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福井の最深部W平家岳へ

井岸山、平家岳、美濃平家岳( 東海・北陸・近畿)

パーティ: 4人 (Yamakaeru さん 、ほか3名)

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行程・コース

天候

晴れ

登山口へのアクセス

マイカー
その他: 大野市から九頭竜湖を目指して、県道230号線の黄色いつり橋「夢の架け橋」を渡る。しばらく道なりに進むと面谷橋。谷沿いの林道を約7km走ると突き当りに5台程度の駐車スペースがある。オフロードが可能な車であれば、更に数100m進むことが出来るが、無理はしない方が良い。駐車場までの林道は、落石は少なかったが、普通車では少し辛いと感じた。途中、ゲートが2か所あり、積雪時や悪天候時は封鎖されている模様。

この登山記録の行程

面谷登山口(07:39)・・・井岸山(09:56)・・・平家岳(10:12)・・・井岸山・・・分岐点・・・小屋(11:01)・・・美濃平家岳(11:54)・・・(昼食)・・・分岐点・・・面谷登山口(16:55)

コース

総距離
約15.9km
累積標高差
上り約1,803m
下り約1,803m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

GW登山の締めとして白山を予定していたが、GWには珍しい大荒れの天気図から、高山は控えるべきと判断。せめて近くから白山を眺めたいと「平家岳」をチョイスした。
源平の戦いに敗れた平家一門が隠れ住んだという逸話が名前の由来になっているとか。登山よりも登山口までが大変と言われている福井県最深部に位置する山だ。
九頭竜湖の奥にあるやや景観にそぐわない黄色の「夢のかけ橋」を渡り林道へと入っていく。聞いていたほどの悪路ではないが、やはり四駆が似合う場所だ。
途中、面谷鉱山跡を通る。
石垣が幾つも積み上げられていて、なにやら深い歴史を感じる。林道のすぐ横には沢山のお墓が並んでいた。こんな山奥なのに。昔は沢山の人が働いていたということだろうか。
気になって帰宅後に調べてみると、鉱山があった面谷集落は当時相当栄えていた村だったらしい。それが、1918年に流行したインフルエンザのスペイン風邪により、1,000人近くいた村の人々のほとんどが感染して、そのうち1割以上の方が亡くなり、ついには廃村を余儀なくされてしまったとのこと。車中から火葬場跡が見えたが、そこには当時の惨状を後世に伝えるための石碑が建てられていると紹介されていた。コロナ禍の今と通じるものがあり、歴史に消えていった集落の哀しい歴史に想いを馳せ、出発前によく調べておけばよかったと少し後悔した。
面谷鉱山跡から更に数キロ進むとようやく登山口の駐車場にたどり着く。駐車場と言っても、単なる空きスペースで勿論トイレもない。数100m先にも同じくらいの駐車場はあるが、道路状況を考えると手前で停めた方が無難だ。
林道に沿って出発する。
スタート直後に沢にぶつかる。厄介なことにかなり水量があるので、落ちないように気を付けながら渡渉する。
渡り切った後は、ひたすら尾根に沿って真っすぐに登っていく。たいしたピークはないと踏んでいたが、休みなく続く急登に汗が噴き出してくる。
タムシバが終わりかけを迎えていたが、それでも白い花びらが目を楽しませてくれた。
登り切ったところから隣の山へと縦走に入る。平家岳の登山道は、本来、送電線の点検のために作られた道だとか。確かに送電線の鉄塔が点々と行く手に目印のように建っていた。
高度を上げていくと、ひと際白い山が目に飛び込んできた。説明不要の我らが「白山」。それにしても白い。例年GWの頃は、甚之助小屋付近からの積雪となっているが、今年は明らかに麓から白い。異常寒波の影響で、ここ数日に雪が積もったのだろう。
縦走しながらピークをつないでいくと、左手側に大きな山が見えてきた。目的の平家岳。標高1,441mと言われているが、もっと大きく感じた。存在感のある山だ。
一旦降りながら、周り込むように平家岳を目指す。途中の登山道には、カタクリが乱舞していた。山の高さと立地の関係だろうか。この時期に、これほどのカタクリの群生が残っているとは思いもしなかったので、とてもラッキーだった。
平家岳の山頂に到着。
360度の眺望。さすが福井の最深部だけあって、どこを見渡しても山。「素晴らしい」の一言。
お昼にはまだ早いというので、もう少し足を延ばすことにした。平家岳から岐阜県側に入ったところに、美濃平家岳という山がある。ここまで来たなら「W平家岳だ!」という単純な発想で目的地が決まる。
来た道を少し戻り、分岐点から県境に沿うように進んでいく。平家岳から眺めた際には、そう遠くないだろうと簡単に考えていたが、それなりの高低差があり結構な登りごたえがあった。
送電線を頼りに進んでいくが、途中で違和感を覚え地図を確認すると、山頂を過ぎていることに気が付く。どこかに分岐点があったはずだと注意しながら戻ると、獣道のような微かな踏み跡を見つけた。目印もないためこれは見落としても仕方がない。踏み跡は、斜面いっぱいに広がっている笹薮の中に消えている。「本当にここを登るのか?」が第一印象だった。10mも登れば藪も越せるかと中に踏み入ったが、どこまで進んでも笹の海。少し離れただけでお互いの位置さえ確認できないほどの密度。ここまで濃い薮もなかなかない。
微かな踏み跡を目印に突き進むと、突然目の前が開けた。
開けたと言っても畳数畳分のスペースがあるだけ。一本の樹に「美濃平家岳」とかすれた看板がぶら下がっていた。
「えっ、ここが頂上?」。苦労してきた割には眺望もなく登頂の感動もない。県境の山々が見えた福井の平家岳に比べると、一段も二段もグレードダウンしていて、かなりの拍子抜けだった。
山頂でお昼を予定していたが、座る場所さえなかったので早々に折り返すことにした。しかし、登ってきた以上に大変。笹の目というか、見る角度の関係から、笹薮の踏み跡が登り以上に見分けがつかない。一歩コースを外してしまうと、歩いてきた道さえどこにあるかもわからなくなる。らちが明かないので、地図を確認しながら強引に踏み入ってきた分岐点方向に向かって一直線に戻る。
難なく登山道に復帰して、来た道を戻る。眺望が良い斜面のところで、腰を落ち着け、お昼とする。涼しかった昨日に比べて、今日の陽射しは暑い。持ってきた水の残量を気にしながら、水分補給をした。
霞が薄らいだのか、白山の他にも御嶽山や乗鞍岳も良く見えた。白山同様、白く輝いている。できればその純白の世界に行きたかったが、こうやって遠くから眺めるのもまた乙なものだ。W平家岳。なかなかどうしてタフで良い山だ。

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装備・携行品

みんなのコメント

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  • 藪漕ぎ名人に助けられました。ありがとうございます。

  • 藪漕ぎの極意は突き進む。笑。

  • いい稜線ですね。どこまでも歩けそうです。

  • 以前、福井の県境を全て繋ごうと思ったのですが、先にやっている方がいたのでやめました。笑

登った山

平家岳

平家岳

1,441m

よく似たコース

平家岳 福井県

平家の落人伝説と高山植物の山

最適日数
日帰り
コースタイプ
往復
歩行時間
6時間15分
難易度
★★
コース定数
25
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