設置されていて、ここに簡易トイレをセットして用を足す仕組みだ。富士山の測候所でも部屋の中にテントを張ってこの丸椅子で用を足したと思い出す(測候所にはもちろんちゃんとしたトイレもあるが風速50mを超えると風が逆流して使えなくなるため部屋の中にテントを張って簡易トイレを設置する)。
トイレBOXから少し進むと視界が開けて大きな沢が見える。荒菅沢だ。その上流に目を移すと、このコースで初めて山頂が姿を見せてくれる。雨は降り止まないが、有難いことに雲は高い位置にあるため、山頂ははっきり見えている。山頂からどうしても見たい風景があるので、登るなら今しかない。雲がかかる前の僅かな時間帯を狙う。
荒菅沢は雪渓が残っていて、豊富な雪解けの水が勢いよく流れていた。口に含むと冷たくてとてもまろやかだった。雪渓は大雨の影響か、だいぶ溶けて上流側の方へと後退していたが、巨大な雪の塊から白い冷気が立ち昇り沢に沿って伝わってきている。ヒンヤリとして気持ちが良かった。
荒菅沢でちょうどコースの半分となる。落ちないように気を付けて沢を渡渉すると、次のポイントとなる笹平までの急坂が始まる。コース上一番の難所で、ガレ場も多い。雨の日には特に要注意だ。
高度を上げていくにつれ、高山植物の種類が増えてくる。
森林限界を抜け、両脇が切り立った痩せ尾根を登っていく。振り返るとこれまでのコースがよく見渡せた。遠くには焼山だろうか、ごつい頂が雲の合間に聳えていた。
熊笹が目立ってくると笹平も近い。左手側には山頂からザレた岩肌が壁のようになっていた。伯耆大山の南壁を思い起こす。
最後の急斜面を登りきると一面の草原が広がっている笹平。かなりの空間だ。行く手の草原の先には鋭利に尖った山頂が見えている。カッコいい。
ここからは、まさに天空のロードと呼びたくなるような草原の中に延びる登山道を使っての稜線歩きとなる。高山植物が最も咲き誇る場所で、あちこちに花畑があって目を楽しませてくれる。
小さな池塘を過ぎて、山頂の壁に触れる。最後の急登。岩登りのようなコースで天に向かって登っていく。登りきると左右それぞれ小さなピークがあった。これが猫の耳。最初に右側のピーク(標識)にタッチ。薄い雲の切れ目から日本海が確認できた。手前に見えているギザギザの稜線は鋸岳だろうか。
さて、荒菅沢で言っていた通り、山頂からどうしても見たい風景があってここまでやってきた。それは、眼下の笹平の風景。見下ろすと、まるでマチュピチュを連想するような広い笹平の稜線が見える。この風景だけでも一見の価値があるが、本命は別にある。緑の草原の中に歩いてきた登山道が緩やかな線を描きながら延びているのが見える。イマジネーションを高めると、徐々にその線が浮かび上がり、やがて遠くを眺める女性の左顔が出現する。これが登った者だけが謁見できるという雨飾の女神。古事記にも描かれている翡翠の女神「奴奈川姫(ぬなかわひめ)」と言われている。無事、謁見ができてご満悦な気分。
先程見えた日本海は、新潟の翡翠海岸方面だろうか。いつも通過するだけだったが、近辺には奴奈川姫の伝説を残す名所がいくつもあるという。いつかゆっくり巡ってみたいものだ。
もう一つの耳で全員の記念撮影をしてから下山。
短い登山だったが、さすが百名山。変化に飛んだ素敵な山だった。
下山後、温泉に立ち寄る。
キャンプ場から少し下った「雨飾高原 露天風呂」がお勧め。森の中で開放感があって素晴らしい。料金は無料だが、清掃協力金の募金箱が設置されている。
ただし、今回はもう一つのお勧め「小谷温泉 大湯元 山田旅館」に立ち寄る。国登録文化財も登録されているノスタルジックな温泉旅館でとても趣がある。700円/大人。受付の際、検温をして、3密回避のため6人制限での入浴。露天風呂はぬるかったが、内風呂はアツアツで、ほっこり最高だった。
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